3-19:王国の姫と騎士という、姉妹
今回からまたちょっと、暗めなお話かもしれません。いやいつも暗いのか?
本作のメインテーマ的な何かにつながりそうなどうなんだろう?
「ああ、あとは任せてくれ。といっても俺が説明しなくてもみんなわかってるんじゃないか?」
発表が終わり、ミリエラはマーセルにレジスタンスの事を改めてお願いするが。
マーセルの感覚では、自分自身も憑き物が落ちたように感じたと言い、これなら皆、あの発表だけで十分とも考えられる。一応説明はしてくれるらしいが。
「それにしてもミリエラ。本当に強くなったな。
昔のおまえからは考えられないくらいに。これも全部、アセリア様のお陰かな。」
少し離れた所で大変そうにしているアセリア姫を眺め、なんとなく幼馴染の変化の原因を考える。
子供のころから見ていたマーセルにとって、ミリエラは理想的な領主のお嬢様だったが、やはりどこか、理想を語りはするけれど、自分から引っ張ることはできない。
そんな、少し弱々しいイメージだった。
だが、久しぶりに再会したこの少女は、以前の理想を語っているとき以上に強い意志の力を感じさせる。
「うん。強くなった、と思う。
アセリア様にもお助けいただいたけど、やっぱり...
ううん、なんでもない。」
何かを言いかけ、やめる。
マーセルには分からないが、なんとなく、アセリア姫のお陰、というだけではなさそうでる。
「そうか。じゃあ俺はもう行くよ。
また落ち着いたら、色々話そう。じゃあな!」
ミリエラの態度が少しだけ気にはなったが。
まだまだ忙しそうなミリエラを開放し、幼馴染はこの場から去り、念のためレジスタンスへの説明に向かった。
幼馴染を見送り。
領民に囲まれて、ものすごく大変なことになっている、そんなアセリア姫の所に割って入る。
お姫様はやっぱり大人気過ぎて。
「皆様、夜も遅いですし、アセリア様もお忙しい身です!
今日はそろそろ開放してあげてください!」
よく通る声で、アイドルに群がる群衆にお願いする。
ここ数年鬱屈していたシェフィールドの街で、夜空をキャンバスに美しい光の景色を描いた姫君は、それはもう大変な人気だった。飛ばなきゃ脱出できない位に。
ただ、今の人々の行動は好意の表れなので無下にすることもできず、
(なんだか公務みたいですわ。ですがこれも皆様がお心があっての事。わたくしも頑張りませんとっ!)
と、笑顔を絶やさず皆に握手したり、お話したりと、その優しさを全力で振りまいていた。
こういう状況に置いて、本心から民を想って行動できるところも、このお姫様の凄い所である。
こうして夜の祭典後もバタバタした時間が過ぎ。
ミリエラのお願いを聞き届けた領民が、徐々に帰宅していき、解放されたのはかなり夜も更けてから。
「ふふ。大変でしたね。お二人とも、お疲れ様ですわ。」
人々の目がなくなり、ようやく隠蔽魔法を解いたセラフィーナは、大混乱中は少し空中に逃げていた。
見えないまま地上に居たら、謎の入れない空間ができてしまうし、姿を見せればより混乱するし。
そこへちょっと離れた位置で状況を見ていた。一応すごい数の人が溢れてたので、万が一に対して警戒をしていたシェルンも合流する。
「ほんと、すごい人気でしたねー。アセリア様がこの国で大人気のアイドルだとは聞いていましたが。
ほんとうに皆様に慕われていますね。」
今見て感じたその人気っぷりをストレートに称賛する。
「それでは、今日もまた遅いですし、帰りましょうか。」
「ほんっとにつかれましたっ!今日は久しぶりに、ゆっくりとお風呂に入ってのんびりしたいです!」
ミリエラさんが、NGワードを発言しました。
ピコーンッ!
