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【001】女神リディア。彼女の苦悩はここから始まった……



「そ、そんな……返品できないの? クーリングオフないの?」

「残念ながら……一度実体化した魂は返品できません。クーリングオフもありません」


 うな垂れる女神。


「何、案ずることはない! その異世界、私が欲望のままに救ってみせよう!」

「ちょっと黙ってなさいよ、この変態っ!?」

「女神よ。私は変態ではない…………『変態紳士』だっ!!」

「あぁあぁぁ~~~~~~~~~どうしてこうなったぁあぁああ~~~!!!」




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「ふぅ~……もうこれしかないわよね」


 その女性は難しい顔をしながら、ある『申請書』を手にしていた。


「今回のテストでトップを取らないとまた千年待たないといけないなんて…………そんなのありえないわっ! 私が今回のテストで他の女神たちを抑えてトップに立ち、夢の『女神神官』というキャリアを手に入れるのよ!」


 女性はそう言いながらも、まだ迷っている節があった。しかし……、


「ここが正念場よ、リディア!! 大丈夫、あの魂なら……あの超絶スペックを持った魂ならきっと簡単に任務なんてクリアできるはず! そうよ、あんな超絶スペックを持った魂なんて私、今まで見たことないもの。それぐらいすごかったじゃないっ! 大丈夫……あんな超絶スペックを持った魂を偶然見つけるラッキーが訪れたってことは、私に『その道を行きなさい』という『天啓』みたいなもんじゃないっ! 恐れるな、リディア!!」


 彼女はもう一度、自分を奮起させるよう気合いを入れ直した。そして覚悟を決めたのか、透き通るようなきれいな青髪をなびかせ、颯爽と『窓口』へと向かう。


 バンッ!!


 リディアはいきおいよく『窓口』に申請書を出した。


「女神神官候補生、女神リディアです。『異世界救済任務』で…………お願いしますっ!!」


 女神神官候補生、女神リディア。


 彼女の苦悩はここから始まった……。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「えっ?!…………ちょ、なによ、これっ!!」



『窓口』に申請書を出す少し前…………リディアはある資料を見て驚愕していた。



――ここは天界。


 資料を見て驚愕の声を上げているのは女神リディア。


 現在、女神神官候補生の中から一人の『女神神官』を選ぶための最終試験に臨んでいた。


 数百人の女神の中、様々な任務をこなし優秀な成績を収めた上位五人の女神が『女神神官候補生』として選ばれる。そして、その上位五人の女神の中に彼女も含まれていた。しかし……、


「最終試験の時点で私の成績は五人の中で一番下。そして『女神神官』のキャリアを勝ち取れるのはたった一人の女神だけ。このままじゃ……このまま普通の任務をこなすだけじゃ……トップには立てない!」


 リディアは歯噛みしながら、このままでは絶対にトップに立てないという現実を冷静に分析していた。


「ふざけんじゃないわよ……これまでいろんなことを犠牲にして頑張ってきたのにここで終わりだなんてありえないわ! それだけじゃない…………あの現在トップの忌々しい『あいつ』に負けて『女神神官』となったあいつの下で働くなんて絶対にありえないんだからっ! むきーーーーーーー!!」


 気づけば、リディアは歯噛みから荒ぶる地団駄に移行していた。


「ふーふー……お、落ち着くのよ、リディア。まだ勝負はついたわけじゃない。美の象徴である女神リディアがこんなことで我を忘れて地団駄で荒ぶるなんていけないわ……」


 そう自分に言い聞かせる『美の象徴?』……のリディア。


「私の現在のポイントでトップのあいつに勝つには…………『あの任務』を選ぶしかないってことね」


 リディアは逆転でトップに立てる可能性が残されていることを把握していた。しかし……、


「……でも、誰も選びたがらない『あの任務』。下手すると『女神』という特権自体も剥奪される恐れがある『あの任務』…………リスクが高すぎる。でも、これだけのポイント差をひっくり返すには『あの任務』を選ぶしか私に勝ち目はない。でも、『女神神官候補生』である上位五人に選ばれた時点でそれなりの『特権』も得られる……」


