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お金が欲しい

 「お金が欲しい」


 5畳しかスペースがない安普請のアパート。(トイレ共同・風呂なし……!)に住む男がいた。

 

 「寝よう……」


 部屋には最低限のものしかない。娯楽がないので寝るだけだ。男にもお金があればもっといい部屋に住みたい。いい車に乗りたいと際限ない欲望はある。

 

 男は奇妙な夢を見た。海の上5メートルくらいに、テーブルとイスが宙に浮いている。その片方の椅子に男は座っていた。潮の香りがやけにリアルに感じる。


 「やっと気づいたか?」

 

 若い男が自分を見つめていることに気が付いた。

 20歳の髭も満足に生えてないような若造だ。だが、かなりのイケメンだった。

 

 「ぁあ……!?あんたは誰だ?俺は……眠っていたのに。ここは夢なのか」

 「夢ではない。私はここではない世界を幾つか管理する者だ。ケンの世界の言葉にすると神と呼ばれている」

 「神?はは……。神様が俺に何のようだ?夢だから俺の名前ケンを知っていても不思議ではないな」


 男はまだここが夢の中だと思っている。


 「まずは私の話を黙って聞け。お金が欲しいだろ?」


 当たり前だろ。


 「欲しい!」

 「率直でよい。お前(ケン)のことは調べさせてもらった。父親が不倫して失踪。母親も不倫相手と暮らす。残された年の離れた妹のために、ケンは高校を中退して妹を養う。先日妹が大学を卒業し、やっと肩の荷がおりたといった所か。泣ける話じゃないか」

 「よせやい。照れるぜ。あ、もっと褒めてくれてもいいぞ」

 「……」

 

 

 ニヤニヤと笑っていた自称神様は真顔になっていた。

 こちらも真面目に対応する。

 

 「すみません。それで、俺の話がどうお金とつながるのですか?」

 

 自称神様は、俺の頭からつま先まで、値踏みするような鋭い視線を向ける。

 ぞわりと、夢の中のはずなに鳥肌がたった。


 「私が管理している一つの世界に行ってもらいたい。その世界は戦争・災害・魔物により疲弊している。私が特別に力をやろう。その力でお金を稼ぐのだ」

  

 それから神の話を何となく聞く。

 なぜか男はここが夢ではないと感じた。

 


 「大体話は分かりました。神様が直接介入はされないのですか?またなぜ私なのでしょうか?」

 「一つ目の話は答えられない。二つ目はケンがお金に貪欲だからだ。今時の日本人には珍しい。休みより、働いてお金が欲しいとはな。目的に貪欲な人材の方が向こうの世界では適応できる。異世界の名前はラスという。こちらの文明の尺度で考えれば、中世ヨーロッパのそれと同等。ただし、ラスには魔法が存在する……」

 

 (魔法……!ゲームの世界みたいだ)

 ケンはお金がないので、ゲームで遊んだ経験はあまりなかった。青春時代からは妹のためだけにすべてを費やした。


 「俺もラスという世界では魔法が使えるのですか?」

 「使えるとも言えるし、使えないとも言える。力を与えると言ったな。それ次第では魔法を使えるようになる」


 「異世界に行った場合、俺は二度と地球には帰ってこれないのでしょうか?」

 「無理だ。力を得る代償に地球を離れねばならない。何を悩む必要があるのだ。お金が欲しいくはないのか?もっと稼ぎたいだろ?」

 「はい」

 「中卒で27歳の男をどの企業が雇う。資格もない。職歴はバイトのみ」

 「それは……!そうですね。日本にいても大金を稼ぐのは難しそうですね。でも妹に会えなくなるのは」

 「大丈夫。妹はケンのことが好きではないから」

 

 嘘だろ。あれだけ身を粉にして働いたのに。複数のバイトを掛け持ちしたことを思い出す。正社員だと副業が不可が多いので、ケンはずっとバイトをしていた。18歳を過ぎたら時給がよくなる夜中の仕事もしていた。眠い中、ただひたすら耐えていた。

 だけど……思い当たる節は幾つもある。


 「そうか……俺はもう、あいつのために頑張る必要はなくなったのか。今度は自分のために金を稼ぎたい。お願いします。俺をラスに行かせてください」


 ケンは神様に頭を下げた。


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