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ギドリドス

 「なに!

 ローレムの娘だと」

 昼なお暗い闇の世界

 深い深い緑がかった暗黒が覆いかぶさる

 異次元の世界。

 生物は荒涼とした台地の上に根づき

 日々を送っている。

 ここは魔物の住む世界。

 異様な“気”に充ちたこの世界では

 人などという生き物は住む事などできない。

 不気味な姿の生物のみが闊歩かっぽしていた。

 はるかかなたに黒々とそびえる小高い山が

 夜目にもそのシルエットを浮かび上がらせ

 周囲の大地を

 そして生きとし生けるもの

 全てを押さえつけるかのように

 君臨している。

 その頂きには洋風のひなびた古城が

 異様な“気”を撒き散らしながら

 そびえたっていた。

 その古城の地下深く、

 怪物たちは闇を好むらしい、

 暗黒が支配するその広大な広間。

 「間違いないのだな」

 この城の主

 ギドリドスは眼を血走らせた。

 恨み重なるローレム。

 その娘とは。

 「はい。配下の者たちの知らせでは

 しかもティサースの娘アルメネーと

 二人だけで人間界に潜伏しております」

 「護衛もなしでか」

 ギドリドスの大きく裂けた口元が

 残忍にほころんだ。

 「ラティファルムスに居られたのでは手が出せないが

 人間界ならば」

 あそこには長年の宿敵ローレムが。

 奴は強大だ。

 そして奴の手下ども

 ギドリドスがこのような魔界のはてに

 半ば閉じ込められているのも

 ローレムの

 そしてその上位に位置するレムルレング界の皇帝

 ジュピトスのせいである。

 これまでにも数度

 いや数十度たび手下どもを使い戦いを挑み

 そしてその都度煮え湯を飲まされている。

 その奴らに今度こそは

 「人間界にいる手下どもを総動員しろ。

 なんとしてもローレムの小娘を始末させろ」

 いかに超能力の怪物。

 見るからにおぞましいその姿を持つ

 ギドリドスといえども

 この魔界からでは手の出しようもない。

 次にレイファグル・ゲートが開くのは一月の後。

 それまでは。

 しかし

 それはローレムも同様のはず。

 レイファグル・ゲートが開けば奴にしろ人間界に

 そうなれば小娘を始末するのは

 むづかしくなるだろう。

 それを察したのか。

 「なに。小娘の一人や二人

 今人間界にいる者たちだけで充分でございます」

 腹心のダルガムのへつらうような笑み。

 ギドリドスの表情は残忍さを増した。


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