 リディアは『逆転』を選ぶか、『現状維持+特権』を選ぶかで答えを出せないでいた。


「『異世界救済任務』……か」


 リディアは、唯一逆転の可能性がある『あの任務』…………『異世界救済任務』の資料に目を通していた。



------------------------------------------------------



『異世界救済任務』


太陽系惑星『地球』に住む『人間』という種族と共に、

太陽系惑星『地球』とは別の平行世界の『地球(異世界)』

にて平和を脅かす『魔王』の討伐を行う任務。


『魔王討伐』を共に行う『人間』の選別対象は現在、

『天国への階段』で天国行きに並んでいる『人間の魂』と

する。


その際、任務内容を同伴したい『人間の魂』にきちんと告げ、

その上で交渉し両者の合意が得られないといけない。


両者の合意が成立すれば、その『人間の魂』を転生させる

ことができる。


任務開始は、二人が『異世界』へと転生してからスタートと

なる。期間は異世界の時間軸で『三年間』とする。


※異世界の時間軸で三年間=天界での一週間


尚、『任務達成できない場合』は女神から天使へと降格。

さらに、女神が『死亡』した場合は人間へと降格し、再び

『輪廻のことわり』での修行となる。


…………


…………


------------------------------------------------------



「異世界の時間軸で『三年間』…………か。やっぱり簡単じゃなさそうね。それにこの一文……、



『死亡した場合は人間へと降格』



「お、恐ろしい……恐ろし過ぎる。女神辞めてもう一度人間に戻るなんて……ありえない、ありえないわっ!」


 その一文に、青い顔をし鼻水が垂れていることも気づかず打ち震える『美の象徴』……女神リディア。


「……異世界へ行ったら女神の力は制限される。だから、この任務で重要なのはこの任務期間の『三年間』で魔王を倒すことのできる『ハイスペックな人間の魂』を見つけられるかに掛かっているってわけよね…………グビ!」


 リディアは天界で大人気の飲み物『ルービー』を一口引っ掛けながら、今度は『注目! ハイスペック候補の人間の魂』という資料に目を通した。


「……なによ、この数」


 その……『注目! ハイスペック候補の人間の魂』という資料はリディアの机はおろか、書斎の七割を占領するほどの量だった。


「無理よ! ありえない! こんな大量の資料の山から魔王をやっつけられるほどの『ダイヤの原石』を見つけるなんて! だいたいなんでデータで寄越さないのよ~~……あ、ウチ、パソコンなんて高級品ないんだっけ~~!!」


 リディアは貧乏…………コホン、『清貧な生活』を送っていた為、高級品のパソコンを所持していなかった。そんな清貧生活を送るリディアの『ルービー』の量がどんどん増えていくこと……数時間後、


「あ~~~もう面倒くさいっ! もういい! 今回の試験はもういい! あの忌々しい『ぶりっ子仮面』のアリーシャに『女神神官』のキャリアなんてくれてやるわよっ!!…………うい、ヒック!」


 すっかり出来上がってました。


「う~~でも……でもやっぱ嫌っ!…………これまでいろいろアリーシャに横取りされてきたけど、今回だけは……グス……『女神神官』だけは奪われたくないっ!! うう……でも、もう、どうしたら……グス……いいの……」


 だんだんと面倒くさい女になりかけたその時、


「……あっ」


 リディアは机に置いてあった『ルービー』を取ろうとした際、誤って『注目! ハイスペック候補の人間の魂』の資料にこぼしてしまう。


「ああああ~~~~!! ま、まずい~~~!! これ、オリビアから借りてた資料なのに~~!! い、急いで拭いて乾かさなきゃ…………こ、殺されるっ!!」


 リディアは急いで『ルービー』がこぼれた場所を拭き始める。すると、その中で一番ビチョビチョに濡れた一枚の資料に目が止まった。


「えっ?!…………ちょ、なによ、これっ!!」


 リディアの目に止まった『注目! ハイスペック候補の人間の魂』の一枚の資料には、リディアがこれまでに見たこともないような『超絶ハイスペックな才能と能力』を持った人間の情報が記されていた。


「こ、これだっ! この『人間』なら……………………勝つるっ!!!」


 濡れた資料を拭くのも忘れるほど、『異世界救済任務』を成功させることのできる可能性を持った『ダイヤの原石』を見つけたリディアは…………後日、オリビアにぶっ飛ばされたことは言うまでもない。






いきおいでもうひとつ作品を投下。


今回は『ギャグ作品』です。


あ、間違えた……『変態紳士作品』です。


とりあえず『かくも楽しき』のシリアス色が強い作品とは逆のコメディ作品を書くことで、個人的なストレス発散を行う形で始めました。


『かくも楽しき』と同様、『変態紳士』もよろしくお願いします。


素人なので『誤字・脱字・設定矛盾』などなどが起きても『ご都合主義』な感じで進むと思うので、その辺は何卒、何卒、温かい目で見守っていただければと思います。


2017/9/8 mitsuzo

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