暑すぎる夏
電車から降りると、「うわっ」と声が出た。
ホームが熱に覆われている。
駅を出ると、ビル風に吹かれた。室外機の前にいるかのような。
日なたに出ると、太陽が痛い。日かげばかり、寄って歩く。
今年の7月は観測史上最高の暑さだったそう。
そりゃそうだよねえ。毎日毎日、体温並み、体温以上の気温ばっかだったんだから。
「避暑地、沖縄」が冗談じゃないほど、本州は暑くて暑くて。これ、いつまで続くんだろ。
暑さと言えば。
6日からは甲子園も始まる。
台風の関係でいくぶん和らぐだろうけど、炎暑の中での大会はそろそろ考え直さないと、高校野球そのものが否定されちゃうように思う。
アルプススタンドにも銀傘をつける計画があると聞いた。それもいいけど、ドーム球場にするとか、気温が基準以上になれば、グラウンドにミストが降り注ぐようにするとか、正午から午後四時まで試合はしないとか、猛暑対策を早々に打たなければ、もう甲子園での大会はできないと言われかねない。
甲子園球場をもつ阪急阪神ホールディングスや主催の朝日新聞社、高校野球連盟はなにかが起こる前に英断を下してもらいたい。
高校野球が好きなイチ女子高生として、そんなことを思ったりした。
夏期講習は、8月になっても続くことになった。
てことで、あたしは日々、入道雲を見ながら、学校に通い続けた。
今年は、4年ぶりのお祭りがあちこちで復活し、暑い夜に花火も戻ってきた。
高校生、最後の夏。浴衣姿でお祭りには行きたいよね。
こんなに暑いんだから、プールにも行きたいよね。
んなこと言って、株式投資部の五人で、花火大会に出かけ、室内プールにも行った。
そこへ。
顧問からあたしのスマホに「文化祭の出展概要提出について」なる通知が入った。
なにこれ?
見ると、9月の文化祭に部活として出し物をする場合の出展内容を、文化祭実行委員会に提出するとのこと。
「なんですか、これ?」と顧問に聞くと、
「ああ、去年、株式投資部として文化祭に出たいって、あなた、言ってましたよね」とあっけらかんとした声。
「部活動として、世間に発表する場があってもいいなと考えて、今年はうちも出ることにしました」
え? えー!
「そんな急に。なんの準備もしてないのに」
「なんの準備もしてなくても、ある日突然やらなきゃいけないことが出てくる。なんてことは世の中いくらでもあります。部としては、株式投資のイロハを皆さんいろいろ学ばれたことでしょうから、それを世間の皆さんにわかりやすく説明する。ってことで、うまくまとめてみてください」
なあに、ふだんあなたたちが考えていることを整理するだけのことです。
だって。
部の四人を前に顧問からの唐突な通知を伝えると、
「なんで先生、セラちゃんだけに伝えてきたんだろ」とひろこが不思議そうな顔。
「一応、セラが部長ってことになってるから」とカレンが即答した。
「あ、そーか。セラちゃん、部長だったよね」
そう、形だけのね。だいたい対外的な活動の全くない株式投資部で部長の活動するシーンなどあろうはずもなく、部としての体裁を学校に届けるためだけの名義貸しにすぎない。
「で、ブチョー、どーするの?」とカレン。
なにを?
「なにをって、文化祭に出るからには、体裁を整える必要はあるでしょう」
「そんなこと急に言われたって」
「じゃあ、次集まるときまで、なにするか、みんなで考えてくるってことでいーんじゃない?」
ひろこがさらっと助け舟を出してくれて、話はそれで終わった。
夏の決算発表が本格化してきた。
あたしにとって衝撃的だったのは、GMOリサーチの2Q。
「減収減益じゃん!」
2Q累計で言えば、かろうじて増収ながら、2Qの四半期だけを見れば、前年同期比2.5%の減収。営業利益に至っては8割を超す減益。
会社発表の説明資料を見ると、売上高が減ったのは減価率の高い受託案件を絞ったから、営業利益が大きく減ったのはサービス強化のため販管費が先行したから、だそう。採算のよくない取引の受注をやめたから売上高が減り、投資先行したから営業利益が減ったってことなんだろうけど、この施策がうまく行くかは次の決算を見なきゃわからない。
会社は通期見通しを変えてない。根拠あってのことなのか、ただの希望的観測なのか。この会社のIRに対する姿勢が問われている。
四半期ごとの売上高と営業利益の推移を見ると。
2022年6月期は前年同期比で増収率拡大、増益率拡大だった。
2022年9月期は増収率が鈍化し、増益率は拡大した。
2022年12月期は増収率、増益率ともに鈍化した。
2023年3月期は増収率がさらに鈍化、営業利益は減益になった。
そして2023年6月期が減収減益。
こう振り返ってみると、数字がどんどん悪化している。
株価が伸び悩んでいたのは、こういう背景があったからなのか。
振り返れば、この株、買った動機が勢いだった。
四季報の絶賛記事に乗せられて、数日後にある次の決算発表を待ってからにしてはどうかという顧問のアドバイスを無視して購入。ところが、決算発表で株価が暴落。
熱に浮かれて株を買うとどうなるかという見本みたいなものだった。となると。。。
はたして、発表の翌日、株価は大幅に下がった。
長期視点で株式は考えよと言われるが、あたしの部活にはもう時間がない。
KOAといい、ここといい、目先の視点しか持てない今のあたしにとっては厄災みたいなもの。
8月4日現在、あたしのポートフォリオ
・2588 プレミアムウォーターホールディングス 100株 2022年5月2日購入 買値2,370円、現在2,726円、評価額272,600円、含み益35,600円、含み益率15.0%
・3661 エムアップホールディングス 200株 2023年6月2日購入 買値1,055円、現在1,095円、評価額219,000円、含み益8,000円、含み益率3.8%
・3695 GMOリサーチ 200株 2022年8月3日等購入 買値3,695円、現在2,959円、評価額591,000円、含み益▲147,200円、含み益率▲19.9%
・4380 Mマート 1,000株 2022年4月18日等購入 買値853円、現在1,402円、評価額1,402,000円、含み益549,000円、含み益率64.4%
・4498 サイバートラスト 200株 2023年4月26日購入 買値1,665円、現在2,494円、評価額498,800円、含み益165,800円、含み益率49.8%
・6777 santecHD 100株 2022年5月2日購入 買値1,220円、現在3,065円、評価額306,500円、含み益184,500円、含み益率151.2%
・6999 KOA 200株 2023年6月27日購入 買値1,760円、現在1,756円、評価額351,200円、含み益▲800円、含み益率▲0.2%
・9432 NTT 300株 2023年6月30日購入 買値172.7円、現在158.5円、評価額51,810円、含み益▲4,260円、含み益率▲8.2%
・現金 3,605円
・評価額計 3,693,055円、含み益693,055円、 含み益率23.1%
含み益がまたまた減った。でも、株式投資では上がる下がるは常態のこと。こういうことは普通にある。決算発表を受けて下がったKOAはいくらか戻した。逆に上がってくれる銘柄もあるだろう。今はジタバタしない。
目先の株価に慌てないこと。
文化祭で伝えることのひとつにしてもいいかな。