3-6:決着と黒幕と
シェルンさんもなんだかんだでセラ様と同じ性格ですね…
年を取ると?若い子の成長が嬉しいのかもしれません?
シェ「誰が年寄りですかー!」
落下する状況の中、アセリア姫は集中し、新たな術式を編み込み…
「春紫苑の輪舞!」
その口から、自分のイメージそのままに、力持つ言葉を解き放つ。
同時に新たな純白の魔法陣が、円周状に浮かび上がる。その数…48。
通常、戦闘時に一人が展開する魔法陣…つまり同時に解き放つ魔法は、多くても精々16個である。
シェリーヌはカーズスネークとフレアバーストで、合計13個の魔法を同時に放ったが…あの時蛇は12匹だったが…それは一般的には、フレアバーストが単一でかなりの練度を必要とするためであり、彼女はそれなりの使い手である。
今の所出番はないが…フィルメリアの誇る王宮魔術師の筆頭でも、20個が限界であり…。
若くして王宮魔術師すら遠く及ばない…そこまで上り詰めた王国の至宝は、文字通り、圧倒的な魔法使いとしてのポテンシャルを秘めていて…
今まさに、セティスと二人、全力で行ってきた修行以外で初めて、その持てる力を全開放し…さらに成長しながら戦っている。
アセリア姫の展開したそれぞれの魔法陣からは、自身と、自身を抱くセティスを避けるように迂回し、少女だけを狙う光の軌跡…多数の細い花弁を纏ったような、白く可愛らしい星の花が、連続して放たれる!
キラキラと光の粒子を振りまき、美しい放物線を描き、流星のようにシェルンの全周から降り注ぐそれは…
先ほどまでと違い、純白のみ…姫が最も得意とする神聖魔法の単一属性で。
ただ、その密度…魔力の組成が、今までと違う。
(これは…小さいですが、物質化してますね。
あの力は使わず…私の纏う魔力の特性も…ちゃんと理解されて…)
あの魔力で増幅、強化されているような魔法であれば。
それは優しく、諭すだけで済む。
あれはもともと、攻撃のための魔力ではないのだから…
そして物質化されていなければ…魔法だけの攻撃なら、
護りの術式を使えば。柔らかく溶かすこともできる…
上空から解き放たれた魔法は…純白に輝く美しい流星の花は…
回避行動を取って走り続けても、輝く尾を引き、的確にシェルンを追尾する。
「自動追尾…素晴らしい精度と速度です!」
姫の力量を認め、称賛し、だがそれでも、直撃を受けてやるつもりもなく。
…トン。
「アセリア…無事か?」
「はい!姉様、ありがとうございますっ!」
二人が無事着地したのを見届けると。
「セティス様。先ほどの術式ですが…
このように使えることも、お伝えしておきます。」
言って、地より飛び。
それを見て、聞いて。
抱いていたアセリア姫をそっと地におろすと、星花の魔法に合わせ、セティスも跳躍して追撃を…しようとして、即踏みとどまった。
「ばかな…そんな…」
「すごい…」
今日何度目か分からない、驚愕を味わうセティス。
その隣に留まるアセリア姫も、ありえないその状況に思わず目を見開く。
シェルンは跳んだのではなく…同時に多数の星が殺到する、姫の魔法を回避するため、文字通り空を飛んでいて…
目まぐるしく複雑な軌跡をえがき、くるくると回りながら飛行するシェルン。
その身を包む、透き通った黄金の光が、月に照らされ夜空を乱舞し…
そのあとを様々な方向から、白く輝く星々が同じく複雑な軌跡を辿って、シェルンの意図通り、着弾までの距離をずらしながら、なおも追尾していく。
その様は、まさに姫が解き放った、春紫苑…星の花の輪舞…
夜空に奏でる、美しい光景は、セティスも、そしてその魔法を解き放ったアセリア姫をも魅了する、一夜限りの光の舞。
48の魔法陣から、それぞれ8発放たれた流星…
