75.ダンジョンなんです
【あとがき】にてお知らせがあります!
「ソーコさん、私からもお願いしますわ」
「私からもお願いします。もし、私にできることがありましたら、なんでもお手伝いします!」
「なんでも……?」
そんな魅惑的な言葉を、こんな美少女聖女様から聞かされたら思わず反応しちゃってもしかたないよね。
もちろん悪用なんてしないけど。
「んんっ……まぁ、このまま放っておくなんてことは僕もできませんし、どうにか頑張ってみましょう」
「おぉ……! ありがとう……本当にありがとうっ!!」
伯爵が涙と鼻水でいっぱいになった顔を近づけて感謝を述べてるけど……正直やめてほしい。
僕が若干仰け反り気味に「いえ、どういたしまして。それより鼻出ちゃってるので拭いたほうがいいですよ?」と伝えると、「こ、これは失礼した!」と素直にハンカチで拭いてくれた。
「――ソーコさん!」
「ん?」
「ありがとうですわ!」
「わっ!」
すると、今度はフランさんが僕に抱きついてお礼を言ってきた。
いい匂いするし、やっぱ女の子だよね、うんうん。
「いえいえ……でも、少しここに留まることになるけど本当に大丈夫ですかね?」
「どうでしょう……」
僕たちは急いでいたわけだし、あまり時間をかけると、最悪本格的に戦争が始まってしまうかもしれない。
それだけはなんとしてでも防がなきゃいけないのだ。
「――お館様」
僕がどうしようかなと考えていると、
「アヤメとクイナ、それとリリスの眷属を1人先に帝都に送るのはどうでしょうか?」
チヨメからの思わぬ提案だった。
「計画を早めるってこと?」
「はい。アヤメとクイナは帝都に戻り欺瞞情報の報告、それと同時に帝都に残ったランとともに軍の動きを探らせます。そしてその情報をリリスの眷属が報告に戻ってきてくれればと……」
「ふむふむ」
チヨメの言ってる作戦が上手くいくかはわからないが、それがわかれば頼もしい。
「でも、それだと僕たちがここで動いてる間に行くってことだから、結局はその間に最悪アルゴン帝国が動き出す可能性もあるんだよね?」
「はい。その場合は帝都に残っているくノ一に撹乱させるのが1番かと……」
「うーん……」
僕としては、この『今』、軍の動きを知れるのがベストなんだけど、当然そういうわけにもいかないのはわかってる。
先行して彼女たちが行ってくれれば、僕らが帝都に到着するよりは早くに情報は入るかもしれない。
――でも、それには危険も伴う、か……。
それを考えると、僕としても簡単に許可は出せないなぁ。
元々、錬金術師の情報を得ようと探って見つかった子もいるし、リスクが大きい気もする。
「いや、それはやめとこう。犠牲が出る可能性が高いし。とはいっても何もしないわけにはいかないし、うーん……」
「――ソーコ殿」
「はい?」
「アルゴン帝国がボロン王国を攻めるとしたら、間違いなくこの領内を通っていくことになる。無論、そうなれば私にすぐに報告が入るはずだ」
――なるほど、そういうことか。
「つまり、軍がこの領に来たら教えてくれるっていうことですかね?」
「ああ、だがそれではソーコ殿達が間に合わないかもしれない。だから、その際にはなんとかして時間稼ぎをしよう」
「え!?」
それは想定外だ。
まさか伯爵がそこまで協力してくれるとは思わなかった。
もちろん、そうであれば間違いなく助かるけど……それって――。
「私にとって妻はすべてだ。だから、せめてそれくらいのことはさせて欲しい。――私も覚悟を決めよう」
クリプトン伯爵は、さっきまでの酷い顔ではなく、真剣な表情で僕を見つめた。
目が本気だ。
『覚悟を決める』ってことは、かなりのリスクがあることも承知ってことか。
「わかりました。では、僕たちも安心して街を離れることができます」
「街を離れる……?」
「はい、ウィーゼルは街にいませんし、どこに現れるかわからないかなりレアな魔獣です。なので、ある方法を使いたいと思います」
それは、AOLで僕が考え出したウィーゼルを誘き寄せる方法なのだ。
普通にプレイしてると狙って出会うことはまず無理な話なので、何かいい方法がないかとウィーゼルのある特性を利用した方法で、全プレイヤーがそれを使ってるといっても過言ではないはずだ、ふふん。
だから、たぶんできると思うんだよね、たぶん。
「ある方法ってなんですの?」
フランさんが興味深そうに聞いてくる。
実に商人らしい顔つきだ。
「それはですねぇ――ダンジョンなんです!」
「ダンジョン?」
ふっふっふ、ぴんと来てない顔をしてますなぁ。
まぁ、普通はわからないよね。
今教えるのもなんだし、後の秘密にしておこう。
「ええ、やり方はその場でお教えしますので、ここら辺にダンジョンはありますか? 難易度はなんでもいいので」
アルゴン帝国に来たことがないから、どんなダンジョンがあるのか僕にはわからない。
できれば近くにあればいいんだけど……。
「ダンジョンだったら、『嘆きの迷宮』というDランクのダンジョンが街のすぐ近くにあるが……」
「『嘆きの迷宮』ですか……! 初めて聞くダンジョンですね。ちなみにどんなダンジョンなんですか?」
「Cランク以上の冒険者パーティーならクリアも可能なダンジョンで、そこをクリアできるかできないかが1つの指標になっているとも言えるところだ」
「ふむふむ、それでは人もそこそこいそうですね。僕の方法はあまり人がいないほうがやりやすいので、ボス手前くらいの階層だったら人も少ないですかね?」
「ああ、恐らくそうだろうが……失礼だが、ソーコ殿の冒険者ランクは?」
「えーと、Eランクですね」
「ダンジョンに入るにはランクがDランク以上という制限が設けられているのだが……そこは領主権限でなんとかしよう」
「助かります。では、明日さっそく行ってきます」
「ああ、すまないがよろしく頼む。礼は改めてさせて欲しい」
その夜は伯爵邸にお泊りし、翌日の朝にダンジョンに入る許可を得るために、僕たちは再び冒険者ギルドに向かうことになった。
新しく投稿を始めました!
『アラサーから始まる異世界無双ライフ 〜スキル『シャドウマスター』は最強でした〜』
https://ncode.syosetu.com/n7861jt/
チートスキルを授かうも役に立たず、おっさんになってから覚醒する物語です!
本日複数話投稿するので、ぜひ読んでみてください!




