表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/19

河川敷

 「二人は中か」

 ゾラグムは屋敷の周囲を確かめるかのように

 グルリと見回した。

 小娘二人は家の中にいた。

 屋敷のまわりにはそれを護るように三人。

 “なぜレムルレングの奴らが”

 さらに隣家にも

 十近い“気”が。

 中でもその内の一つはとりわけ強大だ。

 「どうする」ブラバス。

 「これ以上待てん。

 踏み込むか」

 「しかし数が多すぎる。

 何とかあの小娘たちだけを引っ張り出せんか」

 ゾラグムにしろブラバスにしろ

 魔界では相当なもの。

 レムルレング界にまでその名をとどろかす

 名うての超能力の怪物。

 もちろん負ける気など全くしない。

 すでに彼らの手下ども二十体あまりが

 屋敷を取り囲んでいる。

 「一度手下に襲わせて

 目障りな連中を引き出させるか。

 その後で小娘どもを我々が」ゾラグム

 「そんな手に乗る相手か。

 すでに奴ら、我々の存在に気づいている。

 ワシら二人がここにいる事にもな」

 「ワシらがここにいる限り

 奴ら、小娘どものそばから離れるわけはないか」

 「力ずくでやるか」ブラバス。

 「その方がしょうにあっている。

 やるか」

 目当ての家の窓で人影が動いた。

 二つ。

 少女たちのものだ。

 一瞬。

 影は消えた。

 「見たか」

 「ああ。

 どこへ行くつもりだろう」

 「わしらにとっては好都合。

 行くぞ」

 二匹は、そして彼らの手下どもは二人の後を。







 レナとルリは家屋の屋根を、

 ビルの壁面を屋上を飛ぶように移動していた。

 あのまま、あそこで怪物どもの襲撃を受ければ

 リョオに迷惑がかかる。

 そう考えての行動だった。

 それに-----

 リョオに素性を知られては。

 「レクノスさんたち三人。

 気づかなかったようですね」

 「エエ、ついて来ないわね」

 レナもホッとした様子。

 「三人に気づかれず。

 しかも魔界の連中には

 私たちを追いかけさせるなんて

 芸当ができるのは

 レナ様くらいのものですわ」

 それほど超能力の巨人という事。

 「ルリもね」

 茶目っ気たっぷり。

 「でも怪物どもを全部引っ張り出して

 あの人たち変に思わないですか。

 ダミーの“気”を残しておいてもやはり

 急に魔界の者たちの“気”が

 家の周囲から消えれば」

 誰でもそう思うに違いない。

 あのリョオも。

 “心配してくれるかな。

 あの魔界の者たちも

 そのあたりに気を配ってくれれば。

 そんな事に頓着する連中じゃないか”

 「手っ取り早く片付けて

 バレる前に帰ればだいじょうぶよ」レナ

 「ウフフ。

 そうですね」

 しかしいくらなんでも

 レナたちが抜け出した事には気づいた頃。

 「御刀君、ごめんね」

 レナは一人気を病んでいる。

 彼らの能力では

 今から二人の後を追う事は不可能。

 “あの三人、しかられるだろうな”

