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3-18:夜空に咲く花

とても難産でした。

書きたい光景が頭に浮かんでも、それを上手く伝えられている気がしないです(´・oo・`;)ピィ..





「それでは、わたくしを狙って頂いて構いませんわ。

 さあ、見せてください。」


 アセリア姫の魔法を見たいという事で。

 でもあまり目立つとよくないので、岬から昨日滞在していた無人島に移動して。


 その上空に二人で浮き、セラフィーナは無手で、アセリア姫は漆黒の長杖を構えて。



 アセリア姫は、自身の武器である長杖は基本的に、常にすぐ手に届く身近な場所に置いておく。


 ミリエラのおうちで会議に参加していた時も、無意識下でその魔力を魔石に籠め続けており、昨日シェルンとの戦いで消費した魔力を、今は少しずつ回復させている。



「はい。それでは参りますっ!春紫苑の輪舞(アスター・ロンド)!」


 アセリア姫の言葉と共に、シェルンと相対していた時と同じように。

 48の魔法陣が姫の周囲に浮かび上がり、そこから小さな星の花が、連続して解き放たれていき、それぞれが同調した小さな星花は、白い尾を引いて、放物線を描いてセラフィーナに殺到し。



「なるほど。これはシェルンがおすすめするわけですわ。

 とても美しくて、魔力の調和も綺麗に整って。」


 ひとつひとつの星花が綺麗な曲線を夜空に描き、キラキラと輝きながら自分にぶつかりそうになるが。



「ふふ。この速度でしたら。」


 星花が間近に迫り、セラフィーナも飛翔を始める。


 その速度は、星花に合わせて引き離さないが追いつかれない程度に抑えられてはいるが、それでも金色を纏っていた一時開放のシェルンより速く。


 長い髪とドレスと翻して、まるでダンスを踊るように、星花を導いて空を翔ける。


(あんなに速いのに。私の春紫苑の輪舞と同じくらいの速さなのに!優雅に舞い踊るように飛べるなんて!

 この術式を使いこなせば、わたくしもあんな風に。)



