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Merry Christmas! ~2025年クリスマス~  作者: 青璃


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~ おまけ ~ クリスの大切な子 4




「やぁぁぁぁだぁぁぁぁぁっっっ!!!帰らないーーーーーーっっっ!!!」


僕は今、なつ君にしがみついて帰宅を拒否していた。


一緒に居るとどんな顔をしたらいいのか分からなくて気まずかったのに…

あれだけ悲しくて悲しくてたまらなかったのに…

子供だからなのか、単純な僕はココアとクッキーを半分こした事ですっかりなつ君大好きで心がいっぱいになってしまっていた。


「サンタクロースなんか居ない」って言われて消えてしまった事実なんかどうでもよくなるくらい、今の僕はなつ君が大好きで一緒にいたくてたまらない。

今離れたらまた二度と会えなくなりそうで…

そんな事ないと分かっているのに、離れられなかった。


僕が帰宅拒否するから困っている聖夜お兄ちゃんは昨日までは自分と離れる事を嫌がっていた弟が他の人にも同じ事をしていてどこか寂しそうにしている。

その隣で困った表情なのに目が冷たいサンさんが怖い…けど、こればかりは譲れない!!

僕がしがみついているなつ君は嬉しそうだ。

もしなつ君も2人と同じ様に困っていたら、大切ななつ君を困らせたくないから大人しく帰っただろう。

でも、なつ君はにこにこ(デレデレ?)してるから遠慮なく我儘を言う。


「明日用事無いなら泊まっていきなよ。俺もクリスとまだ居たいし。」


なつ君の提案にぱぁぁっと僕は笑顔になる。


「………」


サンさんは変わらず冷たい笑みを浮かべ、その隣にいる聖夜お兄ちゃんは頭を掻き


「うーん…じゃあ一晩だけだぞクリス」


「お泊まり1回だけ……?」


じゃあその次は帰らなきゃなの?

なつ君と離れるのが嫌でじわぁ…と目に涙を浮かべ聖夜お兄ちゃんを見つめれば、お兄ちゃんは焦り


「また遊びに来ていいから、な?帰らないと父さんや母さんも悲しむぞ?」


「うぅ……」


「クリス」


聖夜お兄ちゃんの提案に頷かず駄々を捏ねていたらサンさんが僕に近づき、しゃがんで視線を合わせてきた。

いつもは穏やかなサンさんの目が笑ってないのが怖いよ!!

僕はギュッと強くなつ君にしがみつき


「君の我儘は可愛いけど、聖夜を困らせる我儘はほどほどにしないと…怒るよ?」


「ヒッ!」


初めて聞く低く冷たい声に震える。

何故かなつ君も身体が強ばって、震えている。


「……っ!……クリス……サンタさんは怒らせない方がいい…!…すっげー怖ぇから……」


そう言いながら腕を摩るなつ君。

二人の間に何かあったのかな?


「今日はお泊まりするし、また遊びに連れてきてあげるから、明日は帰るよ?いいね。」


「…………うん」


サンさんにとって聖夜お兄ちゃんは特別大切な存在だから、僕が我儘言ってお兄ちゃんが困っているのが我慢できなかったらしい。


……僕も、サンさんがなつ君を困らせたらとても怒るだろうから…気持ちは分かる。











その夜、僕はサンさんと聖夜お兄ちゃんと一緒に寝ようとした。


「なつ君は?」


寝る為の部屋に行く前、なつくんは毛布を持ちながらリビングに残り僕達を見送っていたけれど、なつくんは自分の部屋で寝ないのだろうか?

布団を引きながら、聖夜お兄ちゃんは少し寂しそうに微笑み


「…なつにいは毎年、クリスマスの夜はリビングで寝るんだ」


「どうして?」


「サンタクロースに会う為に、だよ」


僕はとても不思議だった。


「どうして?

なつくんはサンタクロース信じてないのに、なんで会いたがるの?」


首を傾げて聞けば、なつにいは眉間に皺を寄せ


「……それ、なつにいが言ったの……?」


凄く低い声で聖夜お兄ちゃんが言った。

怒っているみたいな声で、怖い…


「へ?」


「…………はあっ…なつにい、懲りてないのか?…なんで小さい子にそんな事言うんだ……もう諦めた?やけくそ…?……いや、それならリビングで寝たりしないよな…」


聖夜お兄ちゃんはブツブツ独り言を呟けば、また僕の方を見る。

その目は真剣で


「いいかクリス。サンタさんはほんっとうに居るんだ!だから、なつにいが「いない」って言っても信じたらダメだからな!!」


「う、うん……」


僕は元サンタクロースだからなのか…サンタクロースが来た事は無い。

けれど、元サンタクロースだから、サンタクロースが居るって知ってるよ。

だから大丈夫だよ。


と、言う訳にもいかないので頷いておく。


「二人ともどうしたの?」


追加の布団を持ってきたサンさんが部屋に入ってきた。


「聞いてくれよサンタさん!なつにいがさー……」


さっきのやり取りを聖夜お兄ちゃんはサンさんに話す。


「そうなんだ。なんでだろうね?」


「なー!まったくなつにい、何考えてんだか!!」


ブツブツ文句を言いながら、聖夜お兄ちゃんは歯磨きをしに行った。

僕は小さい子達と一緒にもう磨いておトイレも済ませて寝る準備はバッチリ!