 と考えたのはルリの経験から。

 「とにかくもう少し離れましょう。

 町なかで奴らと戦うのは」

 二人の視界には幅の広い川。

 それを挟む草原くさはら

 -----これも案外広い-----

 が入って来た。

 水の臭いがする。

 二人は立ち止まった。








 「親父。

 “気”を抑えろよ」

 リョオは完全に“気”を消し去って

 レナたちの後を追っていた。

 一方、リョオの父は。

 「すまん、すまん。

 つい、いつものクセでな。

 お前のように普段から

 “気”を抑え込んでばかりいると

 沽券こけんにかかわるのでな。

 お前もワシの跡を継ぐつもりなら

 少しは相手を威圧する事を覚えろよ。

 しかしワシも人間界に来る時には

 相当“気”を抑え込んではいるんだがな」

 そう言うと急にその“気”は小さくなった。

 「親父のような立場になればね」

 すでにレナたち二人は、だいぶ先行している。

 リョオの父が何故か出がけにもたついたせいだ。

 二人ともリョオたちには気づいていない。

 怪物どもも。

 「リョオ。ところでどっちの娘だ。

 二人ともたいしたものだ」

 まだ姿は見えない。

 その発する“気”から

 レナたちの力を見てとったらしい。

 「右側だよ。

 力の強い方」

 「あれか」

 リョオの父は思わず-----‐‐

 表情がゆるんだ。

 それも一瞬。

 息子の顔を見る。

 二人はすでに河原へ。

 怪物たちが取り囲んでいる。

 リョオはあせった。

 しかしリョオの父はゆっくりとしたスピードで。

 「リョオ。あの娘たちの実力を見てみたい。

 そう急ぐな」

 「見なくてもわかるだろ」

 河原では戦いが始まっていた。










 遠くの街灯から漏れる

 わずかばかりの明かり以外は全くの闇。

 その暗黒の中から

 不気味な足音をひきずりながら

 見るもおぞましい怪物が

 一匹、また一匹と

 その姿を二人の少女の眼前に現した。

 中でもひときわ強大なパワーを秘めた

 怪物が二匹。

 その内在する力は周囲を圧倒し

 レナ、ルリの思念波スクリーン

 -----念の力による防御壁-----をも震えさせた。

 「ラティファルムス界ラトラスの王ローレムの娘

 ラトリシアだな。

 お初にお目にかかる。

 ワシはギドリドス様配下の魔界の者

 ゾラグム。

 こっちはブラバス」

 そういう怪物の両の目は

 陰惨な光をたたえている。

 二人の幼気いたいけな少女を

 ただの哀れな獲物としか見ていないのは明らか。

 名を告げたのも、

 相手が恐怖におののくさま

 楽しむために他ならない。

 「名前くらいは聞いていよう」 

 確かにこの二匹。

 レナたちのラティファルムス界は言うにおよばず

 レムルレング界にいたるまで

 その名はとどろいている。

 むろん“悪名”が。

 レナたちが知るだけでもこの二匹。

 ラティファルムスの名だたる超能力者を

 最低二桁は。

 罪もない市井の者たちは数限りなく。

 ウワサではラティファルムスの上位界である

 レムルレング界の者たちまで。

 数えあげれば枚挙まいきょにいとまがない。

 城からの討伐隊にしろ

 狡知にたけたこの連中には手を焼かされていた。

 逆に返り討ちにあったという事もしばしば。

 今では皆

 この二匹の名を聞いただけで

 震え上がるほどになっている。

 「一応ね」

 レナは事もなげ

 「その程度で」。

 ルリにいたっては完全に飲んでかかっている。

 「レナ様。ここは私めが」

 一人でやる気らしい。

 レナはルリと怪物たちを見比べた。

 ルリはやる気満々。

 このところ宮廷にこもりきりだったためか,

 ストレスがたっまているらしい。

 “この連中、可哀想に。

 ルリにやられたのでは、まず間違いなく

 肉片一つ残さず消えてなくなる”