384もの数のそれを、複雑な軌道で着弾タイミングをずらし。
手にしたダガーで片っ端から叩き落していく…美しく…そしてありえない動きを魅せるシェルンに。
二人はただただ、その光景を…地上から見守る事しかできない。
あまりに美しい光景に、姫は他の魔法で地上から攻撃できることも忘れ。
セティスもまた、長い尾を引き飛び交う星々に心奪われ…
いくらセティスが魔力反動で空を飛べるとはいえ…あそこまで複雑な動きを、あれほど高速に行う事は出来ない。
なにより、あんな挙動をすれば、すぐに魔力は底をつく…
先ほど教わったばかりの無限移動術式…あれを使うと言われたが…その複雑な動き以上に、その魔法で空を翔けるイメージがまだ分からない。
アセリア姫は…まだその術式を知らず。
ただ、セティスの剣にあしらった魔石に籠めている、世界との一体化…その片鱗だけは掴んでいて。
おそらく、先ほどの術式を姫に見せれば、セティスより先に…いや、親愛なる姉を導き、二人で…
そこに、世界を…空間を、自由に駆け巡る。
そんな世界に、辿り着ける…
程なくして、384個もの星を、ひとつ残らず叩き落したシェルンは、何事もなかったかのように二人の前に舞い降り…その顔には微笑が浮かび。
「とても素敵な魔法でした。セラ様…セラフィーナ様も…
今の魔法は気に入って下さると、そう思います。」
まるで…自らに向けられた攻撃と思っておらず…
光の乱舞に魅せられた二人に対し、アセリア姫への素直な称賛を伝える。
「それで…私としては、もとより戦う意思はございません。
セティス様の立場では、あの状況は看過できない事、理解できますが。
できれば、ここまででご容赦いただきたく…
それと、ひとつ…」
少し近づくシェルンに対し、姫の隣で剣を構えるセティス。
だがすでに…美しい光の乱舞に毒気を抜かれ…
目の前の少女との力量差を痛感させられて。さらに。
「お二人なら…きっと私を超える高みにたどり着けるかと。
ですので、少しだけ…
…もうひとつ上の世界を、お見せします。」
静かに、そう言われて。
「え…?上の世界、ですか?」
「もうひとつ…上だと?」
シェルンが既に開放状態から参戦した姫にはわからないが。
…セティスにはわかる、その意味…
この少女はあの瞬間、ひとつ上…今の自分では、決して届かない世界へと至り…その世界で、自分とアセリア姫の二人がかりを…
王国で、既に並びたつ者はおろか、近づける者すらいない。
そんな二人を、遥かに上回ってみせたのに。
更にその…もうひとつ上を、見せるという。
一体…何の冗談…いや…
セティスもすでに、目の前の少女を信じていて。
「あの…もうひとつ上とは、どのようなものなのでしょう?」
シェルンの優しく諭す…気遣いすら見せる対応を真っすぐ受け入れ。
自らに魔法を、術式を。手ほどきしてくれた…高みにいるその人を。
疑うこともなく、アセリア姫はそのまま疑問を口にして、
「少しだけ、構えていてください。
…セティス様、アセリア様を。」
そんな風に言われ、アセリア姫を護るよう、前に位置を取り。
少女がいまから何をするかを見守り…
「…二次解放…」
また、シェルンが小さく呟き。
ふわりと…優しい風が舞い…
光が満ちて…周囲一帯に金色の粒子が溢れ。
「こ…こんな…」
「うそ…ですよね…」
相対する、姫と騎士は…その世界に感嘆し…驚愕し。
そして…理解する。
自分たちが触れ始めたあの魔力は…
未熟な今でさえ、その魔力を頼れば。
強い力と、未知の力と。癒し、護りを与えてくれるそれは。
見たことも、感じたこともないのに…それでも知っている。
優しさと、慈しみに…溢れていて・・・
「お気づきの通りです。この力は。
決して、相手を打ち倒すための力ではなく…」