 覚えたばかりの空間移動術式で同じように宙に浮いてはいるが、今目にしているその動きは、とてもマネが出来そうにない速度で。そして優雅さで。

 攻撃魔法に追われているというのに、空を舞って星花と戯れるように、微笑を浮かべ、楽しむように。



 ひとしきり星花の美しい軌道を楽しみ、若くしてその術式を編み込んだアセリア姫に感嘆して。


「素晴らしいですわアセリア様。

 この魔法を織りなせる貴女の技量、わたくしもしかと拝見いたしましたわ。」


 離れた距離で高速で空を舞っているのに、その声はまるでアセリア姫の隣で話しかけるように聞こえてきて、魔法で届けられた声にまた驚く。



「セラフィーナ様!?もしかして、わたくしの声も?」


「はい。聞こえておりますわ。普通の声でお話しいただいて大丈夫ですわよ。」


 この世界に通信はないが。

 セラフィーナは視認できる距離までなら、魔法で声を伝えられる程度には伝達手段を作り上げていた。


 遠距離通信はまだできず、というかシェルンとの念話ができてしまうので、あまり必要性は感じておらず。

 必要性を感じてないので、考え、織り成すまでは至らないのは、普通に人としての有り様である。


「ではアセリア様。素敵な魔法を見せて頂きましたお礼としまして、少しわたくしの魔法もお見せしますね。

 もちろん後程術式もお見せしますわ。」


 楽しそうに、嬉しそうにそう言って。


 数多の星花に追われ、踊っているお姫様は。

 若くしてソレを織りなした、ソレを実戦の最中に織り成したという、自分達の、クリスティアラの血を引く少女に。


 セラフィーナが好きな、ひとつの魔法の使い方を。



 舞い踊るように飛翔するセラフィーナの周囲に、小さなキラキラとした光が数多舞い散り、拡散して。

 その光は、セラフィーナからある程度の距離まで離れた所で静止すると、一瞬、輝きを増し。


 舞い踊る姫を追いかける星花に向け、一斉に細い、純白の光を放つ。


「えっ?」


 その光は、ホーリーレイのように光の帯が飛んでいく、というものではなく、一条の細い光がそのキラキラと星花を、それぞれ光の線で結んだように輝き。


 文字通り、光の速さで目標に着弾する、レーザーのような細い光線。


 セラフィーナの動きに追従して、それぞれが大きく位置をずらしていた星花に向かい、数多の、星花と同じだけの光の直線が空に瞬時に広がって。


 一瞬だった。


 シェルンは星花の着弾をずらし、ひとつずつ対処してみせた。それだけでも信じられない程の技量だったが。


 セラフィーナは自分に向けられた数多の小さな星花を、すべて同時に、一瞬で撃ち落とした。


 アセリア姫が誇る広域攻撃魔法、ホーリーレイでも、あれだけ散らばった星花全てを、一撃でカバーすることはできないし、そもそも速すぎて通常の魔法では追いきれない。


 それだけ春紫苑の輪舞の追尾速度は高速で、一次開放したシェルンですら、複雑な軌道を描いて追いつかれないように飛んでいたのに。


 その全ての位置を把握し、ピンポイントで撃ち抜くような攻撃を、同時に全てに当てる。


 その超絶技量にも当然驚くが、それ以上に。



 何よりその瞬間、細い光の直線は、まるで大きな春紫苑の花に見える形を。美しい光の絵を、夜空に描いて。



 セラフィーナは、その小さなひとつひとつの星が花になっているという事を見極めて。

 名前の通り、星花の輪舞という事を理解して。

 それを分かっていますよと、自分の魔法で伝えて。



 たった一度の魔法の攻防。それだけで、自分が想像も及ばないものを、世界を見せて頂けた。


 セラフィーナのその凄さは。

 本人の持つ魔法使いとしての素質。素養。

 無限の時に裏打ちされた鍛錬。技術。圧倒的な魔力量。


 そういったものとは、全く違っていた。

 もちろんそういったものを持ってはいるが。


 アセリア姫が感じたセラフィーナという人物は、魔法をただの道具、ただの力として扱うのではなく。


 その想いを託して、心を籠めて、形にする。


(魔法そのものも、愛している人なんだ。)




 美しい光の輪舞と、一瞬だけ映し出された儚い光の花が消え、二人はゆっくりと、無人島に降り立つ。


春紫苑の輪舞(アスター・ロンド)。とても美しい奇跡を描く、綺麗な魔法でしたわ。

 素敵なものを見せて頂き、ありがとうございます。」


 率直な感想。思っていた通りセラフィーナはこの魔法を気に入ったようで。


「わたくしも魔法を織りなすときには、参考にさせて頂きますわ。それと、先ほどの。」


 そう言って、アセリア姫の前でひとつの術式を展開、可視化して見せる。


「これが、先ほどの光の魔法なのですね。

 お名前は何と言いますの?」


 何の意図もなく、ただただ名前が知りたかったのだが。


「えっと、そうですね。ええと。」


「セラフィーナ様?」


 名前を聞いたら、なんか突然悩みだした。もしかして。


「魔法に名前、付けられないのですか?」


 そういえば、セラフィーナと魔法のお話をしているときにその魔法の名前を聞いたことが無いなぁと思いつつ。


 お城のリフォームでは「魔力自動収集、充填術式」なんてそのまんま術式の機能を言っていたし。


「その。お名前を考えても、忘れてしまいそうで。」


「はい?」


 首をかしげるアセリア姫。


「わたくし、魔法を使うときはわたくしの中にある術式に魔力を通すか、その場で織り成すだけでして。

 名前を付けても、どれがどれだかわからなくて。」


「それは、術式と名前が一致しないのでしょうか?」


「一致しないと言いますが、多すぎまして。」


 セラフィーナは自分のその長い人生で、即興で魔法を編み込み、必要に応じて織り成し、とやってきたため、とても数えられるような数では無い術式を持っている。


「魔法を織りなし始めてから1800年以上、おそらくわたくしの中には十万以上の術式がある気がしますわ。」


「じゅ、じゅうまん!??」


 確かにそんなにあったら、ひとつひとつの名前なんてとても覚えられない。主要な物だけ覚えるのが限界だ。


「ですのでもう、お眠りの魔法、とか、その効果をそのまま呼んでる事が多いですわね。」


「そ、そうなのですね。そうしますとこの魔法は、効果としてはどういったものなのでしょう?」


 他と同じように、その効果を名前とすればよいのでは?

 アセリア姫の疑問は、次の言葉で氷解する。


「そうしますと、神聖水晶を生成、配置して、魔力を吸収してから凝縮して解き放つ魔法、になりますわね。」


(すごく長いです!)