 「ルリ、私がやるわ」

 レナも同様

 ムシャクシャする事がこのところ。

 「いけません。レナ様。

 私はレナ様の護衛役。

 ここは私が」

 その目はもう-----

 「あなたを護衛役にした覚えなどありません」

 「ですがレナ様に何かありますと、

 王様に」

 「ウソ、おっしゃい」 

 この程度の相手に、

 ルリが心配する必要などないのは

 わかりきっていた。

 要するに自分がやりたいのだ。

 ゾラグムたちは

 あ然とした表情で二人の会話を聞き入っている。

 結局

 「ルリ。雑魚ザコはまかせるわ。

 私はこの二匹。

 いいわね」

 この一言で決まってしまった。

 フォッ、フォッ、フォッ、フォッ、フォッ-----

 今まで大人しくしていた怪物どもが

 その言葉に、一斉に腹を抱えて笑い出した。

 全部で二十二匹いる。

 「どうする」

 ブラバスはこみ上げてくる笑いを

 抑えようとして抑えられない。

 「任せる。

 そのような世間知らず。

 ラトリシアにアルメネーなどという名

 聞いた事もない。

 たいした奴らではあるまい」

 ゾラグムは高みの見物を決め込んだらしい。

 腹もくちている。

 超次元界の何者が魔界の誰と戦って

 勝った負けたなどという話は

 -----負けた奴は全て死んでいる-----

 すぐにウワサとして広まるものだ。

 そのあたりの事前調査も常に充分にしてある。

 魔界の者同士なら誰が自分より強いかは

 一・応・

 あくまでも一応だが

 わかっている。

 もちろん全てではないが。

 その自分より強い魔界の者とやって

 勝った奴と戦うなど

 ○○のやる事だ。

 それこそ命がいくつあっても足りない。

 そんな相手とは絶対に戦わない。

 これがゾラグムのもっとうだった。

 そのおかげで今まで生き残ってきた。

 そしてこの二人の名など聞いた事もない。

 つまり、その程度という事だ。

 「全くだ。

 しょせんは宮廷のお姫様育ち。

 家来がいなければ何も出来ん

 ただの世間知らずだ。

 雑作ぞうさもあるまい。

 お前たち。やれ」ブラバス。

 これで相手の力量もわかる。

 そのための手下だ。

 それでもゾラグムたちは慎重だった。

 それを合図に、

 怪物どもは一斉にレナたち目がけて襲い掛かった。

 ルリの周辺の空間が震え出した。

 全身が白く巨大な光球に包まれた。

 内に秘めたパワーを一瞬に開放したのだ。

 ルリのレベルからすれば

 たいした事はないのかも知れないが

 上空から飛びかかる怪物目がけ

 伸ばした手の平から光の球が

 十体ほどの見るもおぞましい怪物の

 胸を、腹を直撃。

 彼らの-----念の力による防御壁-----

 思念波スクリーンなど紙のよう。

 身体中バラバラになりながら

 凄まじい音響を残して天高く弾き飛ばされた。

 全身の骨が砕かれ

 身体が信じられない角度に曲がり

 粉々に。

 しばらくしてニブい地響き。

 怪物たちの残骸が地表に激突したのだろう。

 見る間に肉片一つ残さず分解していく。

 ルリは手近にいた怪物の腕を取った。

 振り回し気味に“気”を込めて

 別の怪物へ叩きつけた。

 ルリの“気”が

 怪物の全身を白く輝く光で包み一直線。

 そして。

 衝突の瞬間

 何かがスパークしたような強力な閃光が

 二匹の間で炸裂した。

 ルリが込めた“気”が

 二匹の間で爆発したのだ。

 双方とも数十メートルは

 弾き飛ばされたであろう。

 ピクリとも動かない。

 眼が完全に輝きを失っている。

 身体の大半が消し飛んでいた。

 その残った残骸も-----見る間に。

 その光景にゾラグムもブラバスも他の魔界の者どもも

 一瞬硬直したよう。

 後ろにひかえているゾラグム、ブラバス以外は

 ルリを遠巻きにしたまま近づいてこない。

 まるで怪物でも見るような表情で

 ルリを見入っている。

 「小娘にしてはたいしたものだ。

 見直したぞ」

 ブラバスが手下を押し分けるようにして

 ルリへ向け進み出てきた。

 「少しは手ごたえがありそうだ。

 ワシが相手をしてやろう」

 「レナ様」

 ルリがレナの意向をうかがうかのように

 チラリと振り返った。

 「ルリ。下がってらっしゃい」

 自分でやるつもりらしい。

 ルリはブラバスを見た。

 “この魔界の者もかわいそうに。

 レナ様にやられたんじゃ。まず-----

 いくら超次元人や魔界の者の

 防御力、回復力が優れていても

 肉片一つ残さずに-----”

 それを知ってか知らずか

 ブラバスはレナなど眼中にない。

 「小娘。貴様になど用はない。

 邪魔だ。どけ。

 その程度の力で

 俺様の相手をしようなどとは

 身の程を知れ」ブラバス。

 ルリの圧倒的なパワーに気おされて

 尻込みしていた手下どもも

 相手がレナと見て勢いだった。

 「ブラバス様。

 こやつは我々が」

 先ほどの醜態。

 後でどのような目に合わされるか

 わかったものではない。

 下手をすればブラバス、ゾラグムの二匹に消されかねない。

 少しでも点数をかせがねば。

 その媚びるような眼にも

 悲壮感がこもっている。

 「よかろう。やれ」

 “どうせこいつらは、もう。

 敵を前に臆病風に吹かれるような奴らは。

 手下はまた集めれば良い”

 それを聞いた残った十体ほどの怪物は

 レナを取り囲み一気に。

 レナは正面から突っ込んでくる二匹の鋭いカギ爪を

 軽く紙一重でかわし、腹へ前蹴り。

 もう一匹の脇腹へ

 足刀蹴そくとうげりを見舞った。

 そして十メートルは飛び上がる。

 両手を胸の前で組み合わせ“気”を込めるや

 残った雑魚ザコども目がけ

 強力な

 -----念の力による光の球-----

 を放った。

 超次元人にしろ魔界の者にしろ

 念の力を光の球-----エネルギー弾-----と化し

 武器として使うのだ。

 それは真下へ。

 地表スレスレで向きを変え怪物どもを直撃した。

 命中した途端

 その光の球は

 怪物どもの身体中の全細胞を打ち砕き

 肉片一つ残さず消し去る。

 レナが地表に降り立つのと

 最初の怪物どもが

 身体の大半を消滅させながらも

 地鳴りとともに倒れ込むのは同時だった。

 地面に横たわったその身体は

 急激に分解していく。

 跡形も残さずに。

 「ブラバスとやら。

 これでどう。

 少しは見直した」


















 リョオたち二人が河原に降り立った時には

 すでに怪物どもの手下は全て

 跡形もなく消え去っていた。

 わずかばかりの“気”の痕跡を残して。

 レナは残る二匹の内の一匹と

 対峙たいじしている。

 “これも季崎さんの敵じゃないな”

