6-8:わたくしにも情報収集くらいできますわっ!
「ご無沙汰してます。あれからもう25年ですか。セラフィーナ様は本当にお変わりなく。俺はもうこの通り、だいぶ年を取ってしまった。」
再会して、感動して。
神聖ストラシャペル法王国、法王ストラス・カーディナル27世は少し涙を浮かべながら、久しぶりに再会した姫君と相対していた。
「ええ、お久しぶりですね。」
セラ様はいつも通り、慈愛の微笑のまま。
「ふふ、とてもいいお父様になられましたね。しっかりと子を育てた者の風格がありますわ。」
感じ取った事を包み隠さずストレートに伝える。
かつて会った時はまだまだ若輩だったけれど、今はもう、父親としても国王としても立派に責務を果たしてきた男の顔。
「あの頃の貴方も、可愛らしかったですけれど。」
「ああ、いえその、あの頃は・・・」
セラフィーナの言葉に、法王は少し照れたような表情になる。
まだ王位を継ぐ前の、法王の息子として出会った過去。
現法王にとっては決して忘れられないあの頃。目の前にいる永遠のお姫様に恋焦がれていた、若かりし頃。
もちろんその想いにセラ様は気付いている。
見目だけであれば殿方から好かれるのは分かっているし、穏やかな性格もあり癒しを求めるものも多い。
当然好意を寄せられることに悪い気はしないが。
ただセラフィーナも、自分の特殊性は痛いほど理解している。シェルン共々長すぎる人生を持っていても、感性は人と変わらない。
当然そういった想いは持ったし、お付き合いしたこともあるけれど。
命が尽きないという事は、特定の相手に想いを寄せた人数分だけ、その相手を失う事も経験するわけで。
結果的に<災厄の魔女>を辞めてからは何度も辛い思いを繰り返し、今はそういった気持ちは意図的にお休み中である。
二人は以前の事を思い出しつつ応接セットのソファに落ち着き、セラ様は用意されたお茶を頂きながら、少し静かに時を過ごす。
会話は落ち着いてから。
ひとまずは、久しぶりの再会を噛み締めている法王に合わせて。
しばしの時を互いに静かに過ごして、法王が口を開く。
「それで今日、こちらにいらしたのは・・・」
想いはたくさんあるけれど、この人は決して懐かしむために来たわけではない。かつて会った時にそれはしっかり理解している。
セラフィーナの行動理念を、理解しているから。
かつて争っていた両国の兵が、命が失われることを悲しみ、戦争を進める者たちを叱咤して、長きにわたる争いを諫めた姿を見た。
ポヤポヤしているところもあるし、普段はとても穏やかな人だけれど、戦場で見た時の姿は決して忘れれられない。
あの時の姿を、目的を知っているから。
「また何か、わが国でトラブルが起きていると?」
再会は嬉しいけれど、おそらく現法王たる自分へと会いに来た理由は、捨て置けばよくないことになる話。そうあたりをつける。
その想像は正しいが、帰ってきた答えには。
「そうですわね。まだ何かが起きているわけではないのです。実は今日、貴女の娘、クリスティン様にお会いしましたの。」
「クリスですか!?も、申し訳ない。アレはどうしてか、とんだお転婆に育ててしまった。お恥ずかしい限りで。」
想定していなかった、娘と先に会ったという話。
その言葉に今度は申し訳なさそうな法王を見て、セラ様の脳裏には「やっぱりお転婆なのですね。」と微笑ましい気持ちも広がる。
「いえいえ、しっかりと国と民の事を考えている、立派な考えのお嬢様でしたわ。それでそのクリスティン様がですね・・・。」
そこからはクリス王女に聞いた事を包み隠さず法王に伝える。
弟の部屋に忍び込んだと聞いたときは流石に父として少し思うところもあったけれど、それでも今伝えられた内容と。
「そうですか。クリスが自分で動きだしたと。たしかにエデュアルの、弟の事を案ずれば、アレならそう動いてもおかしくない。」
娘の行動については納得して、次に弟、息子の変化については。