 どうやら一つの術式で行う工程が多いと、お名前も長くなってしまうようだった。工夫はしないのか?


 こうして新しい魔法、術式をアセリア姫に伝授して。

 本来は白銀のクリスタルを使うのだが、アレはセラ様専用の特殊な魔力なので。

 あれだけはクリスティアラの血を引いていても、絶対に使えない。セラフィーナも元々は使えなかった。


 なので神聖魔法単一属性にアレンジして、今のアセリア姫でも十分利用可能な形にして。


 それにしてもだんだん、昨日までミリエラが体験していた色々を、アセリア姫が体験するようになってきたような?


 色々。つまりポンコツ成分を。



「ところで、さきほどの魔法を見て、ちょっとイイコトを思いついてしまいましたの。城に戻って、シェルンも交えてお話しましょう。」



 あすたーろんどを見て。

 なんかセラフィーナが思いついたらしい。



―― お城に戻ると。


「セラフィーナ様、アセリア様、お邪魔してます。」


 なぜか騎士団長がおうちにいた。


「セティス様?こんな時間にどうされたのですか?」


 たぶん一番聞いてはいけないアセリア姫が聞き。


「アセリア様。いや。アセリア。

 自分の胸に手を当てて、よく考えなさい。」


 なぜか二人きりの時の姉モードである。


「え、えっと。そう言われましても。

 わたくし何か、してしまいましたでしょうか?」


 気付いていないらしい。いや、ここにはセラフィーナがいるから気付かないのかもしれない。


「はぁ。こまったお姫様だ。

 状況の確認にシェフィールド邸に伺ったら、一人でこちらに飛び立ったと聞いて来たんだよ。皆心配していたぞ。


 私はアセリアの近衛だ。国として保証できる場所でない限り、護衛を付けるのは当たり前だろう。」


 その言葉を聞き、ようやく「あっ!」という顔をしたアセリア姫。確かに国として、王女を一人で国の管轄外の者に会いに行かせるなど、常識としてありえない。


「す、すみません姉様。セラフィーナ様とのお約束を反故にするなど、わたくしにはできなくて。」


 しおらしくなった姫君に、セティスもそこは納得して。


「ああ、分かっている。だから私が来た。

 心配している皆を安心させるためにもな。」


 もっとも、シェフィールド邸からセティスも飛び立ったので、安心させてはいるが再び驚愕させてもいる。


「こんな状況ですので、すみませんセラフィーナ様。

 連日で申し訳ないのですが、今日もこちらに我々をお泊め頂けないでしょうか。」


 こうしてセティスも、メルヘン城に泊まることとなり。





 当然、こうなった。


「こんな感じで、アセリア様の改造あすたーろんどを、シェフィールドの皆様に披露する、ということですの。」


 アセリア姫に見せてもらって思いついたことを、この場に集う三人、アセリア姫、セティス、シェルンに伝える。



 この場。




 ―― カポーン...



