PERの意味
株価が割安か割高かをどうすれば判断できるか。
その代表的な指標が株価収益率、PERだ。
と、言われる。
例えば、4月6日の日経新聞にも、新社会人向け投資紹介記事の中で、そう書かれていた。
うん、それは確かにそのとおり。
なんだけど。
PERが割安か割高かを判断する指標
というから、誤解を与えるんじゃないの? とも思う。
割安か割高か、なんて言えば、じゃあ何倍がその基準なの? という話になりがちだ。
でも、日経新聞のその記事にも書いてあるとおり、決まった水準などない。
ないんだけど、そう言われると、途端にそんな曖昧な指標に何の意味があるんだ? という気にさせられる。
わかりやすく言えば、PER10倍以下なら割安、30倍以上なら割高
などという記事をどこかで見たこともある。
なるほど、確かにわかりやすい。わかりやすいけれど、これまたあまりに乱暴だ。
今が30倍だろうが、それ以上にEPSが増え続けるなら、何年か後のPERはもっと低い数値になるだろう。何年か後のEPSが例えば3倍になることが見通せるのなら、何年か後のPERは今の株価のまま推移するなら10倍になる。
逆に、今が10倍としても、EPSが伸び悩むのなら、PERが増えると思えないし、EPSが減るのなら、今の株価のままならPERは上がらざるを得ない。
やっぱりPERは、顧問が言うように、「市場の人気」あるいは「市場の評価」と捉えたほうがわかりやすいと思う。
数値が単純に人気の指標だと捉えることができるから。
PERの10倍よりは20倍の方が人気があるとわかるし、業種業態によって人気の違いも一目瞭然だ。
でも、結局、株価の上げ下げを左右する一番の要因は、この先EPSが増えるのか減るのかに尽きる。
EPSが増え続けると考えられるなら、人気を集めて、PERも上がる。減ると考えられるなら、人気はなくなってPERも下がる。
株価はPERとEPSのかけ算だから、EPSが増えてPERも上がるのなら、株価もかけ算の上がり方をするし、EPSが減ってPERも下がるなら、株価はマイナスのかけ算の減り方をする。
だから、EPSの増減こそが、PERの高低を知る要点と言える。
EPSが増えると想定できるのに、PERが変わらないなら、「割安」。
EPSの伸び以上にPERが上がっているなら、「割高」。
現時点のPERの数値だけを見て、割安とか割高などと言えるものではない、ってこと。
「・・・って、説明すればいい?」
ひろこが、くりんくりんの髪を揺らして、上目遣いをする。
「いいんじゃないかしら」とカレンが笑う。
「でも、これ、いきなり言っても、一年生わかる?」とあたしが言うと、
「だからPERは人気のあるなしを測る指標だって言っておけばいいんじゃないかしら」とカレン。
「PERの高い人気のある株の方が株価が上がることもよくあるから」
そう、PERの数値が高い株は人気があるから、株価もより高みを目指す。PERが低くて人気のない株は株価も低迷する。ということもありがちだ。
PERが低いから「割安だ」と思って飛びついても、いつまで経っても株価は上がらず、PERも低いままという「万年低PER株」は四季報見ててもザラにある。
一方で、ある程度PERが高くて「割高だ」と思って、様子見してる間に株価が伸び続ける場合も少なくはない。
PERを「割安、割高の指標だ」とばかり考えていると、こんなことになりかねない。
「とは言え、人気がいつまでも続くわけではないし」
単純にPERが高ければいいわけでは勿論なくって。
「人気も過ぎれば、下がるしかない」
EPSの伸びが15%ほどなのに、PERが100倍にもなってるような株は、いくら成長が続くとて、株価は調整するしかない。仮にPER25倍まで調整すれば、株価は4分の1まで下がることになる。
それでもまだEPSの伸びに比べて割高と判断されるだろうから、株価が反転するには時間を要するに違いない。
「株価だけ見て、これだけ下がったから安いとかって、言えないってことですよね」
メガネくんが言うと、「そうだよねえ」とひろこも頷いた。
もし仮にPERで割安か割高かを判断したいなら。
EPSの想定できる伸びに比べてPERが低ければ割安、高ければ割高
「ってことじゃないかしら」
とカレンは言った。そうして
「EPSの伸びが20%期待できるのにPERが10倍なら割安、EPSの伸びが15%しか期待できないのにPERが30倍なら割高、ぐらいの感覚でいるけど」
あたしはね、と付け加えた。
・4890 坪田ラボ
近視進行抑制、脳活性化などに強いバイオベンチャー。
カレン曰く「まだ上場したばかりの若い会社だけど」近視進行抑制ニーズは底知れぬ需要がある。
4月7日現在、株価は813円でEPSは7円ほどだから、PERは軽く100倍を超える。
「でも、割高かと言われると、可能性考えたら、そうとも言えないんじゃないかしら。目を良くしたい人、世界中にたくさんいるはずだから」
売上高はまだ12億円程度で、仮に会社の思惑通りうまく行くなら、10倍、いや100倍もそう難しいことではないだろう。
となれば、今のPER100倍も、決して割高とは言えない。
「とは言え、まだ上場したてだから、どう転ぶかはわからない。社員数も9人しかいない。今すぐ投資するのは早すぎるとは思うけど」
将来の大化け可能性があるから、チェックしてて損はないと思うとカレンは言った。
・6407 CKD
半導体製造措置、FA向け制御機器大手。
目先は、景気不安もあってか、株価は伸び悩んでいるものの、売上高、営業利益とも大幅に増えている。
EPSの伸びほどに株価は伸びておらず、PERは9倍ちょっとに過ぎない。
「景気循環株だから、目先の業績は芳しくないかもしれないけど、大きく株価が下がったら、買いじゃないかと思う」
あたしの説明に、カレンは「うん、いいわね、ここ」と答えた。
4月7日現在、あたしのポートフォリオ
・1357 日経平均ダブルインバース 1,000株 2021年12月8日購入 買値388円、現在337円、評価額337,000円、含み益▲51,000円
・2588 プレミアムウォーターホールディングス 100株 2022年5月2日購入 買値2,370円、現在2,470円、評価額247,000円、含み益10,000円
・3695 GMOリサーチ 200株 2022年8月3日等購入 買値3,695円、現在3,070円、評価額614,000円、含み益▲125,000円
・4380 Mマート 1,000株 2022年4月18日等購入 買値853円、現在1,349円、評価額1,349,000円、含み益496,000円
・4971 メック 100株 2022年10月20日購入 買値2,315円、現在2,414円、評価額241,400円、含み益9,900円
・6777 santec 100株 2022年5月2日購入 買値1,220円、現在2,370円、評価額237,000円、含み益115,000円
・7808 シー・エス・ランバー 100株 2022年4月18日購入 買値3,470円、現在3,000円、評価額300,000円、含み益▲47,000円
・現金 88,166円
・評価額計 3,413,566円、含み益413,566円 含み益率13.8%