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虚栄  作者: 竹取夜鷹


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9' ?? Day2

不用心だなーとルイボスティーを飲むながら思う。ただのクラスメイトを家に置いて昼食を買いに行くなんて、僕の世界じゃあ何されても文句を言えないと思う。何もしないけど。

あぁ、平和だ。友人の家のコタツで微睡み、彼の彼女について思いを馳せる。僕には似合わないほどだ。こんな平和な日には、決まって電話が鳴り響く。普段使いとは違うスマホの着信だ。時計を見る。高馬が帰ってくるまでまだ時間はあるはずだ。ボイスチェンジャーをバッグから出し、通話ボタンを押す。

「もしもし、頼みたいことがあるんだけど」

「国破れて」

「そして誰もいなくなった」

「なにを頼みたいんだ?」

「調べて欲しい人がいる。高馬君、高馬悠太君のことを調べて欲しい」

・・・え、高馬悠太?アイツじゃん。今僕その家にいるんだけどなんで?

「わかった。期限は?」

「なるべく早く」

「どれくらい知りたいんだ?」

「家族関係や交友関係、あったら犯罪歴とかそれくらい」

「わかった。また連絡する。前金で5万、終わったら10万だ」

「安いね。わかった」

玄関がガチャガチャと言い出し、慌ててコタツの中にスマホとボイスチェンジャーを隠す。

「はい。唐揚げ弁当かカツ弁当かだ」

「カツで。わざわざありがとうね。・・・一応聞くけどどっちも食べるとか宣わないよね?」

「食べないんか?」

馬鹿か。

「今からデートなのに満腹で寝たら別れ話だよ。それに一緒に食事が楽しめなくなるかもじゃん」

「成程。いろいろ参考になるな」

「そう言いながらケトルに水を入れんな。我慢しろ我慢」

高馬は買ってきた弁当をレンジで温めずに持ってきた。普段何食ってんだろ。冷たい弁当を普通に食べるって前から思ってたけど、少しコイツ変わってるよな。だからと言って好んで友人の素性を暴きたいとは思わないが、仕事だから仕方がない。

「いただきます」

「いただきます」

「その唐揚げのこの筑前煮取り換えっこしない?」

「シャークトレードすぎる」

「ケチ。日本の弁当ってなんでこんなにおいしいのかね」

「さぁ、俺は日本から出たことがないからわかんねーや」

「ご両親は海外で働いているって言ってたけど、どこで働いてるかとか知ってる?」

「や、マジで知らないんだよ。親戚からは連絡機器を持ち歩けないようなえげつないビジネスをしているとか言ってたけど、どうなんだろうな。毎月お金が振り込まれてるから生きてるってことは知ってるけど、これが途絶えた途端息絶えるしかない」

「・・・ふーん」

顔や声のトーンから嘘だとは思えない。少しだけ興味が湧いてきた。高校生にもなって両親の職業を把握していないなんて、普通におかしい。よくよく考えると人を家にあげてそのまま放置したり、たいして好きじゃない人に告白したりと、彼は常識が少しないのかもしれない。常識を教えられる環境にいなかったのかもしれない。

「なんだ聞いておいて興味なさそうな声あげやがって」

「気にしないでくれ。少し考え事をしたいんだ」

「俺の家でよくそんなに寛げるな」

僕の家よりよっぽど居心地がいいよ。家で独りきりだと、いろいろ思い出してしまう。人を殺した時の熱さ、拷問をしているときの寒さ。全部蘇って僕を苛む。帰りたくないな。戯言だけど。

「そろそろ行こうか」

血糖値スパイクでいい気分でウトウトしていた時軽くゆすられて目を覚ました。触られる範囲内でウトウトするなんて、何をしているんだろう。油断のし過ぎだ。

駅まで歩く道、よく使うサイトから高馬の家系図を入手する。ふむふむ、ひとりっこで両親の名前は秀忠と翼。まずは母親の名前で****で検索をかけてみるが、特にヒットはしなった。多分どこにでもいるような主婦なんだろう。・・・どこにでもいるような主婦が平日のこんなお昼の時間に家にいない?ますます気になってきた。

「ほれ」

1000円を渡された。

「あるがとう。明日返す」

「絶対だぜ」

駅に入る。少し離れた車両に乗るために奥に歩いていったら呑気についてきた。カルガモか。

「なんでついて来るのよ。今から彼女に会うのに僕と一緒の車両でおしゃべりしながら降りてきたら破局待ったなしだよ。君はRTAの走者なのかい」

「確かに。あぶねーそこまで気が回らなかったよ」

丁度電車も来たから別々の車両に乗り込む。空いてた座席の隅っこに座り、引き続き、彼について調べる。母親は後回しにするとして、父親について調べるとしよう。高馬秀忠っと。検索には4件ヒットした。嫌な予感がする。このサイトに名前が出てくるってことは、十中八九ロクデナシだ。少し深呼吸をして、最初のやつを開いてみる。かなり古い新聞のようだ。事件概要は・・・笑えないことが書いてあるな。4つ全て見終わったあと、顔が引きつるのを誤魔化すのは難しかった。高馬の父親はクズ野郎で今、刑務所にいる。高馬はそれを知らないんだ。じゃあ、離婚した可能性を考えてこの事件が起こった年の少し後から翼って名前だけで検索をかけてみよう。・・・・・・あった。これか。嫌な気分を抑えながら開いてみる。少し読んだ後、見るんじゃあなかったと後悔した。再婚した翼の名字は小倉。吐き気をこらえながら家系図を覗くと、予想した通りの悪夢が広がっていた。

高馬、お前の両親イカレてるよ。人じゃねぇ。

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