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転生したら悪役令嬢の白豚パパでした!?~うちの子は天使で元恋人は最強騎士です?オーラを見極め幸せを掴め!~  作者: 緒沢 利乃
領地経営編 ①

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20/31

領主、運動する

ゴーロゴロゴロ、ゴーロゴロゴロ。


はああああっ、彼女との別れ話で階段から突き落とされ命を落とした俺が転生したこの世界。

冗談みたいな異世界で、転生したらしき俺は伯爵家の当主で、人としてクズな男で外見は見事な白豚。


なんとか、伯爵家に巣食う害虫たちを掃討して訪れた穏やかな日常……には、まだほど遠い。

俺の子供と偽って後妻として入り込んだ女とそのヒモ男に荒らされた領地経営の立て直しと、自称後妻とその連れ子に虐められていた我が娘の伯爵令嬢の療養、とにかく問題が目白押しなのだ。


ついでに、俺の日常生活に支障がでまくりのこの体ね。只今、絶賛ダイエット中だよ。

でもさ、ジョキングなんてできないし、ウォーキングも膝が壊れそうで無理だし。屋敷の階段の昇り降りも怖い。

プールで浮力を活かして運動……ってプールないし。

食事だけじゃ痩せないこの体の脂肪、運動は必須なんだよなと思い悩み、苦肉の策がこれである。


ゴーロゴロゴロ、ゴーロゴロゴロ。


「……まだですか?」


「まだ、ハアハア、に決まっている、ハアハア、だろう」


ゴーロゴロゴロ、ん? たまには丸まってからの~体を伸ばーす、ゴーロゴロゴロ。


「それ、意味があるんですか?」


「ある、ハアハア、これで、ハアハア、少し、きんに、ハアハア、筋肉が、ハアハア、つくはず」


ディーンに胡乱げに見下されても、俺はこのゴロゴロ運動をやり遂げてみせる!

だいたい、最初はベンジャミンの養子であるノーマンが俺付きになるはずだったのに、このゴロゴロ運動をしている俺を見てディーンに交代してしまった。


ちょっと主人がアレな行動に出たからといって、卒倒するのは心身が弱いぞ、ノーマン!


ま、俺もどうかと思うよ、このゴロゴロ運動。

ゴロゴロ運動とは、寝っ転がって足と腕を伸ばしゴロゴロと転がるだけ。

たまにダンゴムシみたいに体を丸めてから、ぐうううっと伸ばしたりもしてみる。

幼児が遊んでいるようだが、白豚の俺にはかなりの重労働で、汗びっちょり。


この巨体がゴロゴロできる場所が限られていて、二階の廊下でやろうとしたらノーマンが悲鳴を上げて制止した。

じゃあ、自分の部屋でと思ったらマリーに掃除するから邪魔と言われ、執務室では書類をばら撒いてしまいベンジャミンの小言が鬱陶しかったので、もうしない。

運動する場所を要求すると、ベンジャミンが勧めたのがここだ。


エントランスの左右のくねくねした階段から入るこの部屋は広くて、バルコニーがある壁一面の窓から燦々と日差しが溢れている。

どうやら、滅多に使われることのないパーティー会場……ダンスホールらしい。

着飾った貴族どもがダンスに興じられる広さがあるので、俺が縦横無尽にゴロゴロしても余裕なのだ。

……それで意気揚々とゴロゴロしたらノーマンのデリケートな何かが壊れかけてしまったのだが。


毎朝、ここでほどよく汗を掻き、一旦自室に戻り水浴びをして汗を流す。

ディーンとノーマンが交代して、俺の着替えと一日のスケジュールの確認をして、朝食のため一階の食堂へ。

うんせ、えっせと階段をゆっくりと降りて食堂に入れば、かわいい娘のシャーロットちゃんがお出迎えしてくれる。


そう、俺たち親子はあの日から食事は一緒に取り、午後のお茶もできるだけ一緒に楽しむようにしている。

まだ娘だと実感があるわけではないが、こうして交流する時間を重ねていけば、きっと二人の間に親子の情が湧くだろう。


「おはようございます、お父様」


「おはよう、シャーロットちゃん」


食卓……やけに長いテーブルの席に付いて運ばれ来る朝食を待つ。

ちなみにベンジャミンに頼まれて俺の実家であるハーディング侯爵に要請した使用人たちの派遣は、驚く速さで調えられた。


うえっ? こんなラノベにある昔のヨーロッパみたいな世界では移動に時間がかかるんじゃないの?

よく聞いたら、俺の実家はここオールポート伯爵領の隣にあり、領主邸がある領都もほぼ隣にあるそう。

馬車での移動も半日もかからず行き来ができる、非常に珍しい位置関係なんだって。


ベンジャミンの講義によると、王都に近い領地では、その領地の中で一番王都に近い場所に領都を置くのが定番だから、オールポートとハーディングもより王都に近い場所に領都を置いた結果、隣り合う領地で隣り合う領都になったのでは? と。

今後、何かとお願いすることが多そうだから、ハーディング侯爵領地と行き来がしやすいのは助かる。


こうして執事長ベンジャミンとメイド長ライラが取り締まるオールポート伯爵邸は、代々仕える使用人と新しく迎え入れた使用人とで切り盛りされることになった。

もちろん、俺とシャーロットちゃんも雇う前に面談済だ。


そのうちの一人が、シャーロットちゃんにはいろいろな食材を使った豪華な朝食を、俺にはヘルシー重視で量はちょっぴりな朝食を並べていく。


「シャーロットちゃん、よく噛んで食べるんだよ」


「はい。……あのう、お父様。ほんとうにその朝食でよろしいのですか?」


手にスプーンを持ったシャーロットちゃんが恐々と俺に聞いてくるけど、問題なしです。


「シャーロットちゃんは痩せすぎちゃった体を健康に戻さないとね。それには栄養をいっぱい取って運動してよく眠らないとダメだよ? いきなりいっぱい食べるとお腹がびっくりするから、よく噛んでゆっくり食べようね。……俺は反対に溜め過ぎた脂肪を使いたいから、ほんの少しの食事でいいんだ」


俺もよく噛んで食べるしな。噛んで噛んで満腹中枢を満足させるんだーっ!


「あ、今日はこの後、町の役所に行って代官と会ってくるから、午後のお茶には間に合わない。ごめんね?」


白豚パパがいないほうが心が休まるかもしれないが。

お父さんは今日は屋敷の外でお仕事です!


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