8 高馬 Day2
「てか、靴はどうするつもりなんだい?」
「誰かさんのせいでシューズのままだからな」
「まったく誰のせいだか。見つけたらとっちめてやる」
「言ってろ。学校戻るか?戻れるんか?」
「うーん無理だと思う。不正対策に教師は外にもいるだろうし」
「いったん俺は家に帰れるけど、電車通学だっけ?」
「うん。旦那、靴も貸してくれないかい」
「・・・中学で履いてたボロボロの靴くらいしかないぞ」
「肉親の靴とかってないの?」
「肉親って言うなや。家族は家にいねーから俺の分の靴しかない」
「じゃあ、それを借りるよ。旦那の家、初めて行くから楽しみで仕方がないよ」
「なんもねーし、お茶くらいしか出さないぞ」
伝票を手に取りレジに向かう。合計1700円。最近飯を奢ってばっかりだな。
「ご馳走様」
「飯は奢るが電車代は出せよ」
「勿論」
両手をポケットに仕舞い、家に向かって歩き出す。
「こうやって制服で2人で歩いているとデートみたいだね」
「絞首台に送り込まれる気分だ」
「旦那はロマンがないな」
「お前には常識がないのか」
「そういや聞いたことなかったけれど、どこでバイトをしているんだい?」
「いたって普通の飲食店だよ」
「その店の新人教育はどうなっているんだ?」
「マンツーマンですべて教えられるって感じだな。俺は先輩に教わった」
「どんな業務があるんだ?」
「接客、調理、コーヒーを淹れるとかいろいろあるよ」
「何時まで働いてるんだ?」
「22時。それ以上働けないしな」
「ふーん、僕はアルバイトをしたことがないからすごいと思うよ」
「そりゃどうも」
くだらない話をしながら家に戻った。
「ただいま」
「お邪魔します」
よく考えたら家に人を呼ぶのは結構久しぶりだ。
「散らかってて悪いね」
「気にしないさ。僕の部屋はもっと汚いから」
「誇るな」
「埃だけに?」
「つまらん」
「トイレだけに?」
「何も関係していないだろ」
リビングに案内し、自分は古い靴を取り出す。臭いを確認・・・無臭だな。これなら大丈夫か。
「おーい、ちょっと来てくれ。この靴で大丈夫か?」
「これが1番いいんだろ?ありがたく使わせてもらうよ」
「・・・」
「・・・」
「・・・や、履いてくれ。サイズがわからないだろう」
「・・・ガラスの靴みたいに履かせてくれる王子はいないのかなぁー」
「おらん」
「わーお即答」
「・・・ちょうどよさげだね」
「まあ、僕は女の中では身長高いからね」
「よし、行こうか」
「早いよ。もうちょっとゆっくりしていこうよ」
「ここ俺んちな」
「今から電車乗っても30分前についちゃうよ」
「30分くらい待てばいいだろ。日本人は相手より先に来るのが礼儀なんだ」
「ごめん待った?今来たところ。みたいなうすら寒いことでもするつもりか?」
「・・・儀式美だろ」
「あ、ごめん」
「謝んな。わかったなら行くぞ。今リビングすげー汚いからあんまり長居させたくない」
「ちぇっ、ざーんねん」
といったものの、靴を再び脱ぐ加藤。
「・・・ごはん、作ったげるよ」
「なんでそんなに俺の家にいたがるんだ」
「いいからいいから。先輩に12時集合に変更してもらって」
「・・・」
「返事は?」
「・・・・・・」
「君の家だからベッドってもちろんあるよね?布団かもしれないけど」
加藤はにっこり笑った。
「キャラメルクラッチか卍固め、どっちが好みかな」