と、なんか思いつきましたわ!とかチャンスですわ!とかいう感じで、ミリエラに向き直るセラフィーナ。
それに気付かず、アセリア姫はミリエラに。
「そうですわね。わたくしも昨日、久しぶりに大きなお風呂にゆっくりと入りましたわ。
暖かい湯船で、とても気持ちが安らぎました。」
(あーーー。これはまずいですねー。)
なんとなくこの先の発言が分かる侍女は、主のキラキラした喜びオーラみたいなものを感じ取り。
「え?アセリア様、昨日は遅かったですよね。
あれから王宮に戻られたのですか?」
当然の疑問である。ミリエラからみたアセリア姫は、夜遅くにメルヘン城に飛んで行ったところが最後なので。
ミリエラの知るメルヘン城にはまだ大浴場などという、魅惑の施設は存在していなかった。
「いいえ。昨日もまたセラフィーナ様のお城にお世話になりましたの。とても素敵な大浴場がありますのよ。」
(キラキラ)
「そ、そうなんですか?私がいたときは、そんな大浴場なんてどこにもなかったような?」
「セラフィーナ様が、お城の中を改築されまして。」
(絶対アウトですねー。明日も朝食四人分コースです。)
セラ様付きの侍女の懸念通り。いやそれ以上に。
領主邸に戻り、あーだこーだで。
「セラフィーナ様の所に?いや、大恩あるお方だ。お誘いとあらば是非にでもお伺いすべきだが。そうだな。
レアニール、ミリエラについて行ってやれ。
君には今回ものすごく世話になったようだし、今までの分も含めて特別手当も出そう。
もちろん後日しっかりと休暇は出させてもらう。
ああ、もちろん有給としてだ。
だからすまん、もう一日、娘を頼めるか?」
[雇い主にお願いされた侍女が追加されました。]
「アセリア様、だからちゃんと予定を立てて動いていただかないと。陛下もここ二日、心配しておられます!」
お迎えのため領主邸に来た騎士団長が困る。
「でもセティス様。あそこの大浴場は王宮よりもはるかに素敵ですし安らげますわ。
それにわたくしの予定は、戻っても書簡をお送りいただいた方々へのお目通りばかり。
それならば今は、セラフィーナ様とのお話の方が大切であると、わたくしはそう思います。」
「確かに。今までお会いしたものの大半も、下心を隠せぬような者ばかりでしたが。
ですがせめて、陛下にお顔をお見せください。」
「それでしたら、わたくしが助力致しますわ。」
「え?助力ですか?」
あっちのお姫様が、もう一人のお姫様を連れて王宮にワープして。お父様を説得した娘を連れて帰ってきました。
「というわけで、セティス様。わたくしの近衛として、今日も一緒に参りましょう。」
「あ。ああ。陛下直々に許可されたとあらば。
わ、わたしは従います。」
[お姫様に堕とされた近衛騎士が追加されました。]
(朝食。六人分コースですかー。)
なんだかみんな、毒されているようである。
たぶんセラフィーナ謹製の快適な居住空間も悪いが、それ以上にメイドの作るものすごく美味しい料理が悪い。
ような気がする。
―― メルヘン城で、女子6人。
遅い時間だったので、戻ってすぐに皆大浴場で温まり、のんびりと心を癒して。
あまりに豪華な大浴場に、レアニールは恐れ多いと断ろうとしたが、誰もそれを許してくれず。
最初はガチガチだったが、同じ侍女で先日しっかりなかよしになったシェルンが、持ち前の人懐っこさで緊張を解きほぐし、結局最後は皆楽しそうに。
遅い時間のお風呂トークが盛り上がった為、そのあとみんなすぐに寝て、今はもう翌朝のティールームである。
この数日でお泊りが多くなったので、お客様全員のお着替えをセラフィーナが魔法で編んで永続化して。
普通の生地とはまるで違う、軽くて肌触りがよく、縫い目も一切ない、さらに微量な回復効果も付与された服。
それぞれの役割に合わせ、様々な形へと織り成されたお着替えは、高性能すぎて替えが効かない一品だった。
ので、同じものを一人に三つも作ってくれた。
「一度織り成してしまえば、何枚作るのも複製だから簡単ですわ。アセリア様には今度ドレスもお送りしますわ。」
なんて、王国で服飾関係の仕事をしている方々を蔑ろにするような発言をしてしまったり。
とりあえず一通りお着替えも落ち着いて。
美味しい朝ごはん(12人前)も綺麗に片付けられ。
もちろん4人前×2はセラフィーナとシェルンである。
ようやくシェフィールドの件が片付き、細かなことはあるがそこはセラフィーナの出る幕でもなく。
いままで目の前にあった最優先のお仕事、戦争の火種を潰すという責務がようやく終わり。
激動の三日間ではあったが、セラフィーナとシェルンはこの国に来てから実質半年間動いている。
