うたた寝
二十歳頃のある冬の日、札幌から旭川へ帰る夜の最終列車で、一人窓側に座っていると、途中の駅で客が乗り、同じ年頃の女性が、
「隣、いいですか?」
と言って、相席することになった。
車窓は暗く、景色も代わり映えがなくなり、私はそのうち、うつらうつらとうたた寝をしていた。
肩に重みを感じ、ふと目が醒めた。
隣に座っている女性が、私の肩にもたれかかって眠っていたのだ。
長い髪をコートに垂らし、小さく寝息を立てている。ほんのりと甘い香りがしたのは彼女の香水の香りだろうか。
あんまり気持ち良さそうに眠っているので、起こすに忍びなく思い、私は再びそのまま目を瞑った。
きっと、私も彼女にもたれていたのだと思う。
うたた寝が心地よかった。
隣の彼女は途中下車したのだろう、気がつくといなかった。
列車の窓が寒さで白く曇っている。外には青白い雪景色がどこまでも続いている。
私は急に寒さを感じてコートの襟元をしめた。
無性に人肌が恋しくなった。
もう少し、寄りかかっていたかったなあと、少し残念に思った。