 リョオはそう見て取ってはいるが

 一刻も早く加勢したかった。

 「リョオ。

 あの娘か」

 リョオの父は

 こみ上げてくる笑いを押し殺しながら

 リョオに確認した。

 「そうだよ。

 先に行くよ」

 「まあ、待て」

 リョオの腕を取って。

 「あの娘の素性を知っておるのか」

 妙なことを言う。

 リョオはその言葉に父親の顔を見つめた。

 「いや。親父。知っているのかい」

 リョオの父は微笑んだだけ。

 それも気になるが、今は。

 「親父。

 来ないのなら置いていくよ」

 リョオはその場から姿を消した。























 ブラバスはうれしくてたまらないといった表情で

 レナとルリを交互に見比べた。

 「ワシらの手下をこうもあっさりと」

 別段、残念がる風でもない。

 「どれもこれも一撃で跡形もなくか。

 全くたいしたものだ」

 手下の死に対し全く-----こともなげに。

 「小娘にしてはなかなかやる。

 しかし相手が悪すぎたな」

 ブラバスにしろ

 レナ、ルリがこれまでに倒してきた

 相手の名を少しでも知っていれば

 こうまで落ち着き払ってはいられなかっただろう。

 いや。

 最初から勝負をいどまなかったか

 うまく立ち回り

 忌避する方法などいくらでもある。

 レナの父王ローレムが

 娘のあまりのオテンバぶりに手を焼き

 これでは嫁のもらい手がないと

 その事実を直隠しにして来たため

 この怪物たちも知らないのであろうが

 城内では公然の秘密。

 その力はレナの数多い弟たち

 そして父王ローレムをもしのぐとさえ

 言われている。

 「ブラバスとやら。

 たいした自信ね。

 なんだったらそこのもう一匹と、

 二匹同時にお相手してもいいわよ」

 レナは完全に飲んでかかっている。

 これにはブラバス、完全に

 眼は怒りに充血し、残忍さを増した。

 「喰らえ」

 ブラバスの右手から閃光がきらめいた。

 真っ直ぐレナへ向け

 ドス黒いまがまがしい色の光の球が。

 しかしあっさりとレナの身体を包む

 念の力による防御壁-----

 思念波スクリーンの前に弾かれた。

 ブラバスは意外という表情。

 この小娘の内在する力から見て

 今の一撃で消し飛ばせるはずなのに。

 「ホウ。たいしたものだ」

 まだ余裕が感じられる。

 「この程度」レナ。

 「では、これではどうだ」

 ブラバスは完全に頭に来たらしい。

 レナの態度に。

 跡形もなく消し飛ばしてくれるとばかりに

 渾身こんしんの力を込めて気をその手に。

 放った。

 黒い光球が

 レナの白く透き通った思念波スクリーンを直撃。

 しかしレナはビクともしない。

 ブラバスの表情から笑いが消えた。

 それは急激に引きつりだし

 驚愕へと変化して行った。

 レナは片手に“気”を込めだした。

 たいして力をいれてはいない。

 ブラバスはその白い光球が

 徐々にパワーを増すにつれ

 後ろにひかえるゾラグムを、

 救いを求めるかのように振り返る。

 しかしゾラグムは

 笑いのない冷たい視線を返しただけ。

 ブラバスはなりふり構わずレナへ

 その太いカギ爪に全てを掛けたのだ。

 ブラバスの腕がレナへと振り下ろされた。

 しかしそこには

 まるでかき消されたかのように

 レナの姿はなかった。

 レナは一瞬の内に後方へ。

 そこから“気”を込めた光の球を放った。

 ブラバスには避ける間さえなかった。

 ブラバスのドス黒くよどんだような

 思念波スクリーンは

 跡形もなく消し飛んだ。

 ブラバスの胸に巨大な風穴が。

 ニブイ響きを残してブラバスが倒れた。

 ブラバスの全身が

 レナの放った光の球により分解し消滅していく。

 「ブラバスまで倒すとは。

 しかも、こうもあっさりと」

 今まで高みの見物を決め込んでいたゾラグムが

 “しかしこの程度なら俺様の敵ではない”

 そういった素振り。

 そのゾラグムの視線があらぬ方へと向けられた。

 それも一瞬。

 レナたちの視線も。

 闇の中からリョオが現れた。

 「御刀君。

 どうしてここへ」レナ。

 「危ないですわ」ルリ。

 「いやあ。遅くなってごめん。

 親父の奴がぐずるものだから。

 でも抜け駆けはひどいなあ」

 これにはレナもルリもムッとした表情。

 “御刀君に危険がおよぶと思って

 ワザワザこんなところまで。

 それを”

 ゾラグムはこの新たな敵を

 興味深げに眺めている。

 「コイツは私にまかせてくれよ」リョオ。

 その言葉にルリは吹き出した。

 一方、レナは心配そのもの。

 とてもリョオでは。

 「いえ、御刀君。

 このゾ・ラ・グ・ム・の狙いは私たちです。

 何も御刀君の手をわずらわさなくても」

 レナは“ゾラグム”というところに力を込めた。

 いくらリョオでも

 ゾラグムの名くらい知っているはず。

 思い直すとでも考えたのだろう。

 「ゾラグムか。

 聞いている。

 季崎さんのラティファルムスは言うにおよばず

 ウチでも散々暴れてくれたらしいな」

 ここに来てゾラグムも納得した様子。

 「貴様。レムルレングの。

 あのペシルカスたちに混ざっていた」

 リョオがゾラグムの顔をまじまじと見つめた。

 「ペシルカス?

