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転生したら悪役令嬢の白豚パパでした!?~うちの子は天使で元恋人は最強騎士です?オーラを見極め幸せを掴め!~  作者: 緒沢 利乃
領地経営編 ①

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領主、叱られる

期待以上の視察を終え、盛りだくさんな企画書を抱えて、クラークはいい笑顔を残し領都の役所へと戻っていった。


久しぶりの外出で疲れただろうシャーロットちゃんにはすぐ休むように伝え、俺は今日のダイエットトレーニングとお仕事を片付けなければと、一歩踏み出した途端、膝から崩れ落ちた。


「うわっ!」


「セシル様!」


いつも冷静沈着、無表情なベンジャミンが慌てて俺の体を支えてくれるが……重いだろう?


「どうしましたか? 医者を呼びますか?」


「……ああ、俺も疲れたのかな? 足がガクガクしてる」


俺も視察と馬車の中でのミーティングと気を張っていたからな、疲れと重みが足にきているのに気づかなかったみたいだ。


「ふぅっ。心配させないでください。今日はもうお休みになられましょう」


「いやいや、ダイエットは一日でも休んだらダメなんだぞ?」


一日の気の緩みがズルズルとだなぁ、と続けて言えない圧をベンジャミンからひしひしと感じたので、俺は口を噤んだ。


「お父様?」


ああ、シャーロットちゃんまで心配そうに眼を潤ませている。


「わかった。休むよ。でも疲れたから風呂には入る」


汗も流したいし、血行をよくしておきたい。


「はい、準備させましょう。ディーン、お前はセシル様の介助とマッサージを」


「はい、わかりました。んじゃ、行きましょうか、セシル様」


「ああ、すまないな」


風呂の介助なんて恥ずかしいのだか、このふっとい体を隅々までキレイにするには必要不可欠!

しかも、マッサージ付き。ディーンには重労働だが、よろしく頼む。


こうして、視察を終えた俺は、えっちらおっちらと階段を上り、自室の風呂に入ったあとのマッサージで昇天して、朝まで目を覚まさなかった。

あ、夕食を食い損ねたけど……運動をサボったから丁度よかったかも?
























「ハーディング侯爵様から王都でセシル様とお会いしたいとのお手紙が届いております」


「ハーディング侯爵が?」


俺はベンジャミンの言葉にグリンと首を動かしてしまい、ミセス針夫人に「動かないっ」と叱責された。


俺はいま、王都で催される王家主催の夜会に着ていく正装の試着をしている。

コーディたちを追い出したあと、ベンジャミンは俺が社交シーズンに王都へ行くことを予感していたのか、すぐに正装を誂える手筈を整えていた。

ダイエット中だから、新調しても無駄になるのになぁと採寸して仮縫いして、試着の段階でも、白豚の贅肉は取れなかった。


んで、最終チェック中なので、俺は両腕を水平に掲げてジッとしているのだ。

その間に、届いた手紙をベンジャミンに代読してもらっている。


「いろいろとお世話になったし、借りたものの代金の話もしなきゃならん。王都でハーディング侯爵のタウンハウスに行けばいいのかな?」


俺の実家らしいが、当然異世界産の俺の意識がほぼ占めている白豚なので、白豚自身の記憶はほとんどないから覚えていない。


「……いいえ。ハーディング侯爵様自身がオールポート伯爵家のタウンハウスを訪れるそうです」


「それって……いいの?」


いくら俺の実家で兄ちゃんだったとしても、あっちは侯爵家でこっちは伯爵家。しかも最近は何かと甘え放しである。

ゴクンと生唾を飲み込むと、ベンジャミンもやや眉を下げているが何も言ってこない。


「んー、じゃあ、夜会の前にセッティングしてくれ。そうしたら夜会で何かあっても頼りやすい」


なにせ、オールポート伯爵は社交が久しぶり。王城の広い広いパーティーホールでボッチ確定だからな。

せめて、ハーディング侯爵の顔を知っていれば、多少他の貴族との顔合わせもしやすいだろう。

特に、近隣の貴族との橋渡しをお願いしたいところだ。


「そうですね。ハーディング侯爵様には例のことを正直に話すべきだと具申します」


例のこと? ああ、俺が記憶喪失でまったくの別人になっていることね。

さすがに前世を思い出した、もしくはこの白豚に憑依しているかもって話は誰にもしてないもんね。


「わかった。ハーディング侯爵にはすべてを話して、これからも協力してくださるよう頼もう」


兄弟仲は悪くないよね? だって、いままでも結構な助力をいただいてますし?


「……セシル様。お願いですから、ハーディング侯爵様のことをハーディング侯爵と呼ぶのはお止めください」


深ーいため息つきでベンジャミンからお小言をもらったがどうした?


「いや、ハーディング侯爵はハーディング侯爵だろう?」


他にどう呼べつーんだよっ。

しかし、ここでチラッとベンジャミンがミセス針夫人と助手のお針子さんたちへ視線を向ける。

俺もつられて見ると、なぜか夫人たちは「聞いてはいけないことを聞いた」みたいな固い表情をしていた。

そういえば、俺が「ハーディング侯爵」と口に出すと、みんな固い表情をしていた気がする。


「兄上と。公式な場ではハーディング侯爵様ですが、ご兄弟なのですから兄上と。ご本人様に向かって決してハーディング侯爵などと他人行儀にお呼びしないでください」


「お、おうっ」


ベンジャミンが荒ぶっておられる。

そうか……兄弟なのに、俺が「ハーディング侯爵」と距離感のある呼び方をしていたから、周りが気を遣っていたんだな。

二人、若しくは両家の間には確執があるのでは? と。


「気を付けてるよ。兄ちゃんだもんな」


「兄上です」


ああ、はい、すんません。

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