1’ 小倉 Day1
暇だな。クラスメイトとの帰り道、ふとそう思った。みんなは昨日のドラマについて盛り上がっている。私はそもそも俳優とか声優とかに興味ないし、別に友達がいなくても構わないけれど、たかが心配するから関わりたくもない人と関わって友達がいるアピールをしている。私にはたかさえいればいいのに。
私はたかが好きだ。小さいころからずっと飽きずに懲りずに好きだ。
好きになったきっかけなんかない。ずっと一緒にいて、少しだけ離れて、また一緒になった。
背は高いけどかなりの瘦せ型で、頭が良くて、顔が小さくて、何よりも優しい彼のことが好きだ。
「小倉ちゃんは誰が好きなの?」
「ん?あ、ごめん考え事してた」
急に話しかけてこないでよ。話聞いていないことがばれちゃうじゃん。
「どーせ愛しの高馬くんのことでしょ」
「違うよ。テストのことだよ」
「やめてよ。帰り道にテストなんて言わないでよ。それより、進展はあった?」
「進展って?」
「決まってるっしょ。高馬との関係だよ」
「ナンノコトカナ」
「でも高馬君結構人気だよね」
「悪くないルックスにあの乗りの良さだし、ぱっと見は草食系だから行けるって踏んだ女の子が結構告白しているみたいだよ」
「そうなの!?」
お前ごときが悪くないとか何様のつもりなんだ。厚化粧。豚鼻。太っとい足で頑張って支えてるのは贅肉とプライドかな?お前もたかに告白したことぐらい知ってんだよ。てめーごときが手出しできるわけがないだろ。恥を知れ
「まあ死屍累々だけどね。もしかしたら幼馴染みからの告白待ってんじゃない?」
「ありそう!」
「いつ告白するの?」
「それめっちゃ気になんだけど!」
うるせーな。灰燼に帰したろか。
「別に私は付き合おうとは思ってないよ。お互い仲良しのままでいれれば十分だよ」
「とか言って他の人に寝取られちゃうかもよ?」
「それはないね」
「わお、断言じゃん」
「てか、小倉ってヤったことあるの?」
「ん?エッチなこと?勿論あるよ」
睡眠薬で眠らせた後にたかの童貞は私が奪った。
「え!処女じゃないの!?」
「声が大きいよ」
本当に品がないなこいつら。ため息交じりに道路の向こうを見るとたかがファミレスに入っていくのが見えた。
「ごめん、私ちょっと用事があるからここでごめんね」
「あ!逃げた」
「またねー」
「また明日!」
こんな奴らと関わる時間が惜しい。私は点滅している信号を走って渡った。ファミレスに入る前に近くのコンビニのトイレに入る。まずは化粧の確認。崩れては・・・ないね。一応リップだけは塗りなおしておこう。髪型も水でちょっとだけ整え、汗臭くないように制汗シートで体を拭く。最後にアイツが好きなリンゴの臭いの香水を手首につけて戦闘準備完了。
一応コンビニでお茶だけ買ってファミレスに入る。店員に待ち合わせであることを伝え、たかを目視。相変わらず絶対に出入口が背になる座席に座ってる。席に近づき、小さく深呼吸。会話を少しシミュレートする。たかが学校に忘れていったヘッドフォンを先生から渡された話でもしよう。
「やあ、たか、久しぶりだね」
圧倒的チョイスミス。馬鹿か。学校で会ってるだろ。




