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 神様は俺の返事に答える。


 「もちろんだとも。そのためだけにケンに接触した。ラスに日本語は通じないので、特別に言葉が分かるようにしてあげよう。それ以外に望む力を一つ述べよ。その力を持って異世界に行け」

 

 神様は言った。戦争・災害・魔物・魔法があると。なかなか危険な世界だ。

 どうやって生計を立てるのか。強靭な肉体をもらって傭兵にでもなるか。いや、俺は戦いには向いてはないだろう。ならどうするか?俺の頭では分からない。分からなければ誰かに聞けばいい。


 「神様のおすすめは何でしょうか。どうしたら簡単にお金を稼げると思いますか?」

 「冒険者ギルドというものがある。そこで魔物の討伐や、戦争に参加して名をあげろ。名声と莫大な富を得ることができよう。そのために、攻撃魔法か、肉体強化を選ぶことをおすすめする」


 やはり肉体を強化してもらうべきか。無敵の体で戦場を駆け回る……!!って肉体労働者じゃないか。10年以上肉体労働に従事していたので知的な仕事をしたい。

 神様の知恵を頼るのを一旦やめよう。自分の人生だ。自分で決める。

 日本でと過程するのならば、文系なら弁護士。理系なら医者がお金を持つ近道……のような気がする。弁護士か。ラスの法律を丸暗記できるように【記憶力】を貰おうか。う~ん。中世の世界に弁護士という職業が務まるだろうか。お金と権力で解決されそうな気がする。

 医者にしてもらおうか。魔法がある世界だ。【治癒魔法】で立身出世なんてものもいいかもな。決めた。

 

 「随分悩んでいたみたいだな。して、答えは?」

 「【治癒魔法】でお願いします。【肉体強化】と悩みましたが……。ラスでは医療技術も発達してない……と思われます。戦争や災害。魔物により人々は傷つくこともあるでしょう。だから俺は【治癒魔法】でお金を稼ぎたいと思います」

 

 俺の返答に満足したかのような笑みを浮かべる神様。


 「ケンの望むままに。神たる私が、最高の【治癒魔法】の力を授けよう。ラスにも治癒魔法の使い手はいる。だが、ケン以上の使い手はいないと保証する」

 「それを聞いて安心しました。用法や効果を教えてください」

 「使い方は簡単。治したい箇所に手を当てて念じるだけだ。【死者蘇生】以外は効果があると思っていい」

 「おお」


 これなら楽にお金を稼げそうだ。


 「ただし、一日一回だけしか【治癒魔法】を使えない」

 

 ま、そうだよな。死者蘇生以外治る治癒魔法なんてチートだよな。何かしら制限があると思った。


 「まだ他に言ってないことはありませんか?」

 「大事な事を忘れていた。3年後。ケンが30歳になる日までに金貨を100万枚稼げ。さもなければ、ケンは死ぬことになる」

 「え、え!なぜ死ななければならないのですか!」

 「そうでも言わないと、適当に【治癒魔法】で稼ぎ終わったら働かなくなると思ってな。金貨を入れる袋も渡そう。この中なら重さも、容量も関係なく硬貨を入れることができる」


 渡された麻のような袋。コンビニの小さい袋くらいの大きさ。上に締まる紐がついている。とても硬貨を何百、何千枚も入れれるようには見えない。ただ神様のものだ。信用しよう。


 「言葉を与えた。治癒魔法を与えた。金貨を入れる袋を与えた。さあ、行くのだ」

 

 神は両手を広げる。


 「あ、待ってください。神様に感謝を伝えたいので、一曲歌わせてください」

 「いらん。では、異世界に行くのだ」


 神は再び両手を広げる。


 「待ってください」

 「ふざけてるのか!!」

 「違います。服装です。ラスに行った場合どのような恰好になるのですか?今私が着てる安物の青のパジャマのままでということになるのですか?ちなみに裸足で靴も履いていません。その状態で行きたくありません」

 「分かった。適当にラスにいても違和感がない格好の服装を贈呈しよう。もう何も質問はないな!?」

 

 神が怒っているのか、下の海の波が荒れてきた。天候も今にも嵐になりそうな不穏な気配がする。

 これ以上は危険だが。こちらも命が掛かっている。

 

 「待ってください。お願いします。私に光をください。体の一部や、全体に自在に発光できる能力を!」

 「なぜ?」

 「暗いと眠れないからです。(嘘)お願いします」

 「……分かった。では、異世界――」

 「待って……」


 ケンの言葉をかき消すように波の音が重なる。ケンは消えて神様だけが残った。


 「人選を間違えたか?」


 金貨100万枚。ケンは3年後に果たして集められるのだろうか。


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