17 高馬 Day2
支倉さんはTシャツの胸元を少し引っ張った。色々見えそうになり俺は目を逸らした。
「高馬君は私に聞きたいこととかないの?」
「聞きたいことですか・・・」
正直言えば、ない。
「じゃあ、就職とかって考えてるんですか?」
「・・・君はさぁ。なんかこう、もっと色々あるんじゃない?まあいいや。就職は考えてないかな。お金ならあるし」
「羨ましいですね」
「勿論、高馬君を養ってもおつりが出てくるよ」
先輩の口調は冗談にしてはかなり真っすぐだった。
「本当に困ったら、ぜひお願いしますね」
「困んなくても頼ってよ。私は君の彼女なんだから」
俺はまたオレオを1つ手に取った。甘さで何もかも誤魔化せれたらいいのに。
「逆に高馬君は大学とか決めてるの?今高2でしょ?」
「大学はあんま考えてないですね。国公立のどっかに行こうとしてますけど」
「さらっと言ったけど入れるの?」
「まぁ努力次第ですね」
「ふーん。小倉さんと一緒の大学目指してるの?」
「や、俺はアイツと進路の話、したことがないですね」
「そうなんだ」
「支倉さんの大学ってかなり偏差値高いですよね」
「うん。いい大学に入ったらさ、お父さんが褒めてくれるかもって。初めて会えるかもって高校の時はずっと勉強してたんだ」
支倉さんは寂しそうに笑った。
「馬鹿みたいだね」
「・・・支倉さん、口開けてください」
俺は手に持ってたオレオを支倉さんの口に押し込んだ。気の利いたセリフを言いたかったけど、何にも思いつかなかった。
「高馬君、ありがとね」
「なにもしてないですよ」




