第6話 第30層ー邪馬台国ー
ハルノブ「神々の封印ってなんのことだ?」
ユイ「人族の滅びとか階層封鎖とか…一体この先に何がいるというの…なにを恐れているの?」
マサチカ「だが、ここに進むなとは書いていないぞ、それに彫刻の民候補とも書いている。それは俺たちのことじゃないか?なら進むべきじゃないか?」
ハルノブ「今はなにも断言できないけどとにかく研究室をでよう!なんだか嫌な予感もするし…」
その時研究室にアラームが鳴り響いた。
アナウンス「侵入者を確認!侵入者を確認!外部からのシステムの侵入を確認!不適切な手段で封印が解除されました。侵入者の排除を開始します」
建物内にはなにやら低くうめくような声が響いている。
ユイ「え!?どういうことよ!私たちは言われた通りにやったじゃない!」
マサチカ「とにかく逃げよう!」
ハルノブ「来た道を走れ!」
マサチカ「おいナビ!出口はどこだ!」
女性の声「屋敷を出て道を右に、その先の洞窟の中を進んでください」
ハルノブ「聞いたか右だ! ッ⁉︎なんだアレ‼︎」
マサチカ「この腐敗臭はグールだ!!!一撃くらえば腐食して死ぬぞ!とにかく走れ!(おかしい…アレは25階層のモンスターだ…なんでこんなところに!)」
ユイ「ヒィ‼︎ ハルノブの曾お爺さんなんてもん飼ってるのよーーーー!!」
3人は必死に逃げ洞窟へと辿りついた。洞窟の入り口には大きな門があり3人は忍び寄るグールを押し出すように必死に門の扉を閉めた。
ハルノブ「ハァ…ハァ…ナビの通りならここまでくれば…………ウワァ‼︎…なんだよ…これ…」
ユイ「いやーー!!」
マサチカ「くッ!……全て…遺体か!」
洞窟の中は巨大な木造の宮殿になっていた。
3人の眼前には、両膝を地につけ、手のひらを合わせる人間の遺体が、皆がみな胸に刃物を刺したまま、まるで誰かに祈りを捧げるように一つの方向を向いて所狭しと並んでいた。
ハルノブ「この衣装文化は間違いない!…邪馬台国の衣装だ!」
ユイ「そんなわけない!なんでそんな人たちが天界の塔にいるのよ!」
ハルノブ「分からない、分からないけどデータで見たことがあるんだ!間違いないよ!」
マサチカ「うん、確証はないけど間違いないだろう、遺体を分析にかける必要はあるが…今はそんな時間もない。それに疑問はまだある…ここの遺体は状態が良すぎる。まるで血を抜かれてから時間が止まってるみたいだ…まるで腐敗も損傷もしていない…」
ユイ「見て!この人達の足元…溝があるわ!」
ハルノブ「本当だ!それにこの宮殿、緩やかだけど傾斜になってるよ!皆んな同じ方向に血の流れた形跡がある…とにかく行ってみようよ!」
マサチカ「そうだな、外にはグールがいる。引き返すわけにもいかない」
3人が溝を頼りに歩みを進めるとその先には巨大な空間と湖のように巨大な血溜まりがあった。
マサチカ「これは血液か!何故凝固していない…まるでそのままの状態だ…」
ユイ「これが…全部…信じられない…」
ハルノブ「溝は全てこの赤い湖に流れ込んでるから間違いないよ…」
マサチカ「一体何があったんだ…。ハルノブ!ユイ!あそこに橋がかかってる、出口かもしれない行ってみよう!」
橋を渡ると小さな祭壇があった。そこには美しい衣装を纏った少女のミイラが横になっていた。