 もちろん、リフォームしたての大浴場(ご婦人)である。

 四人は大浴場の洗い場で今日の汚れを落とし。


 今はその広大な湯船に入り、ほっこり暖まりながらセラフィーナの提案を聞いている。


 アセリア姫とセティスがお泊りと決まった瞬間、セラフィーナは昨日の大失敗を思い出し。

 大急ぎで湯船にお湯を張り、たくさんの花びらを舞い散らせて、洗い場もお湯が出るように準備して。



「なるほど。それなら領の皆様が持っている不安や今までの領政に関する不満も一気に払拭できますね。

 それに表向きはアセリアの力ということになる。」


「ええ。わたくしが直接行使してしまうと、どうしても表舞台に出ざるを得なくなりますし。

 ゆくゆくはアセリア様お一人でもできるようになると思いますが、今はわたくしが手助けするという事で。」


「はい。セラフィーナ様の魔法をこの身で体験しながら自分のモノとして行使できるこのチャンス。

 しかもシェフィールドの皆様にミリエラさんの想いを直接お届けできるとあれば、間違いなく最高の案ですわ。」



 シェフィールドを元に戻す為の大胆な作戦に、一人を除く三人は大賛成をして。



「セラ様の提案だから、成功は間違いないですが。

 絶対どこかに、穴がありますよね。」


 書簡の時の失敗というか、穴だらけという言葉に、今回の作戦にも一人不安を抱える侍女だった。



 こうして、女子四人の大浴場トークは続き、気が付けば明日の作戦のお話はとっくに終わり、お肌がきれいだの髪がつやつやだの、なんかキャッキャウフフな世界になって。




 つくづく昨日、レイノルドもお泊りした日がこうじゃなくてよかったと。残念ながら、そう思うものはいなかった。





―― 翌日。お昼にお知らせした夜。のちょっと前。


「領主様に取り次いでもらいたいのだが。」


 領主邸の正門前。一人の青年が守衛に声をかける。

 今まではこの時点で門前払い。

 それどころかその状態が一年続いた後は、ここを訪れることすらなくなっていた。


「えっと、お客様のお名前をお願いします。」


 今までと違う守衛は、今までとは違う丁寧な対応をしてくれた。本当に、元に戻るのか?


 名を告げると「少々お待ちください。」と言われ、守衛が詰所にいたもう一人と交代して、領主邸へ向かい。



 ほどなくして、守衛と一緒に一人の少女が。

 今日、なぜか空を飛んでいたと聞いた、懐かしい面影をもつ、美しく成長した少女が慌てて走ってきて。


「マーセル!ごめんなさい!ごめんなさいっ!」


 幼馴染との再会を、泣きながら、謝りながら。



 応接室に通され、ミリエラと共に少し待ち。

 レアニールがお茶を淹れて。


 比較的すぐに、グライスは応接室にやってきた。


「グライス...様。」


「マーセル、久しぶりだな。

 今まで、すまなかった。」


 会って早々、領主が平民の青年に深々と頭を下げる。

 今までのシェフィールドでは考えられない。


 応接室で、三人で話を進める。


「きっと、言葉だけでは信じられないかもしれない。

 だが、このシェフィールドは昨日まで、他国の。フィルメリアを侵略しようとする国の攻撃で、皆の思考を誘導する悪辣な魔法を仕掛けられていた。」


 そんな魔法の存在は知らないが、確かに昨日の夜まで、不思議と考えが悪い方へ向かっていた気がする。


 言われてみれば、誰も処刑されていないのに、領を出ようとして処刑された者がいると思っていた。


 領内の者や、領主の悪行を知っていると言って近づいてきた協力者しか、信じる事が出来ない気分になっていた。



「協力者とは、どんな方だったのですか?」


「名前は偽名だと思うが、フォーシェと名乗っていた。

 赤い髪で、なんというか危険な感じの女だったな。」


(赤い髪!?危険な感じの女!?)


「シェリーヌ、ですね。」


「ああ。おそらくな。いやそうなると、大丈夫なのか?」


 シェリーヌがレジスタンスの協力者となると、やはり一番気になるのはあの魔法だ。


「ねえマーセル。シェ、そのフォーシェって人と、二人きりになったりしたことは無いの?」


「いや、ない。あの女は皆が纏まって会議みたいなことをする時しか来なかった。

 だが、グライス様の考えや領政についての情報は、あの女が集めて皆に報告していたな。

 なんでも領主邸に出入りしていると言っていた。」


 やはりシェリーヌのようだ。


「あの女に心当たりがあるのか?、いや、出入りしていたとなると、グライス様もミリエラも知っているのか?」


 疑問に思うマーセルに、今まで起きたことを話し。

 いにしえの邪法など当然知りもしないし、人を操る魔法もミリエラ同様チャームぐらいしか知らない。


 だが、今のグライスは、悪政で民を苦しめている人物には見えず、自分のよく知っている、話をしていたころの領主にしか見えない。


「とても信じられないような話だが、それを言えば今日、アセリア様とミリエラが空を飛んでいたなんて信じられない話を皆しているし。アレはホントなのか?」


 これはミリエラに問う。


「う、うん。あのね。色々あってね。アセリア様が、空を飛ぶ魔法を使えるようになって。」


 あのお姫様は、本当に女神様なんじゃなかろうか?

