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第9章:国家のレバレッジと破滅の錬金術

作者:三澤賢司
最新エピソード掲載日:2026/10/08
霞が関の経済政策統合本部。極秘の会議室のホワイトボードには、国債発行で集めた国家の借金をそのまま政府系ファンドの運用元手にスライドさせ、株式市場でのハイリスク運用やデイトレードで儲けた利益を財源に充てるという、常軌を逸した「仮説スキーム」が血の色のマーカーで描き出されていた。
若手エコノミストが提示したこの国家規模の錬金術に対し、ベテランの政策統括官はそれが国家を自滅へと導く「禁断のレバレッジの呪文」であると一蹴する。GPIFの原資が国民の保険料余剰(純資産)であるのに対し、国債発行は100%返済義務のある借金である。つまり、国が自らの信用を担保に「全額借金でレバレッジをかけた信用取引(ギャンブル)」を行っているに等しい。万一の大暴落時には数兆円の損失がそのまま国家の債務超過やデフォルトに直結し、さらに国債の乱発による金利高騰が国内の利払い負担を爆発させ、自ら蒔いた炎に身を焼かれることになる。さらに、国家権力による相場操縦まがいの介入は、自由主義市場の死と国際社会からの完全な孤立を招く「国家資本主義の毒薬」にほかならない。
正面突破の法改正や国の借金を株につぎ込む野蛮な錬金術という「パンドラの箱」を完全否定した男たちは、破滅への誘惑を断ち切る。そして、住宅金融支援機構の不動産キャッシュフローやデリバティブ回路が緻密に噛み合う「全く新しい自律循環型の財政・金融インフラ」の構築へ向けて、静かなる決意を固めるのだった。
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