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146, 聖典の話1

ログイン有難うございます。ブックマークもありがとうございます。

 神話それは神のいる世界の話。そしてまだこの地に神が存在した時の話だ。いつの時代かも分からない未知の世界に入り込む。


 「聖典」それが神たちの日常を記した書物だ。そして神に選ばれし者以外はこの本を手に取ることすらできないと言われる。


 今よりもずっと昔の出来事です。ある貧しい村人の元に一人の男の子が生まれました。その名はカイン、貴族ではないのでファミリーネームを持っていませんがその容姿は誰もが見惚れるほどの美形でした。その子は後に黒の騎士と呼ばれる大英雄になる人物です。


 カインはスクスクと成長しました。貧しいながらも愛情を込めて育てられた子です。彼は誰にでも優しく誰にでも親切に接しました。


 だからでしょう。両親を殺した人物を許すことができませんでした。


 彼がいつものように家に帰り、帰ったことを知らせるためにただいま。と声をかけました。いつもならすぐにお帰りと声が帰ってくるはずですが今日は返事がありません。どこかに出かけているのかと思いそのまま家の中に入りました。


 そして彼が目にしたのは見るも無惨な姿になった両親でした。その時何が起きているのかわかりませんでした。頭の中が真っ白になりどうすることもできませんでした。カインは両親に近づき体を触れます。体は氷のように冷たくなっていました。


 カインは両親の死というものを受け入れられません。あんなにも自分のことを大事にしてくれていた両親がいきなりいなくなったのです。


 生活を支えるためとはいえ狩に出かけていなかったら自分も同じところに行けたのかな。自分がもしここにずっといたら両親を無くさなくては済んだのではないだろうか?


 そう思わない日はありません。数日間その場から動けませんでした。でも、自分は食べないと生きていけません。カインは両親を葬いあることを決意しました。


 自分のように苦しんでいる子どもたちを助けようと。彼はこの決断をした時まだ12歳でした。


 彼は自分でお金を稼ぎ、生活をしました。すると異常な速度で成長する体。どんどん強くなっていきました。そしていつのまにか国王筆頭の騎士になるくらいまで強くなりました。この時代は戦争が絶えない時代なので彼が戦争に駆り出されることはよくありましたが、それでも難なく生き残り帰ってきました。そうしているうちに彼は黒騎士と呼ばれるようになり、人々から英雄と呼ばれるようになりました。


 彼は国のために自分を犠牲にすることも平気で行います。


 この時にはもう彼の心は限界を迎えていたのでしょう。みんなに期待を押し付けられ、出来て当然だと言われ、もううんざりだったのではないでしょうか?


 この頃から彼は変わりました。自分から戦争に身を投じるようになり、国民が魔物が現れたと言えばすぐそこに駆けつけ……そう、自分の体を気遣わなくなったのです。これで自分が過労死しても良いとでもいうようでした。


 さすがの陛下もこの異変に気がつきました。なので陛下はカインに休息をとるように命令しました。


 今の彼にとっての休息とはなんだったのでしょうか?彼は休息を取るようにと言われたのにも関わらず、日々と同じことをし続けました。


 これには陛下もお怒りになったでしょう。彼にもう一度休息をとるように伝えました。すると彼は今の僕の救いはこの世を去る事だと言いました。陛下はそれを聞いてこの世界の何が気に食わないのか聞きました。口を開く前に彼の体が傾きます。そう、疲労で体が限界を迎えてしまったのです。


 周りにいた人間はカインをベッドまで運び、看病しました。数日もすれば彼は目覚め、体調も安定してきていました。


 ですが彼の目には光が宿っていません。まるで生きる意味を失った奴隷のような目でした。彼にどんな美味しい食事を与えても瞳に光を宿すことはありませんでした。ただ淡々とベッドの上で過ごしているだけです。でもこれはまだ救いでした。彼がまた元の生活に戻ると聞かなければ誰も止めることができないからです。


 彼は魔術師のおばあちゃんと出会いました。その方はカインの見方をしてくれました。彼の願いはみんなの期待などに絡まれず気を楽に暮らすこと。


 そしてその願いを聞いた魔術師はこう言いました。この世界にもう一度生まれ、英雄としてやり直すか。この世界を見守る神という存在になるか。


 カインが選んだのはこの世界を見守る神に成る事でした。神といえど元は人間、ずっと生きることはできないけれど、人間より長生きができてこの世界をずっと見守ることが彼にとっての救いとなたのです。そして武勇神としてこの地を見守る存在になったのはこの出来事の数日後でした。


 彼は数日の間にお世話になった人への手紙を書いたのです。それを読んで誰もが思いました。期待を押しつけることが彼の重みとなっていたのだと。もっと気軽に接すればよかった、と。

次話もよろしくお願いします。評価して頂けると幸いです。

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