二人にとっては短い期間ではあるが、今回の責務も決して簡単なものではなかった。
そして今日からはこれからの事も含め、本来フィルメリアに来た目的、お姫様と色々対話の時間である。
書簡に従ってお姫様に来てもらうよりもよっぽど望ましい形で事が進んだので、その点はとてもありがたい。
でもできれば、全力のお姫様と騎士団長とは一戦交えてみたいので、セラフィーナはどうにかできないか、その方法をこっそり考え続けていたりする。
「それでお父様、陛下には少しセラフィーナ様にもお目通り頂きまして。ご挨拶と、フィルメリアに対する他国の動きをご説明頂きましたの。」
「そうでしたか。それで陛下はどのように?」
お風呂ではのんびりしたいので、お仕事の話については誰も一切しておらず、今からが本番である。
「はい。この件についてはわたくしがセラフィーナ様と直接お話するように。と。
陛下も、といいますか王族だけは、わたくし程ではないですがクリスティアラの事を多少は知っておりますの。
ですのでお父様もお母様も、これはわたくしにとって一番大切な役割であると。そう仰って。」
またすこし、話が大きくなりそうで。
「わかりました。陛下のご意向でもあれば。詳細はまた改めてお聞かせいただきますが、私も姫様に従います。」
近衛としては、この決定には従うのみである。
「ですが騎士団の立て直しもあります。
第二大隊の隊長が罷免となった今、騎士団全体の見直しもせねばなりません。
私はしばらくはこちらと王都、双方で動きます。」
騎士団長としてはお仕事が山積みなので、セティスはこれからものすごく忙しくなりそうである。
魔力消費無しで飛べるようになったので、移動に関しては今までと比較にならない程楽になり、その結果普通は考えられないダブルワークもセティスは気にしていなかった。
「セラフィーナ様のお傍であれば、護衛に関しては心配ありませんわ。セティス様には近衛の任はお休み頂いて、騎士団長の任としてこちらに来ていただければよいですわ。」
国の事、攻撃をされていたことに関する話もあるので、セティスは軍部を預かる者としての参加になる。
「なんだかまた大きな話になりそうです。
私も聞いていいのでしょうか?」
国家間の、戦争になりかねない話。そして王族だけが知っている、クリスティアラに関する事情。
ミリエラにとってはとても気になるが、騎士団長であり近衛でもあるセティスですら知らなかった話に、少し尻込みする所もあり。
「そうですわね。ミリエラさんは信頼できる方ですし、わたくしは聞いていただいても構わないと思いますわ。」
攻撃を受けた当事者でもあり、今後ひとつの領を預かる身にもなる少女には、事実を知る権利もある。
既にミリエラという少女をしっかり分かっているので、セラフィーナは何も心配していない。
ただ、レアニールだけはやはりあまりにも恐れ多いというか、平民がそんなことを知ってはいけないと言って、この話し合いの場は辞退した。
確かに相応の責任がのしかかるので、それは仕方ない。
そんなわけで、今この場には五人となっているが。
「そうですわね。お話したいことが多くて困りますが。
わたくしとしてはまず、フィルメリアに来た理由。アセリア様と、そして今はセティス様も。なぜお二人が、この魔力を使えるようになったか。
それお聞かせいただきたいと思うのですが。
よろしいでしょうか?」
右手に軽く金色の粒子を纏い、セラフィーナがアセリア姫、セティスに問いかける。
「それは、セラフィーナ様と同じクリスティアラの血を引いているから、という事ではないのですか?」
考えられるのはもちろんそれである。
そうなるとセティスもそうなのか?疑問は尽きないが。
「ええ。それがひとつの条件。と、わたくしは考えておりますが、それだけでは使えない力ですわ。
お二人ともこの力を、最初からは使えなかったかと。」
セラフィーナに聞かれ、アセリア姫とセティス。二人は顔を見合わせて、その心当たりを探り。
二人の表情が、変わる。
この力が。気が付けば今まで使っていた神聖魔法に、何か暖かい、優しい力が加わり、その威力を、効果を大幅に引き上げた時の。そのきっかけが。
二人にとって大切なあのタイミングと、重なる。
二人にとって。ではなく、あのタイミングは。
半年前にフィルメリアに来たセラフィーナは誰からも聞いていない。それはもう6年も前の事で。
そして人々は理由もなく、6年前のその出来事を語るような事はない。そのくらいに、皆知っていることで。
「やはり、お二人にとってとても悲しい出来事が。
