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転生したら悪役令嬢の白豚パパでした!?~うちの子は天使で元恋人は最強騎士です?オーラを見極め幸せを掴め!~  作者: 緒沢 利乃
社交シーズン春①

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伯爵、王都に到着

バタバタしつつもシャーロットちゃんとの交流も続けて、伯爵としてクラークたち役所の職員たちと会議して、またまた会議をして、ダイエットしてと忙しい日々を過ごした。


王都行きの馬車が伯爵邸を出発するときには、シャーロットちゃんや使用人たちが見送ってくれたから、少しは白豚のイメージアップができていると信じたい。


王都までそんなに遠くはないが、主に馬車を牽く馬の健康のために、こまめに休憩を取り、ゆっくりと旅路を進んだ。

俺のダイエットにためにも、休憩のときにはウォーキングをしたり、ラジオ体操もどきをしたり頑張った!

まあ……ベンジャミンたちには冷たい目で見られていたが……白豚がウォーキングできるようになったのを褒めてくれ!


王都はバカ高い壁に囲まれ、入るのに兵の厳重なチェックを受ける。

伯爵家の紋章が入った馬車だから、専用の門へと案内されてほぼ顔パスだけど、門番の奴が俺の姿を見て目を剥いて驚いたのは忘れない。


ガタガタと石畳の道に変わったところを馬車でゆっくりと進み、市民で賑わう区画を過ぎ貴族街と呼ばれるお屋敷が密集する場所へと進む。

また、貴族街に入るときも門番のチェックを受けるが、社交シーズンでも滅多に王都へは来ないオールポート伯爵の姿に、二度見された。


「まったく」


太い腕では難しいが腕を組んで、俺はフンッと鼻から勢いよく息を出す。

まるで動物園の珍獣扱いだなと門番たちの態度に気分を害していると、ガッタンと馬車が止まる。


「セシル様。タウンハウスに着きました。これからエントランスまで移動します」


「わかった」


前世の意識だと、ここで馬車を下りて歩いて移動するのだが、さすが貴族の屋敷だけあって、門からエントランスまで広い、広い、無駄に広い!

馬車に乗って移動しないと、俺のこの白豚の体だと途中で行き倒れてしまう。

しばらく進むと静かに馬車が止まり、ガチャリとベンジャミンが扉を開けた。


「セシル様。到着しました」


「うむ」


一人では下りられないからベンジャミンの手を借りて、重い体を左右に揺らしながら「よっこいしょ」と馬車を下りた。


「うわっ」


よく映画とかで見る光景だ……使用人の数は少ないけど……。

オールポート伯爵家のタウンハウスのエントランスには、そこで働く使用人たちが左右に並んで主である俺の登場を頭を下げて待っていた。

口をパッカーンと開けて呆けている俺の横っ腹にディーンの肘打ちが入る。


「声をかけてくださいよ」


「うえっ? お、俺がか?」


自分を指差しディーンへと問いかけると、すっごく呆れた顔をされた。


「……コホン。あー、ただいま?」


ビシッと使用人たちの間で空気が割れた気がしたが、他に何を言えばいいんだ!

ベンジャミンが手で頭を押さえているのと、ディーンが「プッ」と吹きだすのが見えたが、俺にはこれが精いっぱいなの!


「……セシル様、お帰りなさいませ」


一番手前にいた男……タウンハウスの執事かな? ちょっと年齢がいった男がにこやかな顔を俺に向けた。

……あ、タウンハウスの使用人には俺が記憶喪失なの知らないんだよな?


領地では、ベンジャミンとライラ、ディーンとノーマン、マリーとメイ。他には料理人のジャコモと庭師の爺ちゃんは知っている。

この男には話しておいたほうがいいのか、俺には判断が付かないので、教えてベンジャミン先生!

俺の訴えるような必死な目にベンジャミンはひとつ頷くと、俺の前に出て執事の男に話しかけた。


「ヴァスコ。セシル様はお疲れです。すぐにお部屋へ案内し休んでいただきます。他の者は仕事に戻りなさい」


「「「ハッ」」」


小気味いい返事をしたあと、バーッと使用人たちが散開していく。

残ったのは執事の男だけだ。


「ふーっ。久しぶりですね、ベンジャミン殿。領地に巣食った害虫の大掃除、ご苦労様でした。ところで……」


執事の男、ベンジャミンにヴァスコと呼ばれた奴は、ベンジャミンに親し気に話しかけ労ったあと、ギロリと俺を睨んだ。


「で、セシル様のようでセシル様ではなさそうな、この方はどなたです?」


げえええええぇぇぇっ、バ、バレてる?





















タウンハウスの俺の部屋……と言ってもほとんど王都に足を運ばなかった俺には見慣れない部屋。

いや、記憶にないからどこ見ても見覚えはないが、領地の屋敷と同じ大きさのバカデカイベッドを見て、自身の部屋だと確信が持てる。

この白豚が寝返りがうてるベッドなど、そうそう貴族の屋敷だったとしてもないだろう。


その自室の居間で、俺は一人掛けのソファーにちんまりと体を縮めて座り、珍しくソファーに座っているベンジャミンはどこか遠くを見ている。

ディーンの奴は逃げた。


「つまり、セシル様は記憶がなく、また記憶が戻ることもないままに、シャーロット様の立場を憂い、コーディたちを追い出した、と?」


俺は悪くない。俺は悪くないと呪文のように呟きながら、コクリと頷いた。


「それだけでなく、いろいろと領地運営に関して動き出していると?」


「ヴァスコ。たとえ記憶がなくてもセシル様はセシル様だ。別にオールポート領の運営に口を出しても……」


「黙っていてください。私はセシル様に確認しているのです」


うわーっ、あのベンジャミンがやりこまれているよ。どんな関係なの? ベンジャミンってオールポート家の執事長でしょ?

いや、ヴァスコって執事のほうが年齢は上みたいだけど。


「セシル様。どんなことを考えているのか、ハッキリとお聞かせください」


「あー……ベンジャミン」


助けを求めてもベンジャミンは力弱く頭を横に振るだけ。

しょうがない、正直に全部話しましょう。そうしましょう。


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