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虚栄  作者: 竹取夜鷹


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19 高馬 Day2

支倉さんはヤングドーナツの最後のひとつを俺の口に押し込み、ハンドブレーキを今度こそ引いた。

「じゃあ、服買いに行こうか」

「はい。お願いします」

「支倉さん」

「ん?」

「・・・ミラー出してないですよ」

「あ、ほんとだ」

簡単に軽薄なことが言えたならよかったよ。


「着いたよ」

「ありがとうございます」

支倉さんは俺のシートベルトまで外し、車から降りた。俺も続く。

「高馬君、普段どうやって服買ってるの?」

「恥ずかしながら、あなたへのおすすめを毎月2つほど買ってるだけです」

「あ、ネットか。サイズはどれくらい?」

「適当っす。サイズが合わなかったら返品してって感じ」

店内は平日のお昼ってことで、随分空いていた。

「ねね、高馬君、今の私と君って周りにカップルって見られてるかな」

「・・・・・・兄妹って思われてるんじゃあないですかね」

「待って、高馬君が上ってのには納得できないし、私と君はそんなに顔似てない。そ、それに、家族だなんて気が早すぎるよ」

「・・・冗談ですよ。飛びつかないでください」

「まったく」

・・・兄妹。家族。なんで冗談で地雷踏んでんだよ。馬鹿か。

「カップルっぽく見せたいなら、手でも繋ぎますか?」

「是非!」

俺は先輩の手を取った。先輩は自然に指を絡ませてきた。

「どんな服が好み?」

「んー、好みとかはあんまりないですね。あ、でもハーフパンツとだぼっとした服は買わないですね」

「そーなのね。じゃあ、これとか?」

マネキンを丸々指さされた。・・・そういうマネキン買いは俺みたいな面倒ごとが嫌いな奴しかしないんじゃあ?服自体も黒い七分袖にカーキのズボン。結構好みかも。

「じゃあ、これにします」

「ん、わかった。他に欲しいものはあるかな?」

「や、服には困ってないから大丈夫です」

「じゃあ、パジャマと下着も買おうか」

「俺、パジャマ着てないですよ。パンツだけで寝てます」

「・・・それ、私の家でする気?」

「確かに。見たいですか?俺のナイスボディ」

「まぁ見てみたいけど、風邪ひいちゃうからね。パジャマも買うよ。もうすぐ暑くなるし、薄手のこれでいいかな。下着は、自分で選んでね」

「・・・はい」

俺はあんたの子供じゃあないんだぜ。言いたい言葉をまた飲み込む。おくすり飲めたねはどこに売ってんだ。病院か?頭の病院か?


「色々ありがとうございます」

「いいのいいの。お金ならあるし。次はドンキ行こっか。充電器とご飯買いに行こう」

「支倉さんって自炊するんですか?」

「まぁ、するよ。君は1人暮らしでの自炊はコスパ悪いって言ってたよね」

「なんのことやら」

「まぁ、今日は私の手料理を楽しんでよ。結構自信あるんだ」

「楽しみにします」

「何が好き?何が嫌い?」

「食材ですか?料理ですか?」

「どっちもどっちも」

「カボチャとイチゴですね」

「え、なんで?」

「野菜なのに甘いからです。カボチャはマジで無理っす。1年で1番嫌いな日は冬至っす」

「2番目は?ハロウィン?」

「や、大晦日っす。1人で紅白見るの寂しいんですよ。ガキ使見て笑えてた頃はよかったんですけど」

前は小倉と一緒にテレビ見て、コタツで一緒に雑魚寝して、その後初詣に行ってたんだよな。小学校の事なのにまだ鮮明に思い出せる。

「ふーん。じゃあ、今年は一緒に終わろうね」

「気が早いですよ。鬼が笑います」

「それもそうだね。とりあえず、七夕の日は空けといてね」

「ん、恒例の七夕イベントですもんで。今年はどんな装備が貰えるんでしょうか」

「・・・違うよ。一緒に星を見ようよ」

「・・・・・・是非」

「んで、嫌いな料理は?」

「うーん、そうですね。うどんと冷ややっこと、まぁ味がぱっとしない料理ですね」

「あらそう。ちなみに私は和食なら大体好きだよ。高馬君は料理できる?」

「できるかできないかって言われたら、できます。うまいかどうかを問われたら、うまくないです」

「あはは。君らしいね」


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