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投資少女  作者: 雨後虹晴
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戦争と投資

 santec Holdingsから配当金が入った。

 その配当金通知書に入っていた「業績ハイライト」を見ると、改めて思う。

 すごいわ。


 売上高はこの5年で5,422百万円、6,382百万円、7,509百万円、8,890百万円、15,246百万円と3倍に。

 営業利益は781百万円、936百万円、1,421百万円、1,625百万円、3,982百万円と5倍に。

 配当金は25円、20円、30円、40円、80円と3倍に。


 光技術は今後も成長が続くはずだから、この会社の売上高も営業利益も配当金も、まだまだ増えてゆきそうだ。

 てなことで、配当金が入ったこともあって。


 6月23日現在、あたしのポートフォリオ

 ・2588 プレミアムウォーターホールディングス 100株 2022年5月2日購入 買値2,370円、現在2,585円、評価額258,500円、含み益21,500円、含み益率9.1%

 ・3661 エムアップホールディングス 200株 2023年6月2日購入 買値1,055円、現在1,272円、評価額254,400円、含み益43,400円、含み益率20.6%

 ・3695 GMOリサーチ 200株 2022年8月3日等購入 買値3,695円、現在3,235円、評価額647,000円、含み益▲92,000円、含み益率▲12.4%

 ・4380 Mマート 1,000株 2022年4月18日等購入 買値853円、現在1,494円、評価額1,494,000円、含み益641,000円、含み益率75.1%

 ・4498 サイバートラスト 200株 2023年4月26日購入 買値1,665円、現在3,285円、評価額657,000円、含み益324,000円、含み益率97.3%

 ・6777 santecHD 100株 2022年5月2日購入 買値1,220円、現在2,961円、評価額296,100円、含み益174,100円、含み益率142.7%

 ・7808 シー・エス・ランバー 100株 2022年4月18日購入 買値3,470円、現在3,050円、評価額305,000円、含み益▲42,000円、含み益率▲12.1%

 ・現金 103,415円

 ・評価額計 4,015,415円、含み益1,015,415円、 含み益率33.8%


 現金が10万円以上ある。

 引退まであと3ヶ月しかないけど、資金を遊ばせるのもなあ。

 顧問は「投資は長期で」と言うけれど、タイムリミットが近づく今、短期で稼げる可能性に賭けてみようか。


 となると、どこに焦点を当てる?

「今さらかもだけど、PBR1倍未満でいいんじゃない?」とカレン。

「日本企業が変わるって期待は、お金を還元とか投資に回すってことでしょう。インフレになって、現金は目減りするだけなんだから、使うこと考えないと宝の持ち腐れになるわよね」

 PBR1倍未満を脱するために、さっさと手を打つ必要があるなら、短期で株価も上昇する可能性がある。


「それとも、配当金狙う?」

 9月末なら、大抵の3月期決算企業の場合、中間配当の権利がある。

 配当利回りが5%以上ある会社なら、半期でも2.5%にはなる。

「配当金狙いなら、増配を続ける会社を狙うのが方法のひとつなんだって」

 増配を続ける会社?


 ・4452 花王 33年連続増配

 ・7466 SPK 25年連続増配

 ・8593 三菱HCキャピタル 24年連続増配


 日本ではこの三社がベストスリー。

 毎年、配当金を増やし続けてるというのだから、確かにすごいこと。

 裏付けとなる利益が増え続けなければ、できるものではない。

 と思ったら、花王の場合、ここ数年はEPSも営業利益も下がり続けているにもかかわらず、配当金は増えている。三菱HCキャピタルも、減益のときにも増配を続けている。


「花王はよく知ってるけど、他はよくわからないね」

 SPKは自動車用補修・車検部品の卸売をする大阪の会社。

 三菱HCキャピタルはリース会社で首位級の会社。

 これら三社を比べると、配当利回りは三菱HCキャピタルが4.4%で突出している。花王は2.8%、SPKは2.79%だから、これらも悪くはない。

 PBRは花王が2.62倍、SPKが0.81倍、三菱HCキャピタルが0.79倍。

 PERは花王が28.29倍、SPKが8.36倍、三菱HCキャピタルが10.11倍。


「・・・今までこういう見方してないから、どこに注目して選べばいいのかわかんないな」

 ため息をつくと、カレンが笑った。

「なら、今持ってる株の中で押し目買いすれば?」

 そういう手もあるか。


 持ち株の中で、値を崩しているのは。

 ・3695 GMOリサーチ

 ・7808 CSランバー

 のふたつ。


 ・4498 サイバートラスト

 も、直近高値3,770円からは13%近く値を下げている。


 GMOリサーチは2023年1-3月期決算で、売上高が前年同期比4.5%増収、営業利益が6%減益だった。

 会社計画では2023年12月期を、売上高15%増収、営業利益29%増益としているので、1Qの数字は物足りないと言えば物足りない。

 次の四半期決算で計画に見合った結果が出てくれば、株価も素直に反応してくれるかもしれない。とすれば、そこに賭けて、今のうちに仕込んでおく。というのはわるくないかもしれない。


 CSランバーは2023年5月期で売上高こそ幾分か増収ながら、営業利益は24%減益を想定している。

 ここに株価が伸び悩む原因があるんだろうな。

 とは言え、営業利益は前々年度の倍以上、EPSの益回りは48%に達する。・・・安いよね。だって、投資額をほぼ2年で回収できるってことだから。前年度の営業利益は、色んな要因が重なった「できすぎ」な数字だけに、ここに捉われすぎるのもどうなん? と思ったりする。

 でも、今は短期決戦。

 あと3ヶ月で株価が上がるか? となると、どうでしょうねえ、と思ってしまう。


 サイバートラストはEPSの伸び率が30%増益、37%増益と来て、今期は31%増益を見込んでいる。

 PERは28倍程度だから、今の株価が割安というほどではないけれど、先々の伸びを考慮すれば、わるくはない。これが3,000円まで下がれば、魅力がぐっと上がる。


 でもなー。

 過ぎた話をしても詮ないことながら、メックを売らずに残しておいて、CSランバーかGMOリサーチを売っていれば、持ち株の評価額はもっと良かった。

 やっぱ、個別株投資って、むずいわ。

 と、結局、決められないままに、今週は終わった。


 そんな中、21日にはロンドンで、ウクライナ復興会議が開かれた。

 世界中から多くの企業が支援を約束した。

 思えば。

 戦争当事者であるロシアとウクライナに、企業の対応は正反対だ。

 一方は、開戦と共に続々と撤退した。一方は、新たな事業機会を求めて集まってくる。


「撤退した企業が戻るにしても、どれくらい時間がかかるんでしょうねえ」とメガネくん。

「企業が投資もしないような国に未来があるのかなあって、思っちゃいますよね」とも。


 世界から相手にされなくなるプーチン大統領のロシアで、とうとう内紛が表面化した。

 民間軍事会社のワグネルがロシアの一部を占拠し、ロシア軍と交戦しているという。プーチン大統領はワグネルの動きを「反逆」と明言した。

 終わりの見えない戦争を始めた国で、内戦じみたことが始まった。

 ウクライナとの戦争がどうなるのかはともかく、ロシア自壊の契機になるのかもしれない。


 ロシアの混乱は、世界の株式市場にどう影響を与えるのか。

 そこはじっくり見ておきたい。きっと、先々の視点を作ってくれる。

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