「確かにここ最近、エデュアル不穏当な発言をすることが多くなった。俺の前であれば注意はするのだが。」
家族としてそれなりに話すこともある間柄、父としても既に何かしら感じ取っている所はあったようである。
だが、クリス王女の話に出てきたことについては謎が多く。
「マイアスがそのようなことをするとは思えん。その使いの者というのが、本当にマイアスの意思を伝えたのか、それとも。」
「その司祭様を隠れ蓑にしているか、という事ですわね。」
法王の言葉には、マイアスを信頼している雰囲気を感じ取れる。何よりセラフィーナも今朝神殿でそうとは知らず会っているが。
(あの神殿で、悪意を持つような魂は見当たりませんでしたし。)
セラフィーナであれば大きな事を起こそうとするほどの悪意であれば多かれ少なかれ感じ取れるはず。
ノースチャペルではそういった意図は感じられず、フィルメリアにあったような人々には隠蔽された魔法の設置も見当たらない。
「ならばまずは、エデュアルに直接聞いてみよう。公務が終わった後になるが、セラフィーナ様も息子に会われますか?」
変わってしまった本人に聞く。どういう反応になるかは分からないが、父としても当然気にしていることではある。法王の提案に。
「そうですわね。人となりを見ればわたくしにはそれなりに分かることもありますわ。同席させていただきますわ。」
セラフィーナも当然会う事とする。
つい先日までいたフィルメリアの問題。シェフィールド領主が傀儡とされていた為に色々とおかしな状況となっていたあの国。
この国がそうとは限らないが、そういった術にかかっているようであればセラフィーナにはすぐわかる。
直接会えばその線は簡単につぶせるため、まずは会う事として。
「承知した。貴女の同席があれば、アレもまた変わるやもしれん。エデュアルにもこの国の過去はしっかりと伝えているからな。」
ひとまずこうして、セラ様はこの国の次期法王に会う事となり。
それまでは昔を懐かしむ法王と少し談笑して、公務に戻った法王と別れた後は城の者に色々と現状を聞かせてもらい。
城内という事と、過去を知るものもまだ多くいるという状況の中、珍しくセラフィーナはお姫様スタイルでも問題無く、旧知の者たちからこの国の現状について、様々な情報収集を進めるのだった。
―― セラフィーナが珍しく、情報収集で役に立っている頃。
「私の遣いが、殿下にそのような事を吹き込んでいたと。にわかには信じられませんが、クリス様が仰るのであればそうなのでしょう。」
クリス王女が状況から疑いを向けた張本人、マイアス司祭は王女とシスター同席の元、シェルン達との対話を始めていた。
シスターグレイスがシェルンの頼み、司祭と話がしたいという申し出を聞き、スケジュールを調整してくれたからである。
当然その場で聞いていたクリス王女も同席し、芋づる式にアセリア姫とセティスも同席となっている。
ちなみに司祭はこの街で第二位に位置する治政も担う立場。フィルメリアのお姫様と騎士団長は同席にあたり、ちゃんと身分を明かしている。
そのことには司祭もかなり驚いていた。フィルメリアはこの国から見て思いっきり遠くの国なので、その国の姫が来るなんて想定外である。
ただ司祭にとってシェルンだけは何者かというところがよくわからないまま、とりあえずクリス王女の協力者という事になっている。
そして想像通りというか、マイアス司祭はとてもよく出来た人物だった。シェルンとクリス王女を中心に会話をした結果は分かったのは、この男が民を思う、献身的な人物という事が再確認できただけ。
なにもおかしい所も無く、マイアス司祭の潔白が感じられる対話を一通り終えた後、次に疑問となる点を確認していく。
「それで司祭様、遣いに出されたのはどんな方なのですか?」
「問題はソコなのです。私は殿下に何かしらの用事で遣いを出したことがない。であればその遣いを名乗るものこそが、何かしらの陰謀を持ち殿下に吹き込んだ、そう思うのです。」
