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虚栄  作者: 竹取夜鷹


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6 高馬 Day2

場の空気が凍った感覚。俺と加藤しかいないのに、いろんな人から後ろ指を刺されているような居心地の悪さを感じる。

「・・・恥じらいとかないの?」

「ないね。大事なお友達のためならば」

「俺のことは友達ですらないって?」

「いいや、大親友さ。だからだよ。お前は間違ってる」

「なにが間違っているんだよ」

「とりあえず答えろよ。お前、あんのか?」

「ねーよ」

「そういうとこだぞ。小倉恋愛対象に入れてやれよ」

「今更愛だとか恋だとかねーよ。もう家族みたいなものなんだから」

「小倉が1度でもそんなこと頼んだか?家族みたいに見て欲しいって」

「愛してくれとも恋愛しようとも言われてないよ」

「・・・よく回る舌だね。切り落としてステー○宮に納品したくなるよ」

「普通に怖いな」

「じゃあ、先輩でシコれる?」

「勿論」

「なんで?好きだから?」

「胸触らしてくれたから」

「・・・お前ってやつは。じゃあ今から僕が胸触らせてあげるって言ったらシコれる?」

「勿論」

「汚らわしいな」

「お前が言い出したんだろ」

「・・・てか、先輩の名前って何?」

「教えないよ。個人情報だからね」

「教えられないじゃあなくて?」

「次は何を言い出す気だ?」

「違う、お前、その先輩の名前言えるのか?」

「勿論」

「じゃあ言ってみろ。名字だけでいい」

「言わない」

「いいから言えって!」

加藤は机を叩いて立ち上がった。

「やめろ。店内だ」

「旦那が口を割ったらすぐにでもやめるよ」

ゆっくりと手が伸びてきた。身じろぎしかねていると右手で俺の首をしっかりと掴んだ。

「放せ」

「断る」

加藤はさっきまでパンケーキを切っていたナイフを順手に持つと、切っ先を俺の右目に向けた。

「何する気だ?何をしている?」

「黙れ」

ゆっくりとナイフが近づいてくる。俺は両手で左手を掴んだ。が、じわじわと近づいてくる。

「力を抜かないでね。グサッとしちゃうから。じゃあ、先輩の名前を言おうか」

「言わん」

マズい。

「ふーん」

じわじわと近づいてくる。もうまつ毛が当たりそうなほどだ。

「やめろ!」

「さっさと吐け!」

宙に浮いた感覚。次の瞬間衝撃を受け、肺から空気が逃げ出した。一瞬なにが起きたかわからなかったが椅子ごと床に叩きつけられたみたいだ。馬乗りになった加藤は感情のない冷徹な顔をしていた。

「ラストチャンスだよ」

「・・・っ」

「動かないでください!」

目だけで確認するとモップを持ったさっきの従業員が威嚇をしている。

「警察を呼びますよ!今すぐ男の人から下りてください」

「・・・白けちゃったな」

特に抵抗することなく俺の上から下りた。くっそ、息が苦しい。全身が酸素を欲してる。

「大丈夫ですか?」

「すまない、大丈夫。よくやる遊びさ」

「本当に大丈夫ですか?脅されてたりとか?」

「別になんともないさ。文化祭の練習も兼ねてるし。まぁ店の中でやったことは謝るよ」

「すみませでした」

「・・・わかりました。次やったら出てってもらいますからね」

店員は厨房に戻っていった。

「ありがとね。つい熱くなっちゃった」

「・・・」

椅子に座りなおしたが体の芯から震えている。俺は、加藤に恐怖している。加藤がどこまで計算しての行動なのかはわからないが、俺にトラウマを植え付けるのには成功したみたいだ。

「当ててあげるよ。旦那は先輩の名前も覚えていないのに、近くにいたからとか、イケそうだからとかで告白したんでしょ。何のためだかは理解ができないが」

何も言わない。きっとこの無言が最大の肯定になっているのだろう。

「見損なったどころか、人間として神経を疑うよ。申し開きがあるなら聞くけれど、別にないんでしょ?好きでもないどころか名前すら知らない先輩に打算だけで告白し、悪びれもしない。腐っているよ」

「言ってくれるな」

「ああ。僕は君のことが大好きで相当評価していたのに、関わり方を改めないといけない。悲しいよ」

「・・・」

「ほら。先輩を好きじゃあないことを否定すらしない」

「・・・ああ」

「正直に答えて。なんで告白したの?」

「・・・・・・昨日、小倉と飯食ってて、彼女がいるかって聞かれたときに見栄を張って『いる』って答えて、その後帰り道に仲がいい先輩に彼女の振りを頼めないかってお願いしたら、曲解されて、その日の晩にバーに呼び出されて付き合うことになった」

「・・・想像よりくだらなかったけれど、考えていたよりは低俗じゃあなくて安心したよ」

「いや、俺はクソ野郎だよ」

「知ってる。んで、どうするつもりなんだい?」

「わからない。どうすればいいんだろうか。俺から告白してその気にさせた以上、振るのは絶対におかしいからどうすればいいんだろう」

「僕に言われてもなぁ」

「そりゃそうか」

「じゃあ、今から会ってみたら?せっかく学校サボったんだから」

「今?」

「うんうん。連絡してみてよ」

「わかった」

チャットを開き、少し考えた後、「学校サボったので今暇です。遊べませんか?」と送った。

「送ったぞ」

「じゃあ、少し待とうか」

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