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投資少女  作者: 雨後虹晴
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気になる動き?

 良品計画から株主総会招集通知書が届いた。

 無印良品デザインの書類が入っていて、思わず「おー!」と声が出ていた。

 パラパラと中を見てみる。新社長の顔写真入りの挨拶文に書かれた自筆サインは、お世辞にもきれいとは言えないけど、それが却って決意の表れのようにも見える。

 目についたのは商品別営業収益構成。

 衣服・雑貨が1,690億円。

 生活雑貨が2,118億円。

 食品が545億円。

 その他が182億円。

 この会社、取扱う商品の種類が多彩だ。雑貨屋のイメージがあたしにはあるけど、その枠に留まらない。言い換えれば、商品によってライバル企業が変わるということでもあり、多彩な取扱い商品の相乗効果を如何に出せるかがカギになるということでもある。

 衣服なら、ファーストリテイリングやアダストリア、ユナイテッドアローズとか?

 生活雑貨なら、ニトリホールディングス、パルグループホールディングスかな?

 食品なら、スーパー各社ってとこ?

 それぞれの分野で、この会社を上回る企業が存在する。言いかえれば、それぞれシェアを伸ばす余地があるということだろう。


「えー、ちょっとなに、これー?」

 先週金曜日に高値を更新し、買い値から43%も上昇したオークネットが週明けから急落を始めた。

 先週2,540円だった株価は、月曜日に2,405円となり、火曜日に2,229円となった。第三四半期決算が発表された翌日の水曜日にはあっさり2,000円を割り、1,865円まで落ち込んだ。

 あたしの持ち株の中では最も大きな含み益があったのに、ほとんど買い値と変わらないところまで戻ってきてしまった。

 株式投資は長い目で。

 とは、この部に入ってからずっと聞かされ続けてきたことだけれど、15万円以上もの含み益がわずか三日で十分の一ほどまでに縮小されると、さすがに凹んだ。

「株式投資の怖さだよねえ」

 マリノさんがくっくっくと笑った。

 それにしても。

「決算は決して悪くなかったんですよ」

「なら、いいじゃん」

「いいのかもしれないですけど、こんなのばっかじゃないですか、決算が良くて株価暴落。なんかおかしくないですか」

 マリノさんの表情がちょっと締まった。

「確かにねえ。ちょっと変な動きかもね」

「日本株は世界から見れば出遅れてるから、これからコロナ後の経済活動が活発になれば上がってゆくって言われていますけど、本当にそうなると思います?」

「あたしゃ占い師でも超能力者でもないから、先のことなんてわかんないよ。て言うか、未来がわかるなんて思った瞬間、投資に失敗するんだと思ってる。でもね」

 マリノさんの視線がまっすぐに向けられた。

「みんながまだまだ上がる上がると言い出したときが、株価のピークって話はよく聞くよね」

 確かに。

 入り口に殺到しているときに出口から出て行け

 と言ったのは、ピーターリンチだったか。

 今がその時なのか、あたしにはわからない。

 だけでなく、出て行こうにも出て行けるだけの含み益がない。悲しいことに。

「まあ、下がるときに備えて、現金比率を増やしておくか、ダブルインバでも買っておくかだね」

 ダブルインバ?

 マリノさんが言うには、株価が下がれば利益が出るETFがあるのだと言う。

「そんなのがあるんですか?」

「うん、あたしも、ちょっと持ってるよ」

 投資の世界はなんでもありか

 あたしはため息が出る思いだった。

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