だがシェルンの確認には、少し想定と違う答えが返ってきた。司祭が遣いに出したものが疑わしいと考えたが、そもそもそんなものはおらず。
その言葉をクリス王女は再確認する。
「あれは貴方の遣いではなかったのですか?私が聞いたときは確かに、その者はこう言ったのですが。」
―― ノースチャペルのマイアス司祭様は、今の状況こそが腑抜けた国をつくり、他国の侵略を許すことになると危惧しております。――
クリスティンが弟の部屋に忍び込んで聞いた話。
その男は確かにマイアス司祭が危惧していると言った。
「なるほど、それで私の遣いと考えられたわけですね。クリス様が私の元に来られた理由もよくわかりました。」
疑いを向けられたと分かっても、マイアス司祭は一切顔色を変える事もなく、温和な雰囲気のまま。それどころか。
「殿下もその言葉に賛同されていた、とうことですか。」
自身の遣いではないと言っておきながら。
「ですがその考えにも一理あります。我が国はここ最近、戦となった場合の備えについては昔と比べてかなり脆弱です。」
確かに今のストラシャペル法王国は平和主義で、軍備に対してはそれほどの予算を割いていない。
かつては十万を数えた神官戦士も、今は半分の五万程度。
言われた通り他国の侵略を受ければ、かつてのように武力で対抗することができないかもしれない。
「ですが司祭様。エデュアルはこうも言ったのです。『平和の中にある民は信仰心も薄くなり、ストラス教の権威も地に落ちた』と。」
クリス王女は司祭の言葉を理解はできるが、弟の言葉、平和と信仰心の低下には繋がりを見出せない。
例え軍備が脆弱であっても、ストラス教の権威は関係ないようにも思う。なぜ平和だと民の信心が薄れ、国教の権威が地に落ちるのか。
クリス王女の言葉にも、司祭は温和な表情で頷くが。
「いえ、殿下の言葉はあながち的外れではありません。何もせずとも平和であれば、神に祈りを捧げる必要もない。人は楽をしても問題無く生きていけるのであれば、信仰心は確かに薄れるかもしれません。」
その上で、戦と信仰心との関係についてもしっかりと諭す。
戦があれば、不幸なことがあれば。人は抗えないものに対して何かを信じる事で救いを求める。
だが平和で、救いを求めずとも幸せに、何の問題もなく生きていけるのであれば、宗教という偶像に縋る必要もなくなる。
話を聞くうちに、クリス王女も表情が変わる。
マイアス司祭の言葉には説得力があり、今の平和で幸せそうな民であれば、信仰心の必要性が薄れることも理解できる。
「ではマイアス司祭、貴方はエデュアルの言葉、それにエデュアルにそう言った事を吹き込んでいる者の言葉も一理あると。そうお考えですか?」
「いえ。信仰心は強制するものではありません。そしてそれは戦という不幸を利用して高めるものでもありません。
あくまでも大切なものを幸せにしたい、そう願う心こそが全てです。ストラス教はその願いを分かりやすい形にしただけ。私はそう考えて、皆様の祈りを神にささげる場を提供しているにすぎません。」
自身の想いを、何も見る事もなく、言いよどむ事もなく。
その言葉の端々には、平和を願う気持ちがしっかりと見て取れる。
やはり、この男は違う。
決して戦を、戦う事で薄れてしまった信仰心を取り戻そうというような考え方をする男ではない。
クリス王女はここまでの会話で、マイアス司祭がエデュアルに吹き込んだという線は無いと、調査の選択肢から外して考える。
「そうですか。マイアス司祭は遣いを出さず、戦を推奨もしない。少しでも疑いをかけた私が間違いでした。申し訳ない。」
一通り話を聞いて、司祭に深々と頭を下げるクリス王女。温和な司祭も王女の事を咎める事もなく、優しい表情で頷くだけ。
ただここまでは、想定の範囲内。もとよりこの司祭に対してシェルンは殆ど疑いをかけていない。
それが今の対話でクリアになっただけ。ならばその次を。
