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投資少女  作者: 雨後虹晴
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夏本番!

 甲子園が始まった。これが始まると、夏本番!って感じがする。外へ出れば、蝉の大合唱と空に湧く入道雲。いっぱいかいた汗にはキンキンに冷えた麦茶で。

 延長された夏期講習も8月10日で終わった。あー、本当によく勉強した。

「打ち上げ打ち上げ」

 と次の11日にはクラスのみんなでプールに行った。ホントは海に行くはずだった。けど、台風の影響で波が荒くて危ないからと許可しなかった家庭があったから、急遽プールに変更された。

 世間はお盆休みに入った。そこに直撃する台風。来週は交通機関が大幅に乱れるはず。新幹線など計画運休すると言ってるから、帰省先や旅行先から帰ってこれない人たちであふれそうだ。


 しかし、暑い。

 本当に今年は異常だ。

 天気予報を見てると、沖縄・那覇の最高気温が北海道・札幌のそれを下回っている日が少なくない。これからは高原の別荘地ではなくて、避暑に沖縄へ。ビーチでパラソルの下、潮風に吹かれてるーーこれが避暑地のスタンダードになるかもしれない。


 夏の決算発表が続く。

 景気のいい話が少なくない模様だけど、元気なのは内需関連。コロナウィルスで散々なことになった観光、運輸、外食あたりが最悪期を脱していい決算を出している模様。

 インフレで原価や販管費が上がっているものの、価格転嫁できるようになったことが大きい。


「買おうかと思ったら、売るものがないっていうんだから」

 お父さんがぼやくぼやく。

 うちのクルマがもうそろそろ10年ほどになるので、買い替えるとか言ってた。

「もうお前たちも大きくなったから、ワンボックスでなくてもいいかな」

 とか言って、狙いはSUVらしい。それでディーラーからカタログをいくつか貰ってきたものの、ほしいグレードはオーダーをストップしているんだとか。

「こんな低装備のグレードなんていらないよな」

 お父さんがぼやく理由はもうひとつあって、値切ることができないのだ。


 今のクルマを買ったとき、お父さんの自慢のひとつが価格交渉の結果だった。付属品あわせて60万円値切り、下取りに出したクルマの査定額も大幅に引き上げた。

 それが今度はいっさい受け付けないと言われたとか。

「大勢のお客様にお待ちいただいている状況ですので、お値引きできる環境にはございません」


 自動車会社の決算がいいわけだと思った。

 半導体不足は解消しつつも、積み上がった需要に応えるだけの供給はない。ほしがる人はいくらでもいる中で、オーダー分を確実に作ってゆけば、在庫を抱えるリスクは確実に減る。値引き販売が不要なら、販売店への支援策を手厚くする必要もあるまい。


 仮にトヨタ自動車の株を2020年3月に買ったとする。株価は1,300円ほどだったから、今まで持っていれば2,500円ほど。時価総額が何十兆円の企業の株でも倍増したことになる。

 コロナウィルスで打撃を受けた他の企業ではどうか。

 例えば、日本航空。1,700円ほどだった株価が3,000円を超えた。

 例えば、サイゼリヤ。2,000円を下回っていたのが4,500円ほどに。

 例えば、三越伊勢丹ホールディングス。600円ほどまで下がった株価は1,700円を超えた。


 こういうのを見ていると、株式投資の要諦は、やはり市場全体がどっかんと下がったときに大きく買うことだと思う。

 コロナウィルスのような想定外の出来事は、企業業績に大きな影響を及ぼし、当然、株価をも動かす。

 けれど、異常事態は永続しない。いずれ収束すれば、減った需要や消えた需要が戻ってくるし、特需は消える。

 無論、個別株には各企業それぞれの事情が反映されるから、下がった株価が一律に戻すわけではない。暴落時に個別株を選択する目がなければ、せっかくの好機を生かすことができない。

 それでも、方法はある。

 市場全体を買ってしまえばいい。

 2020年3月、日経平均株価は17,000円を割り込んだ。しかし、2021年9月には30,000円を超えた。1年半ほどで76%もの上昇だから、十分すぎる成果と言える。