 少し変な考えが浮かぶマーセルであった。


 その後さらに話を進め。グライスはミリエラに任せて先に退室し、レアニールを付けて三人で。


「わかった。今夜は俺もその発表に参加して、信じるに値すれば俺からもレジスタンス解散を伝える。

 ちゃんと信じられるような発表をしてくれよ。」


「それは任せて!私も色々強くなったんだよ。」


 力強く、芯の通った面持ちで言うミリエラに、マーセルも幼馴染を信じ、今夜を待つことにして。




―― 夜。領都シェフィールド中央広場。



「皆様、お待たせしました!今夜はお集まりいただきありがとうございますっ!」


 ミリエラが、昼同様、魔法でよく通る声で話し始める。


 隣に控えるはこの国の王女。何をお披露目するのか。


「今まで、本当に大変な思いをさせました。

 私達が謝ったところで、あなた方の不安も、不満も、決して無くなりはしない。それは分かっています。」


 思考誘導で作り上げられた偽物の不安、不満、領主への敵意。それらはまだ、心の中に残っている。分かっている。



「だから今日は、語るのではなく、想いを届けます!

 アセリア様のお力をお借りして。

 皆様に、お伝えします!」


 そう言って。皆の前で、姫の手を握り。


「お願いします。」


 一言、告げて。


「それでは参りますわ。

 皆様にお約束しました、素敵なものに、ミリエラさんのお気持ちを託して、お見せします。」


 ミリエラとつないだ手とは反対、右手で長杖を掲げ。


白菖蒲の舞(アイリス・ダンス)


 静かに、言葉を紡ぐ。


 セラフィーナに提案された、春紫苑の輪舞(アスター・ロンド)をもとに紡がれた、新たな魔法。


 想いを載せる白い花に、手をつないだミリエラの想いを乗せて。心を籠めて。


 春紫苑の輪舞より大きな、ホワイトアイリスを模した花の魔法が、キラキラと光の粒子を振りまいて空に上がり。


 アセリア姫が打ち上げた花は一輪。

 それが上空で、重なるように、どんどん数を増して。


 増えた花はそれぞれが尾を引き、遠くに星々が煌めく夜空を背景に、キラキラと粒子を振りまいて、それぞれが別々の方向へと流れ飛ぶ。

 その粒子は、透き通った金色こんじき


 それを見上げる人々に、美しい光の祭典を魅せ。


 大空に舞う花々から舞い散る光の粒子は、優しく人々に降り注ぎ、安らぎと癒しを齎して、受け取った人々に、ミリエラの想いを直接心に伝える。



 それはミリエラとアセリア姫の後ろで、姿を隠蔽して魔法を行使するセラフィーナの所業。


 二人の肩に手を添え、ミリエラの想いをアセリア姫に届けて、魔法をアシストして。一緒に行使して。


 ミリエラの想いを届けると同時に、人々に、この街に仕掛けられた魔法の正体と、それが消されたことを、事実として伝えていく。



『この街は今まで、人々を惑わし、敵意を生み出す魔法の攻撃を受けていました。


 それに気づいたミリエラさんの願いを聞いて、わたくし達がその悪しき魔法を打破しました。


 領主様には悪意ある魔法がかけられていましたが、わたくし達が助けました。魔法を解きました。


 皆様に悪夢の日々を齎した、悪意ある魔法はすべて、わたくし達が打ち払いました。


 もう大丈夫。皆様を攻撃する悪しき魔法は、策謀は、すべて無くなりました。消えました。』



 為した者は違えど、事実をひとつひとつ、人々を想うミリエラの心と共に、領民全てに伝えていく。


 変に取り繕うことはしない。

 ありのままの事実を、見たものの目から、見えなかった者たちに、伝えるだけ。

 優しい想いと共に、知ってもらうだけ。



 空を舞う花々は、花火などない世界では体験したことのない感動的な光景を創り出し。


 その光景を目にしながら、真実とミリエラの優しい想いを直接心に届けられ、それを疑う者などおらず。


 純真な心だからこそ、その想いは受け入れられて。


 光の舞が終わったとき、人々の心には明確に、この領を蝕んでいたものが全部打ち払われたと理解して。


 広域魔法陣で作られた仮初の悪意は。


 本物の、優しい想いに溶け消えて。



 シェフィールドを包んだ悪夢は、この瞬間に消え去り、希望ある未来へ皆、歩み始めることとなる。






 もちろん、しばらくの間経済面は補助します!

 住む家がない方は、ちゃんと家を用意します!

 しばらくの間は税金なんて取りません!取り過ぎたし。




 現実的な、生活の保護も全面的に打ち出して。





こう、美しい光景を眺めながら、人々の心にすっと真実が入る魔法、みたいなのを思い描いてても、それを表現するのはとても難しいです。


こういうことしてると、本職さんってすごいなぁと思います。

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