 それでは私のことは知っているのか」

 ゾラグムとは初対面

 知っているはずはない。

 しかしペシルカスにしろ

 ゾラグムとは面識はないはず。

 自分の素性をレナたちに知られては

 これから付き合いにくくなる。

 そう思ってリョオはゾラグムを見た。

 「知らん。貴様など」

 その言葉にリョオは一安心。

 「一つ聞きたい。

 貴様らレムルレングの連中がなぜ

 そこの小娘どもの護衛をしている」

 レナもルリもゾラグムの口から

 自分たちの事が

 リョオに知られるのではないかとハラハラ。

 「御刀君。下がって。

 ここは私たちが。

 ルリ。お願い」

 ゾラグムをルリに譲る気らしい。

 いくらレナでもリョオの前では。

 これにはルリ。

 一瞬、ア然。

 “レナ様。どういう”

 今までになかった言動。

 「ね。ルリ。お願い。代わって」

 “あれだけご自身でやりたがっていたのに”

 ルリはニヤニヤ。

 「レナ様。貸しですよ」

 小声で耳元でささやいた。

 「借りとくわ」

 ホッとした表情。

 しかしリョオはあくまで自分でやるつもり。

 「貴様などに用はない。

 どけ」

 凄みを利かせるゾラグム。

 どうしてこいつらが小娘どもの護衛を。

 それを確かめなければ。

 「女の子二人に戦わせて、

 黙ってみているわけにはいかない」

 「身の程知らずめ」

 リョオの挑発にゾラグムの表情は強張った。

 「御刀君。無理よ」

 「季崎さん。心配しないで」

 すがるレナの手を優しく払いのけた。

 「もう一度聞く。

 どうしてレムルレングの貴様たちがここにいる」

 ゾラグムはギドリドスへの報告もあり、

 執拗だった。

 「この二人とか。

 たまたま家が隣になった。

 そこへ魔界の連中が

 彼女たちを狙っている事がわかった。

 それで護ってあげようとしただけさ」

 ゾラグムは探るような目つきでリョオを。

 “ローレムの娘をか。

 ラティファルムスとレムルレングとで

 何か事を起こすつもりではないのか。

 ギドリドス様もその点を探るように

 キツク言っておられた。

 それにしては妙だが”

 「まあいい。

 まず貴様から血祭りにあげてやる」

 「こちらも一つ聞きたい。

 なぜお前たちはこの二人を付け狙う」

 この問いにゾラグムは一瞬キョトンとした。

 「知らんのか。

 その二人の事を」

 どういうことだ。

 それならなぜレムルレングな奴らが

 この小娘どもを。

 「ああ」

 レナたちは泣き出しそう。

 ルリはゾラグム目がけて飛びかかる寸前。

 「なら教えてやろう。

 その二人は」

 その時。

 突然。どこからともなく伸びて来た

 強力な光の球が、念の固まりが

 ゾラグムの周囲で炸裂した。

 地面が大きくうがたれ、土砂が舞い上がり、

 視界が全く閉ざされた。

 「親父」

 リョオの父が介入したのだ。

 一瞬遅ければ

 ルリがゾラグムに襲いかかったであろうが。

 「お父様?

 御刀君の」

 レナは新たに現れた人影を見入った。

 レナにしろルリにしろ初対面の人物だった。

 一方、ゾラグム。

 声も出ない。

 リョオの父はそのゾラグムをひとにらみするや

 レナたちに対した。

 「お初にお目にかかる。

 リョオの父です」

 「あっ。いえ。

 こちらこそ」

 思いもかけない事態の進展に

 レナもルリも戸惑い気味。

 「親父。

 こちら季崎さんに堆星さん」

 リョオは父親が何を言い出すやら

 何をしでかすやら

 気が気ではない。

 三人の間に割って入った。

 ゾラグムの事など忘れ果てている。

 もっともゾラグムに

 不意打ちなどというマネをさせない

 自信もある。

 そのリョオの様子に

 リョオの父は満面に笑みを浮かべている。

 “まさか親父の奴。

 縁談の話を持ち出して

 季崎さんと別れさせようとするのでは”