 夏の決算発表が続く。

 あたしの持ち株も続々と発表した。


 ・2588 プレミアムウォーターホールディングス

 2024年3月期の1Qは、前年同期比増収減益であった。会社発表によれば、「中長期的な成長に向けた投資が先行し、営業利益は一時的に減益」とのこと。

「ただし、計画の範囲内であり、業績見通しに変更なし」だそうで、通期見通しに変更はない。

 この会社の増収率はこのところ低下傾向にある。事業規模の拡大に伴い、率が鈍化するのは致し方ないとして、増加量はどうか。

 2020年6月期から今回決算まで各6月期の売上高を並べると、13,062百万円、15,883百万円、18,505百万円、20,065百万円。増加量は2,821百万円、2,622百万円、1,560百万円と、今回は前回より10億円以上増加量を減らした。

 宅配水市場が飽和しつつあるのではないかと疑いたくなる。仮にそうだとすれば、次の手は何かということになるが、発表資料だけではよくわからない。ただ、利益改善のコメントが散見されるので、市場拡大から、ストックされた顧客基盤からの安定的な利益出しへと移行しつつあるのかもしれない。となれば、今後、販管費が漸減し、営業利益が膨らんでゆくことになるのではないか。

 そして、生み出されるキャッシュを元手に、次はどんな市場を開拓しようとするのか。そこが知りたいと思う。


 ・6777 santecホールディングス

 2024年3月期の1Qは前年同期比増収減益(営業利益)だった。

 尤も、前年同期の伸び方がハンパなく、売上高は90%近くの増収、営業利益は3倍近くの増益だったことから、大きくジャンプアップした後の今期は一服するのはやむを得ないと思う。

 急成長の裏では社員にかかる負荷も大きかったはずで、体制を整える必要があるはずだから。

 もともとの通期計画が売上高8%増収、営業利益7%減益なので、1Qの売上高12%増益、営業利益9%減益は、妥当なところと思われる。

 決算短信によれば、売上高・営業利益で大きな割合を占める「光測定器関連事業」では、市場が在庫調整局面にあることから、受注が低調なのだという。前期の反動と考えればわかりやすく、中長期的に見て、なにか不安を覚えるようなことはない。


 とは言え、プレミアムウォーターホールディングスもsantecホールディングスも、前年同期比減益のインパクトが週明けの市場でどう評価されるか。

 引退まで時間のないあたしにとっては、目先の株価はとってもとっても重要。もうここは神頼みぐらいしか思い浮かばない。


 8月10日現在、あたしのポートフォリオ

 ・2588 プレミアムウォーターホールディングス 100株 2022年5月2日購入 買値2,370円、現在2,765円、評価額276,500円、含み益39,500円、含み益率16.7%

 ・3661 エムアップホールディングス 200株 2023年6月2日購入 買値1,055円、現在1,155円、評価額231,000円、含み益20,000円、含み益率9.5%

 ・3695 GMOリサーチ 200株 2022年8月3日等購入 買値3,695円、現在2,810円、評価額562,000円、含み益▲177,000円、含み益率▲24.0%

 ・4380 Mマート 1,000株 2022年4月18日等購入 買値853円、現在1,307円、評価額1,307,000円、含み益454,000円、含み益率53.2%

 ・4498 サイバートラスト 200株 2023年4月26日購入 買値1,665円、現在2,352円、評価額470,400円、含み益137,400円、含み益率41.3%

 ・6777 santecHD 100株 2022年5月2日購入 買値1,220円、現在2,908円、評価額290,800円、含み益168,800円、含み益率138.4%

 ・6999 KOA 200株 2023年6月27日購入 買値1,760円、現在1,818円、評価額363,600円、含み益11,600円、含み益率3.3%

 ・9432 NTT 300株 2023年6月30日購入 買値172.7円、現在163.8円、評価額49,080円、含み益▲2,730円、含み益率▲5.3%

 ・現金 3,605円

 ・評価額計 3,553,985円、含み益553,985円、 含み益率18.5%


 あーあ、含み益がまたまたまた減った。一時噴き上がったサイバートラストやMマートがこのところ元気がないのが痛い。

 来週はプレミアムウォーターホールディングスやsantecホールディングスの株価が調整しそう。

 8月は我慢の月になりそうだ。株価に一喜一憂しても始まらないし、他にすることはたくさんある。持ち株はなるようにしかならないと、腹をくくるしかない。

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