救いを求めることが、助けたいとつよくつよく想うような出来事が、あったのですね。」
まるでその条件は、二人が気が付いたものだと。
その通りだと、言われているようで。
アセリア姫とセティスの顔を見て。
セラフィーナの言葉を聞いて。
「すみません。その話だけは、私もこの場で、興味本位で聞いてはならないと。思います。
セラフィーナ様にとって聞かなければならない、大切なお話ということでしたら、私は席を外します。」
ミリエラが、そう言って一礼し、席を外す。
「セラ様。私はミリエラさんとレアニールさんの方に行きますね。終わったら念話で伝えてください。」
席を外した少女を追い、シェルンも外す。
しばらく、誰も一言も発せず、時は過ぎ。
「わたくしから、お話しますね。」
セティスの方を向き、アセリア姫が、一言。
セティスは、目を閉じたまま、小さくうなずき。
「セラフィーナ様も、おおよそは想像がお付きかと思いますが、わたくしには、少し年の離れた兄がおりました。」
ゆっくりと、話を始める。
この国には、フィルメリアには6年前まで、次期国王として皆の期待を負っていた、一人の男。第一王子がいた。
性格は若いころの父に似て豪快な面があり。
だが母親譲りの繊細な面もあって。
現国王クラード・アル・フィルメリアがかつて騎士団長を務めたように、その息子も騎士となることを目指し、日々鍛錬し、己を磨き。
最初はクラードが直々に剣を教え、その血はしっかりと受け継がれていたのかメキメキと才覚を表し。
父が国王の座についてからは、その片腕として騎士団を纏め、国王の次に騎士団長となった男。
アルヴィンス・クレーディアに、剣を習った。
アルヴィンス・クレーディア。
元孤児であり、クラードがその才覚を見出し騎士団にスカウトして、頭角を現すと瞬く間に数多くの武勲を上げて、騎士団随一の剣の使い手となった男である。
地頭の良さから、騎士団に入ってからは知識や技術、礼儀等もしっかりと身につけて。
数々の功績を認められ、クラードが国王となった際、騎士団を任せるとともに身分による難癖をつけられぬよう、国内最高位であるクレーディア家の養子として籍も授けた。
つまり、セティスの義兄である。
その男に師事した第一王子は、クレーディア家にもよく顔を出すようになり、そこで男勝りの少女に出会う。
その少女に兄弟はおらず、義兄はクレーディアの跡取りにはなれない為、次期領主が確定しており。
凛とした雰囲気の勝気なその少女は、女領主と舐められたくは無いと剣の道を志し、義兄に剣を習っていたため、必然的に第一王子と共に鍛錬することとなり。
真っすぐでひたむきなその少女に王子は惹かれ、少女もまた剣の道を志す自分を理解してくれる、豪快な性格の王子に惹かれていき。
貴族主義は形だけだったが、それでも現国王が平民を妻としたことに比べられ、次期国王の王妃に侯爵家の令嬢は家格的にも申し分は無く、各位はその二人の関係を受け入れ。
みなに認められた形で、二人は婚約関係となる。
二人の関係が進むにつれ、その少女は第一王子の妹、既にとてつもない魔法の才格があるとされていた、まだ幼い少女と出会い。姉様ねえさまと、慕われるようになる。
皆に祝福され、順風満帆な道を歩む王子は、この先も皆に期待され、成長し続けたが。
ある時、彼の所属する騎士団の隊が毎度の討伐任務に訪れた辺境の村で、疫病が発生した。
討伐任務を無事完了後、彼は騎士として、王族としてその村の苦境を放っておくことなどできず、苦しむ民の為現地で懸命の救護活動を続けて。
自身も感染してしまう。
王宮魔術師の中でも回復、治療が得意な者も派遣され、疫病の撲滅に全力で取り組んだが、事は改善せず。
疫病の被害は広がり、村から徐々に王国全土に広がり始めて、国難となりかけた時。
皆の反対を押し切って現地に向かい、大切な兄の為に、人々のためにその魔法の才を全力で注いだ少女は。
何度もなんども試し、織り成し、失敗をしても、分からなくても決して諦めることなく。
何日もの間、新たな魔法を紡ぎ続けて、病に打ち勝つ、疫病そのものを撲滅するという前代未聞の魔法を紡ぎ出す。
少女の心からの願いが、ひとつの奇跡の魔法を織りなして多くの人々を救い、疫病を撲滅させた時。
しかし少女の兄は。すでにその息を引き取っていた。
「わたくしは兄様を。姉様の大切な人を。
救う事が、出来ませんでした。」
目を伏せて語るアセリア姫。
下を向き、何かに耐えているようなセティス。
「申し訳ございません。
確かに多少の察しはついておりましたが。