 しかし案に相違して

 「息子がお世話になっております」

 「私、季崎レナと申します。

 こちらは堆星ルリ。

 お初にお目にかかります。

 こちらこそ御刀君にはお世話に。

 今回の事でも大変ご迷惑をおかけしています」

 「ラティファルムスの方とお聞きしましたが」

 「はい。いえ。あの-----」

 一方、ゾラグム。

 ようやく口がなんとか。

 「貴様は-----」

 しかしロレツが回らない。

 怪物でも見るような眼で。

 リョオの父を指差すその腕は

 はっきりとわかるほど大きく震えている。

 「ほう。ワシを知っておるのか」

 リョオの父はゾラグムをにらみつけた。

 この取り込み中にうるさいといった表情。

 魔界の者などこの際どうでもいい。

 実際、この二人のお嬢さん方のほうが

 リョオの父に取りはるかに重要だった。

 「するとそっちは」

 今度はリョオを震える指でさし。

 「ああ。ワシの一人息子のリ・ョ・オ・だ。

 ゾラグムとやら。

 少し黙っておれ。

 このお嬢さん方の相手が先だ」

 ゾラグムは完全に恐慌をきたしていた。

 “しかし、こやつの口から

 ワシらの素性が

 この二人に知られてはマズイか”

 リョオの父はレナとルリを見やった。

 ゾラグムはその一瞬のスキ?をついて

 リョオとリョオの父へむけ

 両の手に渾身の力を込め。

 両手が黒い光の球に覆われる。

 そして放った。

 それにまぎれて

 一目散に逃げ出した。

 恥も外聞もなかった。

 相手が悪すぎる。

 何せ相手は名にし負う-----の二人。

 リョオもリョオの父も何事もなかったかのよう

 瞬間的に強さを増した思念波スクリーンが

 ゾラグムの念の力によるエネルギー弾を

 難なくはじき返したのだ。

 「リョオ。逃がすな」

 その言葉にリョオの腕が白光を。

 気合いとともに放たれた。

 恐慌をきたしながら

 家の屋根をビルの間を逃走するゾラグム目がけ。

 すでにその姿はここからでは全く見えない。

 遠くで信じられないほどの強大な閃光が。

 リョオの放った念の力による光の球が

 ゾラグムを直撃したのだ。

 同時にゾラグムの“気”が消滅するのを

 レナたちは感じた。

 あれだけ強力な攻撃を受ければ

 ゾラグムなど一瞬で消滅しただろう。

 レナたちにすればその程度の事

 簡単なのだが。

 まあいいか。

 必要最小限のパワーで

 という事が習慣になっているのだろうが

 ゾラグムを消滅させるのに充分な力で

 光の球を。

 あまり大きくすると

 周囲の被害もバカにならない。

 しかし御刀君があれほどの力を。

 それをやってのけるとは。

 レナとルリは

 リョオの父を見た時のゾラグムの顔。

 そして今見せつけられたリョオのパワーに

 我を忘れていた。

 “人は見かけによらない”

 「帰ろうか」

 リョオの父が言った。

 「ここの後始末はどうしましょう」レナ。

 後始末といっても

 怪物どもは全員

 完全に消し飛んでしまっていた。

 たいしたことはない。

 倒れた草花、地面に残る巨大な穴くらいのもの。

 ゾラグムにしろ一瞬にして消し飛んだため、

 他人の家の屋根をぶち抜いて

 などという事もなかった。

 そうなると後が大変だ。

 “御刀君にしろ

 そのくらいの判断はできるのか”ルリも。

 「こちらで何とかするよ」リョオ。

 四人は肩を並べ、ゆっくりと歩き始めた。

















 ラティファルムス界。

 そこは昼のみの世界。

 肥沃な大地に囲まれた小高い丘。

 その丘の上に

 ラトラス王ローレム五世の居城がそびえたっていた。

 「ラトリシアの所在はまだ知れんのか」

 “このような事が

 もしジュピトス様のお耳にでも入れば

 ラトリシアは”

 「何せ人間界にいる者たちだけでは手が。

 それに人を送り込むにしましても

 レイファグル・ゲートが開くのは

 一月先でございます。

 まあこれは何とでも。

 このラトラスの王宮内でも

 事情を知るものは限られておりますし

 あまり動きすぎますとジュピトス様に。

 いえ-----はい」

 そう答えるラトラスの大臣ティサースの顔にも

 苦悩の色がありありと浮かんでいた。

 何せ事もあろうに

 娘のアルメネーがラトリシア様をそそのかし。

 ローレムにしても

 眼の中に入れても痛くないほどに

 かわいがってきた最愛の娘を

 いくらジュピトス様の仰せとはいえ

 あのようなティトス様などに。

 ラトリシアが逃げ出したと聞いた時には

 アルメネーが逃走を助けたと聞いた時には

 内心“よくやった”と喜んだくらいである。

 しかし後のことを考えると。

 ジュピトス様がそのまま捨て置くはずがない。

 ジュピトス様のお力を持ってすれば

 草の根分けても捜し出され

 結局は連れ戻され、

 その後は

 泣く泣く結婚させられるというのならまだ幸い。

 下手をすると八つ裂きにされかねない。

 「なんとしても

 この事がジュピトス様に知られる前に

 ラトリシアを」

 “その後は。

 何とかうまくお断りせねば。

 しかし”

