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王の裏切り、俺の無双劇〜 追放英雄ライル、王国を無双で討つ  作者: 源 玄武(みなもとのげんぶ)


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第14話 後編「獣の宴、血の誓い」

荒野を裂くように、夜明けの風が吹き荒れた。

 その刹那、王国軍の陣より――轟音が響く。


「来るぞ、魔導砲だッ!」


 ライルの声と同時、地面が爆ぜた。

 紅蓮の光が砂を巻き上げ、炎の柱が立ち上がる。


「っ、セリアッ!」


「任せてっ、《プロテクト・ドーム》!」


 セリアが詠唱と同時に、巨大な光壁を展開。

 爆風を受け止め、砂煙の中でミレーヌが笑った。


「ふふ、いい火遊びだこと。じゃ、こっちの番ね!」


 双剣を構え、風のように駆け出す。

 彼女の刃が一閃――燃え盛る炎ごと敵兵の槍を弾き飛ばした。


「ぐあっ!? 何だこの女――!」


ケモノの一員、ってとこかな!」


 その声に呼応するように、後方から無数の矢が放たれた。

 ルネの弓が夜明けを切り裂き、敵魔導師たちを次々と射抜く。


「ルネ、右翼の詠唱班が再生してる!」


「わかってる! セリア、煙幕で隠して!」


「了解、《ミスト・カーテン》!」


 白煙が戦場を包む――その影の中、ゼイルとゼスが静かに姿を消す。


「ゼイル、南側の指揮官を取る。ゼス、補助を頼む」


「了解……影は、血を求めてる」


 二人の暗殺者が影を滑る。

 その先では、指揮を取る将校が叫びかけた瞬間――


「ぐっ……ま、待っ――」


 声は途絶えた。首が砂に落ち、静寂だけが残る。

 ゼスが無感情に呟いた。


「一人目。……次だ」


 その頃、後方から全体を見渡すエリシアの瞳が揺れていた。


「これが……あなたたちの戦場……!」


 彼女の両手が震える。

 それでも、魔力の光を紡ぎながら叫ぶ。


「《全体強化・レゾナンス》――みんな、勝って……!」


 血と炎、影と光――

 その全てが荒野で交わり、夜明けを焦がしていく。




 蒼炎師団は、もはや秩序を失っていた。

 燃え上がる荒野、倒れる兵たち。

 その中で、ギルベルト将軍が炎を纏って前線に立つ。


「アーヴィング――裏切り者め!」


 王国将の怒声が、戦場を震わせた。

 ライルは黒き魔剣を手に、一歩、彼の前に進み出る。


「……断罪か。なら俺は、“獣”として抗おう」


 ギルベルトが炎の槍を構える。

 その光は朝焼けのように荒野を照らし、熱波が吹き荒れる。


「この槍は王の炎。貴様の穢れを焼き尽くす!」


「焼けるもんなら、やってみろ」


 ライルが低く呟き、黒い魔力が剣を包んだ。

 空気が震え、二つの力がぶつかる。


 ――轟音。


 炎と闇の衝突が、砂塵を天まで巻き上げた。


「ギルベルト、昔あんたは言ったな。“誇りある王国の剣であれ”と」


「その通りだ! 誇りを忘れた貴様が、それを語るな!」


「誇り? 腐った王とその犬どもに、そんなものがあるか!」


「黙れぇぇぇぇぇッ!!」


 炎槍が唸り、黒剣が裂く。

 地を割る衝撃が周囲を吹き飛ばす。


 だが、炎が裂かれた瞬間――ギルベルトの槍が砕けた。


「……な、馬鹿な……この炎が……」


 ライルの剣がその胸を貫く。

 血が荒野に滴り、炎がゆっくりと消える。


「ギルベルト・ヴァルド。最後まで、誇りの剣だったよ」


「……アーヴィング……貴様……王は……まだ……」


 その言葉を最後に、巨体が崩れ落ちた。

 荒野に、静寂が戻る。


 遠くで、ミレーヌが息をついた。


「はは……とんでもない戦い。まるで、地獄の舞踏会ね」


「“獣の宴”ってやつだな」

 グロスが唇を歪めた。

 ライルは答えず、空を見上げた。

 紅い朝日が、まるで血のように地を染めていた。




 戦が終わった。

 風が吹き抜け、焦げた土の匂いだけが残る。


 ミレーヌが剣を地面に突き立てた。


「これが……戦争、か」


 ルネが矢筒を下ろし、静かに頷く。


「勝った気なんてしないね。……でも、負けたらもっと地獄だった」


 ゼスが淡々と呟く。


「いや、これからが始まりだ。王国は、これを黙っていない」


 沈黙が流れた。


 エリシアがゆっくりと歩み出る。

 視線の先には、血に塗れた兵たちの亡骸。


「彼らも……父のために、剣を振るっていたのね……」


 その瞳から涙がこぼれ落ちる。

 ライルが彼女の隣に立ち、血のついた剣を見つめた。


「迷うな、エリシア。……俺たちはもう、戻れない」


「わかってる。でも……それでも、あなたと一緒に行く」


 その言葉に、ライルは小さく笑った。

 焚き火の赤が、彼の横顔を照らす。


「ここからだ。俺たちの“血盟”は、今、真に獣となった」


 彼は剣を掲げ、仲間たちを見渡した。


「――王国を討ち、自由を取り戻す。それが血盟の誓いだ!」


「「「王国を討つ――!!」」」


 全員の声が荒野に響く。

 燃え残った炎が風に揺れ、夜空を染め上げる。


 その赤に、狼の遠吠えが重なった。


 エリシアが、ライルの隣に立つ。

 風に金髪を揺らしながら、微笑んだ。


「――これが、私たちの始まりなのね」


「ああ。……獣の夜は、まだ終わらない」


 焚き火が弾け、血のような光が空へ舞い上がる。

 そして――“血盟”の物語が、真の戦乱へと歩み始めた。


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