布団を引きながら聖夜お兄ちゃんの話を聞いたサンさんは、聖夜お兄ちゃんが出ていったのを見計らって布団の上で僕を抱き上げて膝へと乗せた。

優しく髪を撫でながら元サンタクロース同士の話が始まる。


「…なつき君は、まだサンタクロースを信じてるよ」


僕は首を傾げる。


「どうしてサンさん、そんな嘘つくの?

なつ君はサンタクロースを信じてるはずないって、サンさんなら分かるでしょ?」


25歳なら、もう立派な大人だからサンタクロースが見えるわけない。

サンさんと聖夜お兄ちゃんは別として、そんな話聞いた事が無い。


「ホントだよ。僕がサンタクロースだった時、なつ君は僕が見えたんだ。」


なつ君が20歳だったクリスマスの日。

追い詰められたなつ君は聖夜お兄ちゃんやサンさんに何かしたらしいが、僕が消えてから家族になるまでにあった事だから僕には分からない。


「そんなはずないよ。だって、なつ君は「サンタクロースなんか居ない」って言ったんだから。」


僕がサンタクロース時代、ちゃんとこの目で見たんだ、なつ君の楽しそうに弧を描いた唇がそう動くのを。


ちゃんとこの耳で聞いたんだ、ハッキリと自信たっぷりななつ君の声を。



「それを、彼は今でもとても後悔してるよ。本心じゃなかったらしい。なつ君はクリスマスの奇跡にすがってしまうくらい…自分のサンタクロースに会いたがっているよ。」


サンさんの言葉は甘いココアみたいに魅力的だ。

そうだったらいいな…って、思わずにいられない。


「…でも、そんなに信じてるなら…なら……なんで…僕は消えたの……?」


じっとサンさんの目を見つめる。


「………口に出して言ってしまったから…かな?」


サンさんの瞳が細まり、少し下を見る。

サンさんに問い詰めてもしょうがないと分かっているけど、口が止まらない。


「じゃあ、どうして僕はサンタクロースの記憶を持って人間に生まれ変わったの?

なつ君が会いたがってくれているなら、サンタクロースとしてもう一度生まれられたら…すぐに会いに行けたのに!…サンタクロースの姿で、この世に現れる事が出来たら…っ!」


「…………なんでだろうね」


優しく髪を撫でてくれるサンさんは、今僕が何を考えているか分かっていると思う。


「…僕も、アンドロイドになった時は魔法も使えないしプレゼントも贈れない、クリスマスの奇跡も起こらなくなった何にも出来ない僕でいいのか不安だった。

だから、クリスの気持ちも分かるよ。」


「う゛ぅ…サンタクロースだったら…会いに行くのに……」


今の僕は小さな子供で、してもらってばかりで何もなつ君にしてあげられない…

それが、とても悔しいっ!


「ほんとに?サンタクロースだったとしても、一度否定されたら会うのは怖くない?」


「…………う゛…」


確かに…。

サンタクロースだったとしても、怖かったかもしれない……


「だけど、怖くても……大好きな僕の子が望んでるなら僕は会いに行ったよ、きっと…」


サンさんはちょっと目を開いた後、クスッと笑い


「確かに。サンタクロースは自分より、僕達の大切で大好きな子ファーストだもんね。」


「うん!そうだよ!」


「じゃあ、なつき君に話してみたら?自分が君のサンタクロースだって」


「…………」


僕は目を逸らす。


「……信じて貰えないかも……」


「そうかな?」


あのなつき君の反応だと、気づいてそうだけど……とサンさんが言う前に、何も知らない聖夜お兄ちゃんが帰ってきた為、この話はここで終わった。


「あっ!いいな!!ずるい!!」


部屋に入った聖夜お兄ちゃんは、膝に乗せられて髪を撫でられている僕を見てそう言った。

僕とサンさんは顔を見合せてから同時にお兄ちゃんを見る。


「「どっちが?」 」


「どっちも!!」


僕を膝に乗せて撫でているサンさんも羨ましかったし、

サンさんに抱っこされて撫でられている僕も羨ましかったらしい。


なのでその後、聖夜お兄ちゃんは僕を抱っこしながらサンさんに頭を撫でて貰っていた。





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