 「御心中、お察し申し上げます」

 その時。

 この城内の大広間の一角が突然ゆらぎ出した。

 「レイファグル・ゲート」

 ティサースが叫んだ。

 ローレムにしろ声もない。

 そこには見まごう事なき

 レムルレング界皇帝ジュピトスの姿があった。

 二人はひれ伏した。

 「ローレムにティサースか」

 そのまま玉座にどっかと腰を下ろした。

 今日はいつになく機嫌がいいようだ。

 「これはこれはご機嫌きげんうるわしゅう。

 恭悦至極きょうえつしごくに存じます」

 そういうローレム。

 気が気ではない。

 “もしや娘の事が”

 「うむ。

 ところで例の我息子ティトスとの縁談の話じゃが

 いかがあいなった」

 “そら来た。

 もっともジュピトス様がここを訪れる理由など

 他にはない”

 「身にあまる光栄。

 娘ともども喜んでおります。

 が-----」

 後が続かない。

 ジュピトスの眉がわずかばかりつりあがった。

 今まで散々息子の縁談を

 ことわられて来たせいか。

 ことわった相手はどうなったのか。

 聞くところによると

 あな恐ろしや。

 もっとそのあたりをよく調べてみねば。

 うまいことわり方でもそれで見つかれば。

 「が、なんじゃ」

 「何せ、ティトス様はジュピトス様の

 たったお一人の男子。

 行く行くはレムルレング界の皇帝となられるお方。

 私めの不肖の娘などと

 もったいのうございます。

 ティトス様ほどのお方なら

 我娘などよりももっとおふさわしいお方が」

 “こう言って難を逃れたという話は

 聞いてはいるが”

 「ローレム。

 それではその方

 我息子ティトスでは不服じゃと申すのか」

 「めっそうもございません」

 「我息子のティトスは

 父親のワシが言うのもなんだが。

 超能力者としても

 人品骨柄どれをとっても申し分ない。

 そのモテる事モテる事

 皇帝城ではティトスの名を聞いただけで

 若い女官たちは。

 イヤ、ウソではない。

 その方の娘とは似合いじゃと思うのだが

 どうじゃな」

 ジュピトスは思いにふける仕草

 ローレムの表情をジッと。

 「いえ、めっそうも。

 我娘などはティトス様に比べれば

 もったいのうございます」

 “人々に恐れられるジュピトス様も

 やはり人の親。

 あのようなティトス様を。

 ただの親ばかか。

 しかしそうなると

 もしことわれば”

 「ところでローレム。

 妙なウワサを耳にしたが」

 ローレムは心臓が口から飛び出すほどの

 衝撃を受けた。

 「ウワサ-----とおっしゃられますと」

 その声は蚊の鳴くよう。

 「その方の娘ラトリシアが

 ティトスとの縁談はなしを嫌って

 人間界へ逐電いたしたというウワサ。

 まさかとは思うが」

 ジュピトスの目は鋭い。

 「そのような事は

 決してあろうはずもございません」

 「そうか、ならば。

 我息子ティトスは断ったことはあっても

 ことわられた事などないしな」

 さぐるように。

 「ワシもまさかとは思ったのだが。

 ティトスに限ってことわられるはずもないしな」

 独り言のように。

 「引く手あまたというか。

 皇帝城内でもティトスの嫁になりたいという者は-----

 数え切れんほどおる」

 ジュピトス。意味有り気に。

 “これは本当にことわりでもすれば大変な事に”

