Since2021-2
【どこからやり直したら
この結末を回避できるのだろう】
あれから僕はそればかりを考える。
たられば論は大嫌いなはずなのに、人形のような彼女の姿を目に写す度、あの時こうしていたら、あそこでこう言っていたらと、無数のたらればが浮かんでくるのだ。
彼女の指先に落ちた水滴を拭い、頭の中の邪念を無理矢理閉じ込めた僕は、いつものように彼女に話しかける。
「最近来れなくてごめんね、仕事を目一杯入れてもらったらさ、自分の時間まで削がれちゃって。でも、どうしても舞香不足で。ふふっ。寳井さんに無理言って2時間だけ時間作ってもらって。」
彼女の冷たい手を軽く揉みほぐしながら、僕は話を続ける。
「来月から遠くでね映画の撮りなんだ。流行りの"タイムリープもの"でさ、ヒロインの相手役。時間を遡ってバッドエンドをハッピーエンドにするみたいな‥‥‥そんな‥」
話している途中で、何とも言えない自虐的な笑みが零れた。
「僕たちも時間を遡れればいいのにね‥」
呟いた言葉にもちろん返答はない。
「時間を巻き戻してさ、今までしてきたこと1つ1つ、真逆の行動をするの‥‥そしたらさ、こんな‥こんな事にはならないんじゃないかなっ‥‥‥」
触れていた手にギュッと力が入った。
「僕たちにも違う未来があるんじゃないかなっ‥‥」
わかっているんだ。
僕は人一倍、現実主義者だから
そんな奇跡は空想だって。
わかってるんだ。
現実から目を背けたって、
君が目を覚ますわけじゃない。
「‥‥‥‥‥なんてね。冗談。ふふっ少し役作りしすぎたかな。迫真の演技だったでしょ?」
君の前では冷静を取り繕えなくて、
不安定になる無様な自分が大嫌いだ。