お分かりですね…と、表情で問いかけるシェルンに。
「…。」
無言で頷くセティスと。
「はい…はいっ!」
強く、つよく、この力を、大切なものを理解し。
また一つ、前に進むアセリア姫。
この力は…何かを護る気持ち。助ける気持ち…
救いたいと願う心を…世界に託して使う。
……そんな、優しい力で。
「お二人には…私たちはこれ以上戦う必要は無いと…
ご理解いただけたと、私は思っています。」
優しさに満ちた世界に触れさせ。
気が付けば、微笑を浮かべ、
傍まで寄ってきたシェルンが二人へ提案する。
そのまま、そっと手をかざし。
「あっ?」「またっ!?」
姫には最初の、セティスには二度目の…癒しの力。
特に名はつけていない…セラフィーナに言わせれば、そのままの。
『慈しみの魔法』
戦場にあっては使う類ではない、暖かく、包み込むような。
安らぎを与え、幸せを与え…傷をいやし、疲れを癒し。
そんな…本当に優しいだけの、それだけの魔法。
「こんなに…暖かくて…優しくて。
ありがとうございます。」
自らに施された回復魔法に、素直に礼を言う姫と。
「ああ。これだ…この感覚だ。先のものと同じ…
魔力とは、こうも優しいものなのだな。」
戦いに身を置くものとして、認識を変えざるを得ないセティス。
そんな二人を癒したシェルンは、その力は既に抑えて。納めて。
「願わくば…あとは対話とさせていただきたいのですが。」
ここまで戦って…いや、戦いという形で、二人に高みを魅せ、導いて。
二人に改めて戦闘の中断を申し出る。
途中から二人を導くことが楽しくなって。
どんどん成長する二人を見ることが、幸せになって。
調子に乗っていたなんて言えないし。
むしろそれがセラ様にばれたら…
…拗ねるだけでは済まないかもしれない。
セラフィーナはシェルン以上に、自らの為ではなく、
大切なものを護る為、救うために。
…ひたむきに努力する素直な者たちが。
そんな姿を見ることが、とても、とても好きだから…
シェルンの申し出を受け、二人は…
二人の全力機動、セティスの多重剣舞、そして姫の誇る至高の魔法。
しかも、今この場で織り成した、新たな魔法ですら。
この少女…金色の光を纏い、出会った時とは別人のような少女には、傷ひとつ付けることすらできなかった。
セティスは…王国最強と謳われる騎士としては、苦い思いもあるが。
「姉様…これ以上は。仮に戦いを継続しても、わたくし達が一方的にご指導いただくだけです。ここはお話を聞くべきかと思います。」
既にこの戦いを、自らを高めてくれるものと認識していたアセリア姫は、シェルンの申し出にも素直に応じる。
向上心旺盛で、素直で、物分かりもよく…とてもいい子である。
仕える姫君の一言で、近衛であるセティスもその剣を下げる。
もちろん分かっている。この少女の不審な動きから、こちらが仕掛けて戦闘になり…結果、確保どころか実力で突き放され。
高い実力を認められ、騎士団長の地位を賜って以来、初めての惨敗。
だが…決して苦いだけではなく、むしろ自分達に新たな段階を、成長できる世界を見せてもらえたことへの、感謝の念も強く。
「貴様が…いや、貴女がとっていたあの不審な行動。
そして今…深夜という時間に、何のためにシェフィールドにいるのか。
そのふたつに納得のいく答えがもらえれば、私もアセリア…
…姫様の意向に従おう。」
今更ながら…戦闘中の、二人きりの時の呼称に気付き、改める。
その言葉に気付き、アセリア姫も「あっ!」と小さく声を上げ…。
その時には、通常の…人懐こい少女状態となったシェルンが…
「えっと…お二人はそういったご関係なんですか?」
なんて…笑顔満面でストレートに聞き。
「そういった…?あの、それはどういう意味でしょう?