 ローレムは震え上がった。

 「例えば

 他に誰か相手がおるとかは」ジュピトス。

 「そのような事は決して」

 ローレムは力を込めて言った。

 その点は確か。

 しかし他に相手がいるとここで言った方がいいのか。

 もしそう言えばどうなるか。

 考えただけでも。

 「それならば良い。

 ところで見合いの日取りを決めたいのだが。

 次のレイファグル・ゲートの開く

 一月後というのはどうじゃ。

 ティトスめを喜ばせてやりたいのでな」

 「仰せのままに」

 ローレムとしてはそう言うより他になかった。










































 護衛のレクノスたちの知らぬ間に

 レナ、ルリ、

 あろうことかリョオ、

 そしてその父親の行方まで

 わからなくなっていた。

 魔界の者たちの気配も消えている。

 それを聞いたメガトスは

 あのお二人の不意に誰にも-----

 気づかれず

 いなくなられるという気まぐれは

 いつもの事

 メガトスにしろたいして心配はしていない。

 レナとルリ

 この二人の方は。

 その後すぐにリョオたちが、

 メガトスにもわかるように

 飛び出していったため

 -----このような事は珍しい

 つまりメガトスにはジッとしていろという事か-----

 いつもの事だ

 あのお二人がいて

 飛び出していかれないわけがない。

 しかしまあ。

 メガトスは

 護衛に当たっていたレクノスたち三人を

 キツク?しかりつけたところだった。

 今は彼の部下総出で

 その足どりを追っているところ。

 メガトスにしろ

 まああのお二人がついていれば。

 下手に早く発見して

 足手まといにならないだろうか

 レクノスたち。

 それを心配しつつもメガトスは。

 そうこうする内に遠く離れた、

 あれはどのあたりだろう、

 場所で強力な“気”が炸裂し始めた。

 メガトスは

 “あのお二人がついていることだし

 それにあのお嬢様方にしろ”

 あらぬかたを捜していた

 レクノスたちはあわててそちらの方へ。

 リョオの家の前では

 メガトスとメイド達が気をもんでいる。

 そわそわと何も手につかない様子で

 彼らの報告を待っていた。

 小一時間もたっただろうか

 街灯一つの暗がりの中を四つの影が現れた。

 「リョオ様。

 それに御父君様。

 季崎様、堆星様も」

 メガトスの声には

 ホッとした安堵の響きがあった。

 「急におられなくなられましたので心配で

 部下たちを捜しにいかせたところでございます」

 「メガトス。心配などいらん。

 ワシとリョオがおれば誰が来ようと。

 それとレクノスたちとは

 帰りがけにバッタリと出くわしてな。

 魔界の連中の後片づけをまかせて来た」

 父親はニヤリと。

 「そうでございましたか」

 “このお二方にやられれば魔界の連中も

 まず”

 「それで御首尾はいかがでございました」

 「いや、なに

 ワシの出る幕は全くなかった。

 ここにいるお嬢さん方お二人が

 全て片付けてくださったよ」

 「お嬢様方が---

 魔界の者どもを」メガトス。

 “しかし妙な。

 このおふた方が

 魔界の連中をお嬢様方に譲るはずは。

 どういうことだ”

 そのような思いは

 おクビにも出さず。

 リョオの父はいたって上機嫌であった。

 このような事は珍しい。

 メガトスはリョオの父の機嫌を損ねないよう

 注意深く言葉を選んだ。

 「そうでございましたか」

 このような時には

 当たり障りのない

 受け答えをしておくに限る。

 まああの程度の小者

 なにも御父君様が。

 それにレナたちのこともある。

 下手にこの二人のお嬢さん方を

 ほめるような事をすれば

 ヤブ蛇になる恐れもある。

 何せ、リョオの父が強力に勧める縁談にとって

 二人は。

 「では、お嬢さん方。

 今夜はもう遅い

 これで失礼する。

 リョオもご挨拶せんか」

 リョオの父にしては丁寧この上ない。

 「あっ、そうそう。

 ラティファルムスのラトラス国王といえば

 ローレム五世でしたな」

 「ご存知ですの」

 レナは急な言葉に驚いた様子

 咄嗟に後が続かない。

 「エエ、お名前くらいは」

 別れ際のリョオの父の言葉である。










































 ここはリョオの父のために用意された部屋。

 リョオの父がここを訪れた際には

 常にここを使う事になっている。

 リョオの父はメガトスを呼びつけ

 その耳元でなにやらささやいている。

 「例の縁談の件じゃがの」

 「その事でございます。

 逃げた相手の娘を捜せと

 おおせられましても

 全く雲をつかむような話ですので」

 「-----」

 「ではあのお嬢様方。

 ローレム様の」

 メガトスはビックリした様子。

 「それではいかがいたしましょう。

 どのようにすればよろしいのでしょうか。 

 それにリョオ様には-----

 どのように」

 「その事じゃがメガトス。

 この事はリョオには伏せておけ。

 よいな。

 あいつへそ曲がりじゃからな。

 レクノスたちやメイドたちは知っておるのか」

 「いえ、レクノスたちには何も話しては。

 それと他の者たちを使って

 今捜させておりますが。

 彼らには一応話してしまいましたが

 いかがいたしましょう」

 メガトスは慎重に言葉を選んだ。

 「そうか。

 それならレクノスたちには決して話してはならん。

 それとその他の者たち

 リョオには会わせるな。

 口止めも忘れんようにな」

 リョオの父はそう言い残すと部屋を後にした

 いずこかへ出かけていった。

 リョオの父が帰ってきたのは

 それからしばらくしてだった。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