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投資少女  作者: 雨後虹晴
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はじまりは2021年10月

 令和3年4月、あたしは高校生になった。

 新型コロナウィルスが世界中を大混乱に陥れる中、あれしちゃダメ、これしちゃダメの日常は、もてあます時間ばかり多くて。

 中学最後の部活をぐちゃぐちゃにされたあたしは、高校でも同じ経験をしたいと思わなかった。だから

「コロナ禍でも関係なく毎日毎日活動できる部活だよ〜」

 という部の宣伝チラシの一文につられて入部してしまったのだ。

「株式投資部」に。

 株式投資?

 なんじゃそれ?

 聞きなれない言葉に、少し怖いもの見たさもあって、勢いで入っていた。

 それからというもの、あたしは株式市場に毎日毎日どっぷりと浸かっている。


 10月1日、自民党総裁選挙に勝利した岸田文雄氏が党の要職人事を決めていた金曜日。

 台風で大荒れの天気と同様、日経平均株価は700円近くの下げに見まわれた。

「これで5日連続だよ」

 まあ、いいんだけどね。株式投資部は短期売買をしないことが前提だから。


 思えば、ひと月ほど前、株価は急騰劇を演じていた。

 菅首相が次の総裁選に立候補しないと言ったことがブースターになった。

 当時、コロナウィルスの感染者が毎日毎日どんどん増えていた。どんなに高熱が出ようが、呼吸困難になろうが、病院にも入れない人々が続出した。挙句の果てに、自宅で死ぬ人まで出る有様だった。

「これで株価も上がるな」

 昼休みの職員室で、ノートPCを見ながら顧問が発した一言を、あたしは鮮明に覚えている。

 株価が上がる?

 首相辞任のニュースは高校生のあたしにもビックリだったけど、総理大臣の交代が株価に関わるなんて想像もしなかった。果たして株価は急騰し、9月半ばには日経平均株価は3万円を越えた。なるほど、現状を打破してくれるかもしれないという期待が、世の中を明るくしたようにも見えた。

「株式はね、今じゃない、未来を買うんだ」

 顧問が常々口にすることとは、こういうことだったのかと、思ったりもした。

 けれど、次の総理が誰になるのか、おおよそ想像されてしまうと、株価は下がり続け、菅首相が辞めると言ったときの水準に戻ってしまった。中国で不動産バブルが弾けるかもとか、米国の金利上昇懸念とか、他にも下げる理由はいろいろあるんだけど。


 10月1日現在、あたしのポートフォリオ。

 ・3964 オークネット 200株 8月13日購入 買値1,779円、現在 2,341円、評価額468,200円、含み益112,400円

 ・7453 良品計画 200株 8月16日購入 買値2,301円、現在 2,443円、評価額488,600円、含み益28,400円

 ・9201 日本航空 200株 7月30日購入 買値2,250円、現在 2,671円、評価額534,200円、含み益84,200円

 ・現金 734,000円

 ・評価額計 2,225,000円、含み益225,000円、含み益率11.3%


 なんでこのポートフォリオになったのか。顧問のレクチャーを受けながら、あたしなりに考えたのだ。





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