第7話 卑弥呼!憤怒の復活!
ハルノブ「女の子みたいだね…」
マサチカ「そうだな」
ユイ「なんかの儀式なのかしら」
女性の声「出口に案内します。結界開錠のためそのミイラを血溜まりに投げてください」
ハルノブ「投げ入れないと…投げ入れないと…彼女を解放しないと…(遠い目)」
マサチカ「気をしっかり持て!ハルノブ!これだけの犠牲者を伴う儀式で出口一つ開けるだけなんておかし過ぎる!俺達に何を隠している!ナビゲーター!こっちはグールにも襲われたんだ!答えもらうぞ!」
ユイ「そうよ!納得いかないわ!」
ハルノブ「ハッ! 俺はなにをしようとしてたんだ…」
女性の声「分かりました・私のお答えできる範囲でご説明しましょう・私は"マイア"最上の神に使える神造女神です・そして彫刻の民の末裔たる候補者を最上の神の元へ導く者です・この空間は彼女とその民が張った断層遮断結界の中です・結界外に出る方法は彼女を投げ入れることです・・・」
ハルノブ「俺たちが彫刻の民の末裔だって?」
マサチカ「とにかく塔の外に出て分析しないといけない!結界外に出ないことには塔からも出られないということか…」
ユイ「私たちどうすれば…」
マイア「結論・あなた達はこの先・天界の塔の最上に至るまで塔を出ることは叶いません・神々を甦らせ全ての結界を解除しなければ最上に至ることはできません・その少女の名は"卑弥呼"・かつて塔の30階層までの人族を指揮し下層を最後まで守り抜いた存在・彼女を解き放つことで・あなた方は一つ真実に近・づくこと・が・できます・」
ユイ「出られないってどういうことよ!」
ハルノブ「卑弥呼だって!?天界の塔との繋がりなんて歴史に記されてないぞ!」
マサチカ「卑弥呼の遺体は発見されていない…存在の証明はかつての文献だけだ…だとしたらこの少女はほんとうに…」
マイア「彼女を民の血に捧げることで儀式は完了します。儀式を実行してください。」
ハルノブ「そうしないと結局はここから出られないないっていうならやるしかないのか…」
マサチカ「しかし…何故卑弥呼は封印されたんだ?」
ハルノブ「マジで彼女に聞くしかないのかもな」
ユイ「こんなの…倫理が許さないわ」
ハルノブ「もう今は倫理とか言ってられないよ!疑問だらけだし俺だって不安だけど…でもここから一生出られないよりはいいでしょ!」
マサチカ「そうだな…今はそれしかないのかもしれない…」
ユイ「マサチカ…あんたまで…」
ハルノブ「やるぞ!」
そうしてハルノブが卑弥呼のミイラを血溜まりの湖に投げ込むと、卑弥呼は血溜まりの中で悶えるように苦しみ、叫び、バタバタと暴れ出した。
彼女の中に湖の血液が全て流れ込んでいき、卑弥呼は「ごめんなさいぃいごめんなさいぃぃぃいいい」と叫び続けていた。
それはとても心抉られる光景だった。
血液が吸収されるにつれ骨格や筋肉などを形成し卑弥呼は歳12ほどの少女の肉体を形成した。
湖の血溜まりは枯れ果て、そこには卑弥呼が涙を流し、項垂れていた「…民よ…誠に申し訳ない。ワシは解き放たれてしまった!…なんたるコトか!…あやつの封印が解かれてしまったぞ!…あぁなんたるコトか!…」
マイア「神代白滅録ルルエラの書の封印が解除されました」
卑弥呼は空になった血壺の中から静かにハルノブの方へと近づいてきた。
卑弥呼「そなたら死する覚悟はよいだろうな!!」
ハルノブ「ちょっと待ってくれ!俺達にも事情が分からないんだ!卑弥呼さん!話を聞いてくれ!」
卑弥呼「人の御霊・神の御霊・合わさりて・今!お力頂戴仕る!神羅万象に誓いて!ここに必滅の祈りを奉らん!神器顕現……………天叢雲剣」
卑弥呼は言霊を唱えると、幾重もの五芒星が宙を舞い、直列に重なりあった時、轟音とともに翡翠色に輝く身の丈ほどの剣が顕現した。
マサチカ「本当に違うんだ!俺たちは断層から出たいだけで!悪意はないんだ!」
ユイ「そうよマイアって奴に言われたの!」
卑弥呼の剣がハルノブの首に迫ろうとした時、刃は首の皮一枚のところでピタリと止まった。