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王の裏切り、俺の無双劇〜 追放英雄ライル、王国を無双で討つ  作者: 源 玄武(みなもとのげんぶ)


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第33話 王城浮上 ――誓いの空で師と斬り結ぶ

 王城は燃えていた。


 ただの火事ではない。

 夜空を覆うほどの紅炎、崩れゆく塔、石畳に染み込む黒煙――。


 音も、光も、喧噪も、すべてが“終わり”を告げるように暴れていた。


「前進だ! 止まるな!」


 ライルが黒焔剣ヴァルグレイスを構え、瓦礫を踏み砕きながら進む。

 その背後を、〈血盟〉の仲間たちが続いた。


「右へ展開! ミレーヌ、敵指揮官を断て! グロス、左壁を潰せ!」

 カラムの号令が、戦場に鋭く響く。


「了解。じゃ、死んで?」

 ミレーヌの声が風を裂き、黒衣が翻る。

 直後――敵陣中央で銀光が弾ける。


「――《影殺・月極げっきょく》」


 首が三つ、音もなく落ちた。


「芸術は一瞬――それが刃の美よ」

 闇に溶けるような微笑み。

 

 グロスの大戦斧が空気ごとぶっ飛ぶ。

 斧が地面を叩き割る。


「《轟砕乱撃ごうさいらんげき》ッ!!」


 爆風の衝撃で兵が十数人、城壁ごと吹き飛ぶ。


「お嬢、前へ行け! 背中は俺が見てる!」

「フッ、頼もしいお守りだこと」


 轟音。土煙。

 戦場を切り開く二人。


「射線、確保完了――撃ち抜く!」


 そこへ矢羽の雨が降りそそぐ。爆裂矢が炸裂し、敵隊を分断。

 轟音が連鎖し、血盟の進路が開く。


 崩れた回廊を抜けた瞬間、淡い魔力光がゆらりと揺れていた。


 その中心――。


「……来てくれたのね、ライル」


 白銀の髪。

 紅の瞳。

 薄く焦げた魔導衣。


 セリアが反乱兵たちを結界で守っていた。

 セリアの結界が青白く輝き、魔導砲の光を弾き返した。


「遅くなった」

 ライルは一歩だけ近づき、静かに言う。


「――誓いは果たす。今度こそ王を終わらせる」

「命令じゃないのね?」


「仲間への誓約だ」

「……それなら、応えるわ」


 セリアのルミナ・アークが光を放つ。

 光がライルの黒焔剣ヴァルグレイスへと走り

―ふたつの魔力が混ざり合う瞬間、大気そのものが震えた。


「……行くわよ、ライル」

「応えろ――黒焔剣ヴァルグレイス!」


 紅蓮と黒焔が螺旋を描きながら融合し、二人の足元に“誓い”の魔法陣が展開。

 その輝きは、まるで夜空に咲く巨大な炎の花。


 次の瞬間――。


 ライルとセリアの声が重なる。


『《誓焔絶界ルミナスヴァルガノン》!!』


 その一撃はただの攻撃ではない。

 王国を裏切った者への裁断。

 失われた誓いを取り戻すための、ふたりの“復讐と救い”の象徴。


 炎が爆ぜ、黒焔が奔流となり、空間ごと両断する。


 血煙の中、ミレーヌは踊るように戦場を駆けた。

 曲刀が月光を反射し、軌道が美しい弧を描く。


「芸術には観客が必要なの――残念ね、あなたたちはもう見られないけど」


 黒い羽根のような布片が舞う。

 まるで夜そのものが刃を纏ったかのようだ。


 背後から槍を構える兵士。

 しかし、そこに大戦斧が割り込む。


「言ったろ、背中は俺が守る!」

 グロスの一撃が地面を割り、敵兵ごと城壁を吹き飛ばした。


「ふふ……やるじゃない」

「そっちこそ、派手すぎだ。あとで壁の修理代、払っとけよ」


 ミレーヌが笑い、ルネが援護射撃。

「おしゃべりしてる場合じゃないですよー!次、右の塔から敵の増援!」


 

 内郭への通路。影が二つ。


「……遅かったな、ライル」

 瓦礫の陰からゼイルが現れる。

 隣には、黒いフードをかぶったゼスが立っていた。


「裏門制圧完了」

「さすがだな。生きていてくれて何よりだ」


「これで影も光も揃ったな」

 ゼスが口角をわずかに上げる。


 短い会話。それだけで通じ合う絆。

 彼らの間には、命を預け合った信頼が流れている。


「行くぞ。影は影のまま、血を流せ」

「了解」


 ゼスとゼイルが一瞬で姿を消す。

 その動きにルネが狙撃を合わせる。


「射線確保完了――狙いは完璧!」

 弓が放たれ、閃光が闇を貫く。


 連携の流れが、完璧に噛み合った。

 

