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王の裏切り、俺の無双劇〜 追放英雄ライル、王国を無双で討つ  作者: 源 玄武(みなもとのげんぶ)


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第24話 王都炎上 ― 忠義の果てに

 鐘の音がまだ夜空に響いていた。

 王都ヴァルディア――その南門周辺は、すでに炎と煙に包まれていた。


「くそっ、倉庫が燃えてる! 水を運べ!」

「誰が仕掛けた!? 火の手が同時に三か所――!」


 王国兵たちの叫びが、黒煙の中に散る。指揮系統は崩壊し、誰も状況を把握できていない。

 瓦礫が崩れる音。遠くで爆発の閃光。

 夜の王都が、まるで地獄に変わったかのようだった。


 その混乱を、ただひとり冷静に見つめている男がいた。

 ――王国将軍、エルン・グラード。

 燃え上がる地図の上に、無数の赤印が散っている。


「南門、補給路、監視塔……狙いが正確すぎる。」

 彼は小さく息を吐く。

「まるで、我が防衛陣を“熟知している者”の動きだ。」


 背後で参謀が叫ぶ。

「将軍、命令を! 敵は反乱軍との報告ですが――!」

「いや、違う。」

 エルンの瞳がわずかに光る。

「この戦術は……あの男のものだ。ライル・アーヴィング。」


 地図の上に、黒炎が走る幻影が見えた気がした。

 “忠義の剣”と呼ばれた男が、今度は――王国を討つために剣を振るう。



 瓦礫の向こう、黒い外套を翻しながら男が歩く。

 銀灰の髪が炎に照らされ、瞳は冷たい蒼。

 ――ライル・アーヴィング。


 かつて王を護った最強の騎士が、今は反乱軍の最前線にいた。

「……この街も、変わらないな。」

 焦げた空気を吸い込み、彼は呟く。


 煙の奥から、王国兵が叫びながら飛び出してくる。

「敵だ! 反乱軍が――ぐあっ!?」

 黒炎が閃き、一瞬で鎧ごと溶ける。

 炎が残骸を照らす中、ライルの剣が唸りを上げる。


「退け。……命が惜しいなら。」


 その声音は冷たく、しかしどこか哀しみを帯びていた。

 倒れた兵士の脇を抜け、ライルは奥へと進む。

 そこに、短い通信音。

『――ライル、南門突破完了だ。次の段階に入る。』

「了解だ、カラム。」


 通信の向こうの声――カラム・ドレイク。

 反乱軍の副長であり、戦略を指揮する男。

「作戦名、《ヴァルディア・ブレイク》――開始だ。」



「全員、持ち場につけ!」

 カラムの怒号が響く。

 高台から見下ろす王都は、炎の海に沈みつつあった。


「前衛、突撃開始。ただし城門は破壊するな!」

「攻め落とさない……? 何故です、副長!」

「誘うんだ。王国軍を、街の中に。」


 灰色の瞳が月光に光る。

 その目には、復讐と計算が同居していた。


「テオ、南門で騒ぎを拡大しろ。派手に、だ。」

「了解っ!」


 前衛が一斉に突撃。火矢が夜空を切り裂き、倉庫群が再び炎に包まれる。


 その背後、セリアが詠唱を始めていた。

「――《光幕結界ルミナス・ヴェイル》展開!」

 淡い光が広がり、煙と熱を霧のように歪ませる。

「視界を遮断。これで敵は味方の区別がつかないはず。」


「助かる。」

 ライルが短く返し、黒炎の剣を抜く。

「“光と闇”、ここで試すか。」

「面白いことになりそう。あなたの無茶な剣と合わせるのは。」


 二人の足元に、黒と白の陣が展開された。

「――《交響連撃シンクロ・アーツ》!」

 光と闇が絡み合い、爆裂する。

 閃光が敵陣を薙ぎ、数十人の兵が一瞬で吹き飛んだ。


「やっぱり、桁が違うぜ。」

「油断するな、グロス。まだ王都は動いてる。」

 ルネが矢を番え、煙の奥を狙う。

「後方の塔に魔導兵。……3秒で落とす。」

 矢が放たれ、塔の上で爆炎が咲いた。


「ゼス、裏道は?」

 カラムが尋ねると、通信の向こうから軽い声。

『潜入完了。連絡網を断った。奴ら、もう情報が通らねぇよ。』

「よし。王国の目と耳は潰れた。あとは心臓を突くだけだ。」




「報告! 北西区画、壊滅!」

「南門防衛隊、全滅しました!」

「城壁警備兵が応答しません!」


 王宮の戦略室は、悲鳴と怒号の坩堝だった。

「誰だ! 誰がこの戦術を立てた!」

「不明です! ですが敵の動きが――まるで王国軍の配置を知っているようで!」


 エルン将軍は黙って報告を聞き、地図を睨む。

 赤印が次々と王都を覆っていく。


(あれを破れるのは……本人しかいない。)

「……ライル。貴様、本気で王国を滅ぼす気か。」


 参謀が怯えたように言う。

「まさか、将軍。あの男が――」

「裏切られた忠義ほど、恐ろしいものはない。」

 エルンは剣を抜き、静かに腰に下げた。

「迎え撃つ。元・英雄にして今は反逆者――ライル・アーヴィングをな。」



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