「それではマイアス司祭様、この国が戦になった時に一番得をするのはだれか、心当たりはありませんか?」
きわめて単純な、利権関係を確認する。
戦で得をする。その位置に居るものが、もっとも疑わしい。
クリス王女にとっては、司祭と対話する前にアセリア姫、セティスと共に話をした内容。もちろんその後聞いたシェルンの想定も同じもの。
それをマイアス司祭にも確認するだけ。
そこからは司祭がつかめている範囲で国内の利権関係を一通り確認して、そこに居る主要人物についても一通り聞いて。
「ありがとうございます。今まで聞いた話で、ある程度話は進んだと思います。あとは私たちが何とかしますね。」
なぜか身分が一番あやふやな、どう見ても一番若そうな、というか幼さも感じさせる少女が、話しを纏めるような言葉をかける。
「あ、あの。クリス様、こちらの協力者とは一体?フィルメリアからおみえになったお二人とも懇意のようですが。」
対話の間、話の流れでクリス王女が話すことも多かったが、どう見ても主導しているのはシェルンと名乗ったこの少女。
その素性にはマイアス司祭も疑問を禁じ得ない。
聞かれたクリス王女も少し説明に困る。かつて隣国との戦を諫め、平和をもたらした者を頼ろうとしたら、まさかの本人に出会って。
その人に仕えている、長い時を生きている侍女の方です、なんて説明してもなかなか信じてもらえないと、王女の常識も悩みだす。
その表情を、どう答えればよいですか?なんて聞いてきているような王女の顔を見てシェルンも苦笑しながら、そりゃ説明しにくいですよねー、なんて心の中で思いつつ。
「あー、私はですね。そうですねー。ほらあれです。ちょっと前に隣国との戦争を停めたお話があったじゃないですか。」
「隣国、キャスタブールとの戦争ですか?たしか前国王様が仰るには、神の如き力を持ったお方に、両国を諫めてもらったと伺っておりますが。」
突然出てきた、今は国の伝説みたいなお話に首を傾げる司祭に向けて、シェルンはあっけらかんと。
「はい、それです。私はその関係者です。だから今回はアフターケアみたいなものなので、気にしないでくださいねー。」
と、見た目も態度も一致しない、そもそもあの時はまだ生まれてすらいなさそうな少女から、謎の言葉が告げられる。
「か、関係者・・・ですか?」
当然の疑問を呈するマイアス司祭。
ただその話を続けても、明確な答えは出なさそうで。
「わかりました。くれぐれもクリス様に、お力添えをお願いします。」
疑問は残ったままだが、とりあえずこの件を解決するために動いていると認識して頭を下げるのだった。
―― セラ様とシェルンがそれぞれ動きだした頃。
ストラシャペルの南、サウスチャペルの中央にある神殿、サウスパレスの一角で、二人の人物が言葉を交わしていた。
「それでは殿下のお考えは、我々に利するものと。」
「はい。もちろんすぐには動けませんが、我々とは利害が一致すると、そう判断されてます。」
会話している一人はカズア神父。サウスチャペルを治める大司教の元で神父を務める、この街における執政官の一人である。
そしてもうひとりは高位の神官が身に纏う、豪華な法衣を纏った女性。
国の西に位置するウェストチャペル、そこを取り仕切る大司教。
フローレンス・ウェスター大司教。
神聖ストラシャペル法王国にある4つの大都市のうち、西の街を治める職責も持つ、ストラス教でも頂点に近いものの一人である。
二人は他の者のいない部屋の中、特に悪だくみをするような雰囲気はなくとても真摯な面持ちで、会話を進めていた。
「法王様は先代様と同じ平和路線。たしかに戦が無いに越したことはないが、このままでは民の信仰心は保てません。」
「仰る通りです大司教様。そして神に仕えし神官戦士達も、このままではどんどんその力を衰えさせるでしょう。それではこの国は。」
おおよそマイアス司祭が考えていた通り、信仰心が薄れる事に危機感を持っているようである。