「……これが“あの双牙”の舞踏よ。」

 ミレーヌが微笑む。


 直後――

 二つの影が敵陣中央で閃光のように交差した。


「《影葬・無音連斬むおんれんざん》」

「《絶影穿ぜつえいせん》」


 敵兵が一瞬で崩れ落ちる。

 その動きにルネが狙撃を合わせる。


「射線確保――《魔導連撃矢れんげきし》!」


 破壊の連鎖。

 隊列が崩れていく。


「包囲は崩れた! 次は内郭だ!」

 カラムの声に、全員が前を向く。


 王が待つ最深部へ。

 燃え盛る炎の中で、ライルの黒焔剣が、不穏な青白い光を帯びた。


「行くぞ。戦いは……ここからだ」



 王城の中枢前――

 そこには、王国が誇る最後の防衛軍が待ち構えていた。

 数千の兵、魔導砲、召喚された魔獣。


「これが……王国の最後の牙か。」

 カラムが低く呟く。


 ライルが前に出る。

 黒炎の剣が、不気味に脈動する。


 セリアがその背中を見つめ、静かに頷く。

「解き放って――ライル」


 彼の口から詠唱が紡がれた。

「――我が胸底……裏切りの傷。

 奪われし日々、誓いし灯火。

 魂よ、黒炎となりて世界を焦がせ!」


 黒い光柱が天へ突き刺さる。


――黒焔誓界こくえんせいかい


 瞬間、世界が反転した。

 黒炎が王都を覆い、昼のような赤黒い光が空に形成される。


 轟音すら、なかった。

 ただ熱と光だけが、音すら奪って押し寄せた。

 黒炎の太陽が落下する――!


「う、わ……っ!」

 ルネが腕で顔を覆う。


 カラムは地面に足を踏ん張った。

 グロスですら、身体をひねって衝撃を受け流す。

 熱風が走り、兵も魔獣も、砲台も一瞬で飲み込まれた。



「……これが、あの人の“断罪”……」

 ルネが呆然と呟く。


「やっぱり、あいつは止まらねぇな」

 カラムが苦笑する。


 黒炎が蠢きながら収束し、地面に深い影を刻んだ。

 その中心で、ライルの瞳が紅く光る。


「――道は開けた」

 セリアが駆け寄ろうとして、足を止める。


「ライル……っ、その魔力ゆらぎ……!」


「わかってる。」


 彼は短く言い、黒炎剣を背に回した。

 そのとき――地面が轟音と共に揺れた。


「何だ……!?」

 グロスが体勢を崩す。


セリア「地震……!? 違う……魔力反応!」


「ちょ……ちょっと待って、なにアレ!?」

 ルネが弓を構えながら目を見開く。


「あれは……まさか……!」

 セリアの表情が蒼白に変わった。


 塔の外壁が四方へ展開し、

 巨大な紋様が露わになる。


 古代術式――浮上術式。

 王城の一角が、ゆっくりと上昇を始めた。


 魔力の柱が地上と空を結び、

 雷光と炎がその周囲を走る。

 巨大な“空中戦艦”が、王都の空を覆い尽くした。


ルネ 「え、ちょ、え……なに、あの城飛んでるんですけど!?」


ミレーヌ 「……あれが、王家の隠し玉ってわけね。」


「見て……甲板中央……!」

 セリアは震える指で空を指した。


 その中心に立つのは、一人の将。

 鎧を纏い、銀灰色の髪を風に靡かせる男。


「……エルン将軍。」

 ライルが、息を止める。


「ようやく来たか、反逆者ライル!」

 その声は、かつての師――エルン・グラード将軍。

 ライルの胸がざわつく。


(師匠……。)


 セリアが心配そうに見つめる。


「ライル……。」


「大丈夫だ。」

 彼は静かに前を見た。


「俺を反逆者にしたのは……あなたたちだ。」


 空にいるエルンの瞳は、悲しみと誇りに揺れていた。


――決着を望んでいる瞳だった。


 ライルが剣を握りしめる。

「ああ……ここで全てを終わらせる!」


 そして、ミレーヌはライルの肩を軽く叩く。


「行きなさい、リーダー。

 帰ってくる気があるなら、ね?」


 ライルは小さく笑った。

「必ず戻る。」


 黒炎が彼の足元から噴き上がる。

 ――跳躍。

 彼は空へ駆けた。



 カラムが号令。

「全員、配置につけ!」


 セリアとエリシアが後方で魔導支援陣を展開。

 ゼスとゼイルが影へ消え、グロスとルネが前線を守る。



 高空。

 雷鳴と黒炎が交錯する中、ライルは浮上要塞の甲板に降り立った。

 対峙するは、かつての恩師。

 エルン将軍の瞳には、複雑な哀しみと誇りが混じっていた。


「……忠義を捨てねば、生きられぬぞ、ライル。」


 ライルは無言で剣を構える。

 黒炎が再び彼の全身を包み込む。


「――師よ。」


 二人の剣が、空気を裂く。

 衝突寸前、黒炎が天へ舞い上がった。


「捨てられぬものがある。

 守れなかったもの。

 奪われたもの。

 そして――俺自身の誓いだ。」


 ー鐘の音が鳴る。

 決闘の幕は、上がった

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