セティス様は、お分かりになります?」
たぶん…ミリエラ以上に純真なお姫様には、質問の意図が全く分からず。
「あ…いや…えっとだな…その…とりあえず、この少女は勘違いをしている、という事だけは間違いない!」
不思議そうにセティスに聞くアセリア姫に、何故かあたふたとキョドるセティスの二人を見て…微妙にニヤニヤしていたシェルンだが…
セティスに「少女」と言われ、気付き。
「申し遅れました。私はシェルン。
セティス様がお察しの通り、セラフィーナ様に仕えております。
成り行きとはいえ、アセリア姫様、セティス様に剣を向けましたこと…
ひらに、ご容赦いただきたく。」
丁寧にあいさつし、深々と頭を下げる。
シェルンにとって、本来この二人はセラフィーナが会いたいと願う、大切な方々であり、かつ一国の姫君と近衛…
立場だけで言えば、アセリア姫はセラフィーナと同格である。
先の戦闘は不可抗力とはいえ、基本的に失礼があってはいけない立場だ。
「いや、こちらこそすまない。それは私から仕掛けた事だ。
もちろん、あの時の貴女の行動については説明頂くが…」
一方的に攻撃を仕掛けた側なのは間違いないので、セティスも自身の非は素直に認める。変なところにプライドを持つような狭量さはない。
「シェルン…殿は、セラフィーナの侍女…
やはり関係者だったのだな。」
戦闘中に気付いたとはいえ。確信していたとはいえ。
実際に本人から、そう、言われるまで確定ではない。
一方のシェルンは、最初の怜悧冷徹な表情とも、開放状態の、まるでセラフィーナのような雰囲気とも違う…いつもの元気な少女といった雰囲気で。
「はい。私はセラフィーナ様…セラ様の侍女をしております。
この姿からも侍女という事はお判りになるかと思いますが。」
ニコニコ笑顔ではきはきと応える…メイド服姿の少女。
先ほどまでのこの少女の力は、表情は…何だったのか…
あまりの雰囲気の違いに、セティスは少々混乱するが。
その少女が、少し困ったような、申し訳ないような表情になり。
「え、えっと、それで、セラ様の縁者とお気づき。
ということは、その…ミリエラ様の事は…
そ、それになぜ、お気づきに?」
シェルンにとっては、これが一番不思議でもある。
何故気付いたのか…。
そして、なぜ気付いていて、ミリエラの事を言ってこないのか。
戦闘を中断してくれたとはいえ、元々魔女の関係者だから確保する、と言われて戦ったのだ。
シェルンが圧倒的に有利とわかったためか。
あの魔力…世界について理解してくれた為か。
停戦はしてくれたが…誘拐については、どう考えても責められるはずで…
だが、その態度…なによりミリエラの事を様付けで呼ぶ…そんなシェルンを見て、アセリア姫もセティスも、自分たちの推測の正しさを確信する。
「それです!書簡を頂いたときは本当に心配しましたが…
やはりあれは偽装誘拐…ですよね?」
アセリア姫から、あっさりと看破されていることを告げられ、
「ええ!?な…なんで…?どうしてお分かりに!?」
全力で焦るシェルン。その表情を見るに、この少女は偽装誘拐であることを見抜かれないと、本気でそう思っていたようで…。
「シェルン殿。確かにあの書簡…悪辣なものではあったが。
冷静に見れば穴だらけだったぞ。貴女方はそれに気付かなかったのか?」
若干呆れた感じのセティス。
自身も初見は「斬る!」なんて内心思っていたが、それはそれ。
気付けばあの書簡は、本当に穴だらけで。
しかし、作った側、シェルンの内心はそうでもなく。
…穴だらけ…あんなにいい雰囲気で、囚われのミリエラを演出したのに…穴だらけ…セラフィーナにこの言葉をぶつけたら、どうなるんだろう。
「い、今の一言は、多分セラ様、すごくショックを受けると思います…」
