Chat GPTに尋ねたら
「バフェットって、すごいなあ」
ひろこがボソッと言った。
「92歳でしょ。そんなおじいちゃんが、これからまだ株買って、10年20年持ち続けるって言うんだから、いくつまで生きる気なんだろ」
ウォーレン・バフェット
たぶん世界で最も有名な投資家だ。
と言っても、株式投資部に入るまで、あたしは知らなかった。きっと、うちのお母さんやお兄ちゃんも知らないはず。お父さんは名前ぐらい聞いたことがあるって言うかもだけど。
この人、永続的な競争優位性をもつ会社に投資すれば、その優位性が変わらぬ限り、ずっと持ち続ける。例えば、コカ・コーラ。1988年に投資をはじめてから30年以上にわたって保有し続けている。
そのバフェットが11日に日本に来た。これから日本株への投資を増やすのだという。10年20年単位で持ち続けることを前提に。
「92歳で20年後って、112歳でしょう。まず生きてないですよね、ふつう」
「案外、わからないかもよ」とカレン。
「医学の発達?」
「思考を引継ぐロボットに意思を続けていくようになるかも」
「えー、それって、映画の世界じゃないですかあ」
でも、自分のはじめた投資がどこまで膨らむのか、寿命をはるかに超えても見届けたいとは思うだろうな。
ともかく。
こんな投資家が日本株への投資を増やすと言って色めき立たぬわけがない。
と言っても、バフェットが保有する日本株は、三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、丸紅、住友商事の五社だけだそう。これら商社株は、過去にバフェットが投資したことが明らかになって、株価が上がった。今回、さらに保有株数を増やすというから、さらに上がった。
そして、商社株以外にも投資をしたいということで、「次はどこ?」とバフェット金魚の糞になりたい人たちが騒いでいるって構図だ。
でも、目先の話もいいけど、バフェットのように、永続的な競争優位性をもつ企業を見つける目を持ちたいと思う。
誰かが投資した銘柄を頼りに株を買う、それで上がったらいいけど、下がったら、どう思う?
誰かは確かだから、その言葉を信じて持ち続ける・・・まるで宗教だ。
信じられなくなったら、またどこか別の答えを求めて他の誰かを探し求めることになる。
上がったら上がったで、今度はどこで売ればいいのかわからない。
いずれにせよ、自分の中に確固たる基準と信念がなければ、投資は根無し草になって、もはや投機になってしまう。
「Chat GPTでテンバガー候補を五つ出してって聞いたらね」
ひろこがカレンにじゃれるように絡んでいる。
きっと、AIを使って銘柄選択をする人も、これからたくさん出てくるんだろうな。
「スタンダードに絞って」
「グロースに絞って」
と聞けば、AIは具体的な銘柄と選出根拠を出してくれる。
それは四季報や決算書をいちいち細かく見る必要をなくすようになるのかもしれないけど、ただ機械的にAIの選出銘柄を買えば、満足な結果になるのかどうか。
まあ、仮想投資で試す価値はあるかもしれない。
とは言え、無批判に受け入れるのは違うと、二年間だけど、投資経験を積んできたあたしは思う。
ひろこの問いにAIが出してきたテンバガー候補銘柄は、なるほど、どれも素晴らしい銘柄ではあった。けれど、じゃあ今の株価水準で、ここからテンバガーを目指せるの? と言えば、ちょっと違う。
バフェットは言う。
「投資を考えている企業は常にある。問題は価格だ。もし商社の株価が二倍だったら、投資はしなかった」
そう、素晴らしい企業はいくらでもある。
でも、どんなに素晴らしい企業でも、買われすぎた株はもう上がる余地などあっても限られる。下手すれば、半値に下がって、何年も買値に戻らない・・・塩漬けになる恐れだって、普通にあるだろう。
買われすぎてなくても、実力に見合った株価がついているなら、今後、成長に合わせて株価が上昇するにせよ、テンバガーになるまでには、相当の時間を要するかもしれない。
AIに問うなら、「3年程度で」という条件もつけるべきだろう。あるいは、「EPSの期待される伸び率に比べて、PERが低い企業で」なのか、「これから拡大できる潜在市場を多くもつ企業で」なのか、問い方も考えてみるべきか。
使ってみて思うことは、正解を求めるというより、参考意見を聞くいうイメージかな。物知りの誰かと意見交換しながら、自分の考えをまとめるには、ちょうどいいツールじゃないかと思う。
一年生が何人か訪ねてきた。男の子、女の子。
「株式投資って、何するんですか?」
「株式投資って、儲かるんですか?」
「株式投資って、ギャンブルと何が違うんですか?」
まあ、わからんわな。
中には、ひろこの可愛さに目を輝かせてる男の子や女の子がいたりする。
まあ、知らんかったら、殺人レベルだわな。
カレンは相変わらず、つれない態度。男の子には、基本冷ややかな目を向けてる。
メガネくんは、ぼんやりしてる。
あたしは、どう映ってるのかな。
まあ、どんな子が入ってくるんだろう。顧問は、どんな方向性を打ち出してくるんだろ。
4月14日現在、あたしのポートフォリオ
・1357 日経平均ダブルインバース 1,000株 2021年12月8日購入 買値388円、現在314円、評価額314,000円、含み益▲74,000円
・2588 プレミアムウォーターホールディングス 100株 2022年5月2日購入 買値2,370円、現在2,461円、評価額247,000円、含み益9,100円
・3695 GMOリサーチ 200株 2022年8月3日等購入 買値3,695円、現在3,125円、評価額625,000円、含み益▲114,000円
・4380 Mマート 1,000株 2022年4月18日等購入 買値853円、現在1,314円、評価額1,314,000円、含み益461,000円
・4971 メック 100株 2022年10月20日購入 買値2,315円、現在2,527円、評価額252,700円、含み益21,200円
・6777 santec 100株 2022年5月2日購入 買値1,220円、現在2,389円、評価額238,900円、含み益116,900円
・7808 シー・エス・ランバー 100株 2022年4月18日購入 買値3,470円、現在3,135円、評価額313,500円、含み益▲33,500円
・現金 88,166円
・評価額計 3,392,366円、含み益392,366円 含み益率13.1%
ダブルインバは、相場が崩れたときの保険にと持っているけど、下がりに下がって、このままでは300円も切る勢いだ。
これ、マリノさんに存在を教えてもらって、先々の相場崩壊を想定して買ったけど、一向に崩れない。
欧米はコロナ後のインフレが想定以上に進んだことから、中央銀行が躍起になって金利を上げ、それが株式の下落につながった。金利上昇が債券価格の下落を呼び、債券を多量に保有する金融機関の取り付け騒ぎや、途上国の信用不安も引き起こして、景気の悪化は避けられない見通しになっている。
日本は。
コロナの行動制限が解除され、街に外国人観光客が戻ってきて、インフレに伴う賃上げも始まったばかり。
これでは、相場が崩れるのはまだ先に見える。
ダブルインバは持ち続けるつもりだけど、世界景気が悪くなって、日本市場にも影響はあったとしても、そんな深刻な崩れ方はしないんじゃないかな?
なんとなくだけど、そんな感じがする。