101, 虎さん
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ゴホッ
膝から崩れ落ちた。
治癒をしないと。その前に剣早く抜いて止血しないと。これ以上血を失ったらまずい。虎がこちらを睨んでいる。このまま攻撃されたら俺は避けられない。
後ろを見ると紗理奈が下を向いて剣を力一杯握っていた。そんなに強く握ったら骨が折れちゃう……この位置からでは紗理奈の表情は見えない。何を考えてるんだろ。
俺は早く治癒をするために剣を抜こうとしているのだがうまく力が入ってくれない。くそっ、なんでこんな時に回復ポーション持ってきてないんだよ。
「紗理奈、俺のことは気にするな琥珀を連れて早く逃げろ!」
「竜馬を置いていくわけないじゃん。置いていけるわけないじゃん。また無茶するつもりなんでしょ。今回は魔力の枯渇じゃなくて怪我なんだよ。私が出来るところまでやる!」
「だけど……」
「竜馬は人を頼らなすぎ!ちょっとは私のこと頼ってよ!仲間でしょ」
言葉を遮られた。紗理奈が怒ってる。これは止めても無駄かな。紗理奈、怪我しない程度で頑張れよ。この言葉が口から出ることはなかった。この言葉の代わりに出てきたのは血。
もう限界かもしれない。剣はあと少しで抜ける。でも、この傷を治そうとしたとしても治しきれないだろう。だって傷が深すぎるし時間がかかりすぎた。
治癒は時間が経ってらの方が難しいと言われてる。理由は知らないけど。
ガシャ
剣を落とす。クラクラする。貧血……治癒をしたとしてもなくなった血は元に戻らない。
俺の全力を出して傷ついた内臓から丁寧に魔法をかけていく。だが、あまり治さないうちに俺の魔法の限界が来た。これではもう治せない。どうしよう。
あーあ、俺ってこのまま死ぬのかな?最後に大悟たちと人間の街で遊びたかったな。
七海とはもっと新しい魔法の話をしたかったな。
みんなでもう一回食事をしたい。
こう考えたところで俺はあることを思い出した。傷を直せる魔法ある。魔族に使う魔法だけど俺に使ってみるのもいいかもしれない。
闇魔法の治癒魔法。魔族のための治癒魔法だから人間にかけて大丈夫なのか分からないって言ってかけなかった魔法。今試してみよう。
お願いだからこの魔法が効きますように。そう願っていた。この魔法は闇に落ちていくような感覚だった。それが心地よかったのだけど。魔法を使い終えて目を開いた。傷は跡形もなくなっていた。動いた感じも問題なさそうだ。内臓までちゃんと治ってる。
紗理奈は……戦ってる。あの虎とまともにやり合ってる。紗理奈も虎も傷だらけだった。と言うことはどちらかに勢力が加勢すれば片方は持ち堪えられなくなる。
俺は紗理奈の攻撃の合間に入って後ろから攻撃を仕掛ける。虎は反応できていない。でも何か変。この虎何か魔法を使ってる。これって俺のよく使ってる「隠蔽」なんじゃ……と言うことはこの「隠蔽」を壊せば本当に姿が見える。ということ?
「隠蔽」……隠蔽の弱点はない。いや、ないと言うか隠れてるから見つからないの方が正しい。俺は弱点となる式は入れない主義だから壊すのは自分の魔力で式に穴を開けるしか方法がない。これも同じ方法でやってみるか。
「紗理奈、後3分耐えられる?」
「キツイと思う。結構体力と魔力が消費さられてるから」
「なら大丈夫。交代で攻撃を」
「わかった」
仕方ないかな俺は相手の「隠蔽」を壊しながら戦闘をすることにした。それだけ油断と隙が生まれるってことでもあるからキツイけどね。
ガラスが割れるような音がする。
思ったより時間がかかってしまった。使った時間は5分38秒。もっと早くできるようにならないとだな。
魔物が正体を現した。実際の姿……顔は普通の虎、足や腕の骨が折れているのだろうか?変な方向に曲がっている。そして背中から生える謎の動く触覚?これは倒した魔物をもう一度戦えるようにし、強化した。と言ったところか。この魔法は禁呪になっているはずなのだが……これは王国に持っていった方がいい案件だな。
俺は決着をつけるために紗理奈と同時に攻撃を仕掛ける。触覚?が俺たちを狙って色々な方向から串刺しにしようとお父様の剣を振り回してくる。この剣やだ〜紗理奈には触覚?だけなのになんで俺は剣付きなの!
「紗理奈!」
「りょーかい」
そう言って俺たちは全力で走り始める。
「いっけー」
俺たちが狙ってのは魔石が埋まっている脳。人工的に作られた魔物だと言うことの証明だ。
「倒した……」
俺は思わずそう呟いた。この戦い、長いようで短かった。
「竜馬怪我……」
「治ったよ」
「何やったの?途中で竜馬の治癒の限界が来てたじゃない?」
「大悟たちが使ってた回復の魔法、あったでしょ?あれを使った」
「無茶しないって言ったばっかりなのに……また無茶したの?ダメでしょ!それに戦闘中に気をぬくなって殺してくださいって言ってるようなものなの!」
「分かった。分かった。琥珀は?」
「寝てる」
「怪我は大丈夫そう?」
「うーん。そんな致命的な怪我はないと思うんだけど……」
そう言って紗理奈が琥珀を抱き抱える。すると「キュッ」と可愛い声を出した。聞いただけで痛かったんだろーな。分かる。
「紗理奈こいつを連れて帰るぞ」
俺は虎を指してそう言った。
「竜馬のアイテムボックスに入れればいいじゃん」
「めんどくさい」
「持って帰るのの方がめんどくさいですよね?」
紗理奈さんストーップ!怖い!怒らなくていい!
俺たちはこの後虎を連れて家に帰らなかった。
次話もよろしくお願いします。よかったら評価してくれると嬉しいです。