直接、どのような事があったか。
どのようなきっかけで、あの魔力を掴んだのか。
それを聞かずして、事の真相を掴むことは。
決して、できません。」
頭を下げて。
「つらいことをお聞きしましたが、それでも。
このお話を聞くことは、とても大切な事でした。
ありがとうございます。」
二人に礼を述べるセラフィーナ。
少し、時間を置き。静かに。そっと。
次期国王を、疫病で亡くしたという事実。
その疫病が蔓延り、国難となりかけたところを。
自身の大切なものを失っても、決して諦めずに。
願いを紡ぎ続け、それを撲滅した。
その時はまだ幼かった、一人の少女。
セラフィーナはその事実の中で。
きっかけについては間違いなくこの出来事で。
ただ、話の中に気になることがある。
あの魔力に目覚めていなければ、おそらく。
この国は、消されていただろう。
セラフィーナには、そんな話に聞こえて。
「アセリア様。その疫病を撲滅したという術式。
わたくしに見せて頂くことはできますでしょうか?」
静かな時を挟み、唐突に。
「術式、ですか。
はい。次に疫病が流行っても即対処できるように。
名を付けて、覚えておりますので。」
その言葉と共に掌を上に向け、
「治癒の蓮花です。」
言葉と共に、アセリア姫の掌に、術式が浮かぶ。
その術式を読み解き、少し触って、確認して。
「この魔法。この術式。
もとは神聖魔法を中心として織り成して。
この力は最初は増幅に使われていましたね。
それを、この力を中心に組み替えて。
一重では足りなくて、三重にしたのですね。」
「ど、どうしてわかるのですか?」
また、驚かされる。その時に自分が繰り返し織り成し、少しずつ改変して、改良して、今の形に至ったその術式。
それを、完成した術式をまさか一目見ただけで。
その工程の要所まで見抜かれるなんて。
だがセラフィーナからは、その答ではなく。
「アセリア様にはその時、その疫病が。
いえ、その時に限らず、貴女が治療した病気は。
貴女にしか癒せなかったものは。
貴女には実体に重なった、魔術の式として。
魔法として、視えていますね。」
「あ...」
今までほとんど話したことが無い。
秘密というわけではないが、自分の特異性。
知っているものは身近な者だけの。
王国の至宝となるに至った、ひとつの礎。
それまで、理解されている。
アセリア姫の目は確かに。
シェルン程ではないが、殆どの魔法の、魔力の流れが論理的な模様に。魔法の術式に近いものに視えていて。
「そうでなければ、この術式は編めません。
やみくもに編み込んでも、決してこうはならない。
その疫病。いえ、その魔法を撃ち消すこの術式は。
神聖魔法では決して作れませんから。」
「魔法、ですか?
今、セラフィーナ様は疫病を魔法と。
そう仰ったのですか!?」
「ばかな!魔法という事は。それでは!
彼は、レナードは。
殺されたという、ことに。」
今まで下を向いて話を聞いていたセティスが。
最愛の人の死因が、疫病と考えていたのに。
魔法ということは。人為的という事で。
立ち上がり、その事実を否定しようとして。
「先ほどのお話を聞いていて、気になった点があります。
お兄様、第一王子さまは、魔獣討伐で訪れた村。
そこで疫病になられたのですね。」
「はい。その通りです。」
先ほど話をした通りであり。
「その村で、魔獣の被害はありましたか?」
魔獣被害があったから、討伐任務になったわけで。
「そのために、騎士団が派遣されましたので。」
だが、この質問の意図を考えると、何か良からぬ話に繋がりそうで、少し、震えて。
「つまり、魔獣は村に来ていた。と。
討伐任務に参加された方がみえたら、お話ができると良いのですが、魔獣には魔法が使えます。そして。」
二人の顔を見て。
アセリア姫と、セティスの。
つらそうな、悔しそうな顔を見て。
「今は殆どの方が知らない事ですが。
人を襲い、殺し、さらに魔法も使う獣、魔獣。
あれらは元々野生の害獣などではなく。」
それを語るセラフィーナに、いつもの微笑は無く。
「アレは元々、人を殺すためだけに作られた。
人が創り出した、殺人のための。
兵器です。」
もうちょこっとヒネりのある設定でもいいのかなぁと最初は思っていたのだけれど。
なんかあんまりこねくり回しても自分の技量では意味不明になりそうなので、王道というかわかりやすいというか。
姉妹である理由も、魔法が使えるようになった理由も、単純な理由です。
読んでいて理解できなさすぎるものを書いても、意味が無いと思うのです。
イマデモ(´・oo・`;)イミガワカラナイプヒ




