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15.初めての依頼 → 達成

 冒険者ギルドのランクは商人ギルドと同じ、S、A、B、C、D、E、Fと、7段階になっていた。

 これは魔物のランクとも同じだ。

 エリーさんの話を聞く限り、ランク昇格の条件も、商人ギルドと似たりよったりだった。

 依頼をこなしたり、功績を積み重ねていくと昇格するみたいで、大きな功績なら一気にランクが上がることもあるそうだ。


「――っていう感じで、ほとんどの人はDランク以下だと思うよ。Cランクまでいけたら、冒険者としては上位に入るかな。ソーコちゃんとアンジェちゃんなら、世界に数人しかいないSランクにもきっとなれるよ!」


 となると、あれでもダンは上位に位置する冒険者だったのか。

 僕からすると、とてもそうは思えないけれど、この世界ではそういうことらしい。

 てか、Sランクって……今はそこまでは考えてないから、特に目指してもないんだけどね。


「うーん、上を目指すよりも、のんびりしてる方が性に合うんで。ぼちぼちと依頼をこなしてきますね」


「珍しいねー。冒険者になる人って、大体お金とか名誉とか、そういったものが目的だったりするんだけどね。でも、そういう事ならガンガン依頼をこなす必要はないね」


 まあ、そういうもんだよね。

 僕だってAOLをプレイしてた頃は、常にトップで居続ける努力をしてたし。

 今は違う目的があるから興味ないけど、いずれはゲーマーとしてそこを目指すことになるかもしれないね。

 まあ、現状資金が乏しいからお金は欲しいけど。

 でも、商人ギルドへのポーション納品だけでも稼げるし、正直、冒険者ギルドでは身分証になるギルドカードが欲しかっただけだしなぁ。

 とりあえず、無理して依頼を受ける必要はなさそうだ。


「あ、でもたまには依頼を受けてね? 簡単なものでもいいから、月に1回は受けないとDランク以下は資格が失効しちゃうからね」


 あ、そういえばそれでアンジェがカード失効しちゃったんだった。

 やっぱ、たまには受けなきゃダメだな。

 それを回避するには、冒険者ランクをCランク以上に上げるしかないか。

 といっても、月に1回程度ならアンジェと二人でサクッと終わらせれるクエストを受けるだけでもいいけどね。


「わかりました。基本的には薬師ですし、ポーション納品もあるので、たまに依頼をこなそうと思います」


「うんうん、そうしてね。それじゃあさっそく、初めての依頼を受けてみよ? あそこの掲示板に張り出されてるから、一緒に選んでみよっか!」


「へ?」


 今日は、依頼のこととかまったく考えていなかったけど……せっかくエリーさんが一緒に探してくれるみたいだし、いい機会だから受けてみようかな。


「ね?」


「それじゃあ見てみようかなあ。いいのあったら教えてください!」


「おっけー! もちろんだよ!」


 僕とアンジェはエリーさんと一緒に、掲示板に貼り出された依頼を吟味し始めた。


「さてさて、どれがいいかなー?」


 なんか楽しそうにしてるなあ。

 エリーさんは、沢山ある依頼の内容を鼻歌交じりに見ていた。

 貼り出された依頼には、採集、討伐、護衛などなど、色んなジャンルの依頼がある。


「――お?」


 その中の1つに、ふと目が留まった。


「あの、エリーさん」


「ん、なあに?」


「依頼を受けるのにランク制限ってあるんですか?」


「おっ、いい質問だねぇ。でも、その答えは『依頼次第』ってことになっちゃうかな」


 エリーさんは人差し指を立てて、僕達に説明を始めた。

 なんだかお姉さん振ってるところが可愛らしい人だ。


「討伐依頼なんかは、ランクを指定してたり制限してることも多いね。でも、特にランク制限してないこういう採集依頼もあるよ」


 エリーさんが2枚の依頼書を手に取って見せてくれる。

 1枚は魔物の絵が描かれた討伐依頼で、もう1枚には花のような絵が描かれた採集依頼だった。

 確かに、討伐依頼には『Dランク以上』となっているのに、採集依頼には何も書かれてない。

 ふむ……なら、この依頼はどうなるのかな。


「依頼を受ける前に、既に達成してる場合ってどうなります?」


「もちろん、それも問題なしだよ。即依頼達成だね! 採集依頼なんて必要数より多く採ってきたら、依頼2回分として納品できたりするしね。ただし、何回繰り返せるかは依頼書をよく読んでね」


 うん、それならこれは問題ないかも!


「じゃあ、この依頼をお願いします!」


 僕が掲示板に貼ってある1枚の依頼書を指差すと、それを見たエリーさんが少し困った顔を浮かべた。


「えーと……アレ? あ、ランク制限付け忘れてるのかあ。あのね、ソーコちゃん。この依頼は、多分ランク制限を入れ忘れちゃったと思うの。本来なら希少種(ネームド)である『森蛇』シルウァサーペントの討伐なんて、Dランクのパーティーでやっとってくらいに強いの。ソーコちゃんとアンジェちゃんも強いとは思うけど、さすがに2人だけで戦うのは……ね」


 僕達を心配そうに、傷付けないように教えてくれるエリーさん。

 でも、僕達はこれから倒しにいくわけじゃない。

 インベントリには、既に『森蛇』が入ってるからね。


「あ、大丈夫です。もう倒してあるので」


 素材をずっと持ってても意味ないし、依頼書には報酬が30万ストと書いてある。

 今の僕にこれはオイシイ。


「え? どういうこと??」


「街に来る途中、たまたま『森蛇』に出会ったんです。なので、狩りました」


「えぇ……」


 エリーさんが若干引いた顔してる……なぜだ。


「大きさが大きさなので、良ければさっきの訓練場にあった解体場所で出しますけど……」


「ほんとに倒したの?」


「嘘じゃないですよ? ね、アンジェ?」


「はい! ソーコ様が、瞬殺しました」


 なぜか少しドヤるアンジェに、エリーさんの表情が固まった。

 そんなに驚くことかなあ。

 多分Cランクのダンでも、攻撃パターンを覚えて時間を掛ければ、1人で倒すことも可能な相手なはずだぞ。


「そ、そうなの……」


 エリーさんはそう言って頬を引き攣らせた。

 再度ギルドの中を通って解体場へ移動し、僕はバッグの中から()()()()()取り出すように『森蛇』を出した。

 その大きさとマジックバッグの容量に、エリーさんと解体士のデイエさんは目を丸くしていた。


「本当に素材はいいのか?」


 デイエさんにそう聞かれたけど、希少種(ネームド)とはいえDランクの素材なんて今は特に使い道がないので、魔石以外は全部売った。

 魔石は武器や防具の強化や能力付与に使えるから、とりあえず持っておいて損はないからね。

 今回売り払った分と報酬を合わせると、なんと80万ストにもなった。

 ほくほく。

 最後にはエリーさんも笑顔が戻って、「また明日ね!」と、ギルドへ来る約束を交わしてその場を後にした。


 ――さて、昼食を済ませたら、次は商人ギルドかな。

お読みいただきありがとうございます。


ソーコたちの物語を少しでも、


『いいな』


『もう少し読んでみたいな』


と思ったら、


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また、ブックマークもしていただけると本当に嬉しいです。


執筆活動の励みになるので、何卒よろしくお願いいたしします!

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