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転生したら悪役令嬢の白豚パパでした!?~うちの子は天使で元恋人は最強騎士です?オーラを見極め幸せを掴め!~  作者: 緒沢 利乃
領地経営編 ①

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領主、食べたくない

領地の西側で出会ったラスキン博士を屋敷に連れて帰ることを諦めたが、クワの葉やカイコのことが聞きたいと訴えると、彼の家へと招待された。


彼の「(オーラ)」は全体が涼やかな水色に紫色がマーブル状にあり、透明な輝きがキッラキラしている。

体に沿うように淡いオレンジ色がチラチラしていて、頭上には金色のサークルが見える。

たぶん、冷静で知能が高く研究者タイプで、穏やかな気質の人。人としての徳が高いからキッラキラしているのかもしれない。

俺だけが見えるであろう「(オーラ)」が正しければ、このラスキン博士を味方に是非とも引き入れたいと思うぞ!


「狭いところですが」


「……邪魔する」


うん、狭いね。俺たち全員は無理かな?


「ディーンはシャーロット様とマリーと一緒に馬車へ戻りなさい。マリーはシャーロット様にお茶を。クラーク様はセシル様と一緒に」


同じことを思ったベンジャミンがテキパキと人選をして指示を出してくれた。

シャーロットちゃんには悪いけど馬車の中で休憩しつつ待っていてほしい。

クラークは一緒に話しを聞いてもらわんと、これからの領地運営に大事な話だろうからな。クラークはラスキン博士に苦手意識があるかもしれないが、我慢しろ。


王都の学園で教鞭をとった博士と呼ばれる人の住まいにしては……質素だな。

サイズの合わない板を組み合わせた薄い壁と、雨漏りしそうな朽ちた屋根。土間にある年季の入った竈と水甕。ペラペラの敷物が敷かれただけの床。

……まだ春先で寒い日もあるだろうに、暖炉とかないの? 暖房の魔道具があるとか?


「戸惑っておられるようですが、ここらではワシの家が一番まともでしてね。他の者の家はもっと酷いですぞ」


人の好さそうな笑みを浮かべているが、気のせいでなければ俺を見る目がギラついてるんだよな。


「いや、構わん。早速、聞きたいことがある」


ゴクリ、と誰かが唾を飲み込む音が響く。


「あのカイコ。増やせるか?」


「「はい?」」


ん? なんでラスキン博士はともかくクラークまで不思議そうな顔をする。


「あのカイコを増やすのですか?」


「いやいや、伯爵様、セシル様。そもそもカイコガって大人しいですけど魔虫ですよ? 弱いしほぼ無害ですけど騎士団が派遣されてもおかしくないですよ?」


「うち、騎士いないんだよ。あいつらがゴロツキを雇って騎士たち追い出したから」


自分たちの悪事のために正義の騎士を追い出し、悪党のゴロツキたちに騎士の恰好をさせていたんだ。

ああ、以前勤めていた騎士たちが戻ってくればいいけど、新しく編成しないとな……。


「そういうことではないんですが…」


クラークが手で顔を覆って何やら言っているが、無視だ。


「で、できそうか? できれば蛹になったときの繭で糸を作りたい」


「い、糸ですか?」


「あれ? その研究をしているんじゃないの? 育てるためにクワの木を増やしんじゃないの?」


こっちの植生は知らんが、桑の木は高いものだと10mになるものもあるらしい。栽培するのは低木で2m~3mぐらい。

カイコがいた場所のクワの木は2mぐらいだったし、周りの木は別種だったから挿し木で増やした木だと思ったんだが。


「確かにカイコガの幼虫を育てるために、クワの木を挿し木で増やしておりましたが。糸とは?」


「繭はどうした?」


「蛹から孵ったあとは捨てておりました。カイコガもその場で処分しております」


……この人なんのためにカイコガの研究してんの?

俺の疑問が顔にでも書いてあったのか、ラスキン博士は研究の動機をつらつらと口にし始めた。


「カイコガの幼虫はか弱く、子供や女性、年寄りでも討伐できます。また栄養もそこそこありますので、毒素がないのか調べ尽くした後……食用にできないかと」


ま、まさかの食用研究だったあああぁぁぁっ!

俺の顔はいま、真っ青になっているのにちがいない。

いや、ゲテモノ食いが好きな連中はいたが、俺は虫を食うのは苦手だ。


「で、できれば……糸を作る研究に変更してほしい」


繭をさ、高温乾燥すれば長期保存もできるし、丸ごと茹でて解れてきた糸を撚り合わせれば絹糸になるからああああぁっ。


「糸では人の腹は膨れません」


「あー……、そうだな」


どうやらラスキン博士は、ここに住むしかなかった領民の生活改善のために尽力しているみたいだ。

まずは「食」からって、かなりここの人たちが困窮しているのがわかるぜ。


「教えてほしい」


俺は少し姿勢を正して頭を下げてお願い……したいけど、頭を下げすぎると、そのままでんぐり返しになってしまうから、気持ち下げる。


「……なにを?」


「ここの状況を。俺はオールポート領を富ませたい。それは次代のシャーロットちゃんに苦労をかけたくないからだ。今までの当主たちはこの地を放って置いていたが、俺はここに自力で賄える産業を興したいと思っている」


「産業?」


そうだ。

オールポート領では農作が盛んで鉱山もある。

しかし、農作は天候に左右され過ぎる。特に、この異世界の天候がどうだかわからんが、前の世界でも天候不良からの不作や飢饉はあった。

そして、鉱山も頼り過ぎると危険だ。宝石が採れると聞いたが、採り尽くしてしまえば終わる。

天候が悪く農作物に影響が出て、鉱山が廃山になれば、オールポート領はたちまちに立ち行かなくなるのだ。


「ここに産業ができれば、働き手が必要となるだろう? ここにいる者たちがどういう者たちなのか。俺の考えることを共にやってくれるのか。教えてくれ」


もう、これ以上人手不足でハーディング家から人を借りるわけにはいかないんだよっ。


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