それだけでなく、国を護るための力が衰える事にも危機感を示す。
「再びキャスタブールが動き出した時、対応はできませんね。栄えある神官戦士達も力を落とし、数も減るばかり。
キャスタブールとて決して烏合の衆ではありません。我が国の衰えを見れば、再び刃を向けるでしょう。」
フローレンス大司教はその瞳に憂いを湛え、将来ありえるかもしれない事態に対して危機感を募らせる。
その考えは的確であり、隣国が再び攻め入らないという保証など、少なくとも大司教の知り得る限りどこにもない。
「ところでカズア神父。お友達は如何でしたか?」
「マイアス司祭ですか。彼は恐らくダメでしょう。たしかに我らと同じ危機感は持っているようですが、信仰心の薄れにも、国防についても具体的な対策を講じようとは考えられないようです。」
シスターグレイスがシェルン達に話した通り、カズア神父はマイアス司祭の友人である。
そしてグレイスが話していたもう一人の友人は。
「そうですか。仕方ありませんね。アマンダも私と同じで、かなりの危機感を持っていると言いますのに。」
アマンダ司祭。フローレンス大司教の治めるウエストチャペルで司祭を務める、大司教同様女性の司祭。
カズア神父、アマンダ司祭はノースチャペルのマイアス司祭と懇意であるため、二人はその想いをそれとなく伝え、自分達の陣営へと誘う算段をしていたのだが。
「彼はもとより非常に優しい性格です。戦に傾くような政策には、最初から賛同しないとは思っておりました。」
カズア神父は友人の性格を知っているが故、あくまで平和的な、現法王と同じ考えを示すだろうと考えていた。
そのくらいには、互いによく知る間柄である。
「出来れば姫様にも危機感を持っていただけるとよいのですが。法王様も姫様のお言葉であれば耳を傾けてくれるでしょう。」
フローレンス大司教は、同じ女性としてクリスティン王女にも想いを馳せる。法王にとっては目に入れても痛くないだろう娘。
その性格は幼少期からとても活発で、弟君と違い文より武に興味を持つようなお転婆姫。
だが今のところ、彼女は基本的に平和路線の考え方で、フローレンス大司教の考え方に賛同してくれる気がしない。
おそらく祖父と父から、かつて隣国との戦が終わった経緯を、そうとう美化されて聞かされている為にそういう考えになったのだと、フローレンス大司教は考えている。
「まずは殿下にしっかりとしたお考えを持っていただき、そこから少しずつ改革を進めるべきかと。姫様も弟君の言葉なら。」
「いえ、先日アマンダから聞きましたが、クリス様は殿下の言葉をむしろ否定しているようです。それどころか殿下にも平和的な考えを持つようにと話をしているようですね。」
二人はとても真剣に、この国の未来を憂うように。
そこからもどうやってこの国を、かつてのように強国にしていくか。そして人々の信仰心をどのように保つのか。
その表情はとても悪意を持つようなものではなく、人々のために、民の安寧のために本気で議論しているようで。
国を動かす者たちの思惑は、それぞれ別の方向を向き。
それでもその想いは、どうやら民の、国のためのようで。
皆悪意も、権力欲も、我欲もなさそうに見える中、セラフィーナはクリス王女の願いを。国の安寧を護る為。
責務として、戦の火種を消すために。
「ホントに美味しいですわ。やはりメルシアが近いというのは、とても素晴らしいですわね。」
「はい、法王様もお気に入りでして。メルシアの茶葉は品質も良く、またその種類も多くて、どれもお勧めできるものばかりです。」
法王の公務が終わるまでの間、現状の聞き取りを終えたあとは旧知の神官とのんびりお茶を楽しんでいた。
「こちらのお茶もとても飲みやすくて、渋みも無くて。これは何という銘柄になりますの?」
「これは最近新たに出回り始めたお茶ですね。メルシアプラムという、今までは実を食用にしていた葉を深煎りにしたものです。」
のんびりと。とても幸せそうに。




