ある日の出来事…
この小説は、「日常生活の一部を掌編にする」というお題をいただいて、制作したものです。
俺は、その日ストライキを決行した。
以前から計画はしていた。この家の住人は、とにかく俺に対する扱いがひどい。ふんずけたり叩いたり。暗闇に閉じ込められたこともある。とにかくひどい。
それでも耐え続けてきたのは、俺の懐の深さだ。少々叩かれてもびくともしなかったし、閉じ込められても一日中ってことはなかったから、俺も我慢していた。
だが、これも限界だ。堪忍袋の緒が切れたというやつだ。
その日も、いつものように俺はひどい扱いを受けていた。放り投げられたんだ。
俺は、身体を床に強く打ちつけてしまった。そのせいで、体の一部がはずれた。頑丈にできている俺だって、これには参ってしまった。
だから、ストライキを起こしたんだ。
「お母さん、テレビつかなくなった」と、負傷した俺の身体を強く押してくる。
俺は耐えた。
二度と動いてやるもんか。
「そのリモコン古いからね。買い替えよっか」
ストライキもむなしく、俺はあっけなく家を追い出された。
次に来た俺の後任が再びストライキを起こすまで、住人はきっとのんびりテレビを見るのだろう。
読んでいただき、ありがとうございました。今後、こうした短編を中心に投稿しようと思っています。よろしければ、またのぞいてみてください。