今度はなんだかどよ~んとした表情のシェルン。
戦っていた時の、怜悧冷徹な表情も、見守る母のような表情も、そこには無く…コロコロと表情を変える、年相応に見えるその姿に。
姫君と近衛騎士はお互いを見合わせ…思わず顔を綻ばせる。
「それで、シェルン様。ミリエラさんは無事…
そう考えて、よろしいのですね?」
「はい。それはもちろん。元々は私の主が、シェフィールドで襲われていたミリエラ様をお助けしたのが縁でして。今も丁重に保護しております。
それとアセリア様、私に敬称は不要です。セティス様も。」
侍女が仕える者と同格の姫君に、様付けで呼ばれるのは流石に心苦しい。
アセリア姫は、ミリエラを保護しているという…そのシェルン言葉に、ようやく心から安堵できて…
この方なら…こちらが仕掛けた戦いの場にあっても。
戦いを避けられなくても、常にこちらを気遣い、教え、諭してくれた方…
そして、その方がお仕えする人物であれば…信頼してもいい。
「本来はアセリア様と、セティス様にお会いするのが目的だったのですが…
シェフィールドの問題に気付きましたので、目を向けて頂くため。
失礼を承知で、あえてあのような形で…」
「やはりな…シェフィールド。もっと早くに来るべきだった。
まさかあのような仕掛けが街に施されていようとはな…」
今日この地に来るまで、あの魔法陣については気づいていなかった。
もっとも、アレが敷設されていることに気付けたのはセラフィーナだけであり、発動された状態であっても…
その術式、魔力そのものを読み取れる、シェルンのような眼がなければ、その状況に気付くのはなかなか難しい。
セティスがその状況…思考誘導魔法陣が稼働していることに気付いていた事には驚いたが…まずはそれより。
「はい。先にセティス様がお聞きになった件…私がここにいる理由ですが。
その仕掛け、魔法陣の無効化と…陣を敷設した者たちの無力化。
そのために、今こちらに来ております。」
それの為に自身がココにいる。それを説明する。
「敷設した者たちの無力化…だと?
あなた方は、そこまで把握しているのか!」
驚くセティスに、静かに会話を見守るアセリア姫。
シェルンは二人に、今ここにいるいきさつについて、一通り説明して…
「そうか…あの男、やつらが街にこんな仕掛けを。
既に無力化されてるのはありがたい。回収は手配しておく。」
シェルンがセティスと出会った時の説明を聞き、魔法陣を施した者…レイサード達は、後程セティスの指示で、騎士団員が回収することとして…
「起こすときは、私かセラ様を呼んで下さい。
他の方では、たぶん解除できないと思います…」
お眠りの魔法で文字通り起きない眠りについているので、回収後に起こすのは自分達じゃないと無理である。
さすがにあれは、まだアセリア姫にもセティスにも解除できない…はず。
「それで、これからあの魔法陣を解除する、という事なのですね。
セティス様、これはすぐにでも動いていただいた方が…いえ。
これは本来わたくし達の責務です。おまかせするだけでなく…
シェルン様…あ、いえ…シェルンさん。
わたくし達にもその解除法をお教えいただくわけには?」
時間がない今は、渡りに船の提案をしてくれるアセリア姫。
「はい。もちろんです。お願いします!」
早速解除のための術式を二人に説明し、
「な、なるほど…わかりました。思ったよりは単純な式ですね。」
「基本は単純なのですが…今シェフィールドを覆う陣は三種類。
人々に、外部の者へ話してはならないと、そう思い込ませる魔法。
領民は、領の外に出ようとすれば処刑されると、恐怖感を植え付ける魔法。
そして、街の状況は領主様の悪政のせいだと、反乱を煽る魔法。
これらが共鳴して、街全体を覆うように多数設置されています。
基本はその術式で…出来れば発動している魔法ごとに。
調整しながら解除できるとよいのですが。」
「そうなのですね…あ!この術式、自分で最初から編まなくても。
私でも簡単に変えられる!こんなこともできるのですねっ!」
見せられている術式に触れてみたら、なんか変化した…
本来は自分が一度同じものを編んでから、微調整すると思っていたが、シェルンのこの術は作成者ロック?みたいなものがかかっていないようで。
「はい。編みなおすのも面倒なので、このままお渡しします。
魔法陣の数が多いので、そのまま複製して使ってください。」
二人に編み込み済の術式を手渡し…何かに書いてあるわけではない、空中に輝いている、単純…とはいえ複雑な模様を手渡すという謎の受け渡しを行い…
(術式って…魔石に埋めなくても、渡せるものなのですね…)
と、自身の知らない方法に内心驚くアセリア姫。
「では、なるべく急ぎたいので、できればすぐにでもお願いします。」
「わかった。私はシェフィールドの騎士団詰め所で、やつらの回収を指示してから合流する。姫様は…」
「大丈夫ですわ。魔女…いえ、セラフィーナ様が脅威でないと明確に分かった以上、わたくしもシェルンさんと共に解除に参ります。」
正直なところ、セティスと同格の強さを持つ…魔法戦に限れば、セティスより圧倒的に強いお姫様である。
余程の事がない限り、身の危険は自分で対処できるが…
領都の民が起きてくると、違う意味で大変である。アイドルなので。
なのでなるべく早く、お仕事を終わらせたい。
…こうして、大急ぎで魔法陣の解除にまわる二人と、部下にレイサード達の回収を出してから、魔法陣解除に加わるセティス。
この夜…すでに十分忙しかった今夜、もう一波乱ある…なんてことは、この時はまだ、誰も気付いてなかった。
あと、結局なんでセラ様の関係者とわかったのか…聞けなかった…。
「これは…どういうことだ?レイサード達は何をしていた?」
「どんどん解除されちゃってるね。変換術式も使われず…
あいつら、ボクの苦労が水の泡じゃん…どうしてくれんのかな…」
アセリア姫も、セティスも…もちろんシェルンもいない…シェフィールド領と、王都の境界当たり…
二人の男…と思われるものが、広域魔法陣がものすごい勢いで解除されていく領都を遠目に見つめ。
「こりゃ作戦も失敗だね…とりあえずボクは本国に戻るよ。
お前はあの役立たずたちを、回収してから戻ってきて。」
「了解…」
一人の男が、その場から跳躍し…その先は、着地することもなく…
「はぁ…もうすこしで面白くなりそうだったのに。
まいっか。うまいこと正当化できるかと思ったけど…
このくらいの小国なら…」
そう言って、残った男は…領都に背を向け、何処かへと立ち去り…
――
場所は大きく変わり、時間も少し遡り…
「では、こんな感じでしたら如何でしょう?」
あちらでは、姫と騎士との激戦、二人の成長などまるで関係なく…
もう一人の…永遠のお姫様が、いろいろやらかしていた。
ダブルお姫様の一方は、純真無垢で清楚。
過去の出来事で心に秘めた悲しみを、全力で前向きの力にする、とてもいい子…という予定です。
もちろんこの後、一段成長した二人はさらに活躍しますが…その前に放置プレイの、セラ様視点もそろそろ書いていきます。
黒幕の二人は…なんなんでしょうね。
分かってしまう人にはわかりやすい、アセリア姫の元ネタ?キャラ。
魔法はイ〇・グ〇〇ツですね…。
コレが最後のストックになります。
本日中に書きあがれば、今夜続きが出せますが、それ以降は冬休みまで厳しいかも…
頑張りますので、応援頂けますととても嬉しいです。




