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【いつでも死ねるんだよ】〜君の言葉〜

作者: 未羽

 

「…分かった来月の16日にしようか」


 そう言って彼氏との電話を切った。


 私の名前は柳瀬葵

今は22歳でフリーターというより仕事を辞めた。

来月の16日のために…何もかも捨てた。

どうでも良かった今後のことなんて。


 彼氏の晴翔とは三ヶ月前に出会った。

仕事が終わり公園で1人タバコを一本吸って帰るのが私の日課だったのだ

 そこに彼が現れたんだ

髪の毛は長く所々まばらに紫色で変な髪型だ

ピアスが無性に顔に何個も開いていた。


 「お姉さんよくここに来るんですか?」


 「…まあ仕事帰り一本だけ」


 彼はニコッと笑った

 「そうなんすね!」

「俺実は今死のうか迷ってたところなんすよ」

「でも最後にお姉さんみたいな可愛い人と話せて良かったっす!」

と彼は今の言葉の重みを感じさせないように言った


 なぜか私は彼がすごいと思った

私も家族もいなきゃ友達もろくにいない

恋人もいない何もない人間なんだ

私の人生なんて誰も見てくれないこれからも一緒に歩んでくれる人もいないんだ

そう思ったら【死】という言葉が頭をよぎった


「あのー…私も一緒に死にましょうか」


彼は目を丸くさせ驚いた様子だった


「いやー何を言ってるんすか笑」

「そんなこと言っちゃってーまたまたっ」


「私には何もないんです」

「なんの色もないこの人生にあきあきしてるんです」


彼は最初は驚いた様子だったが色々話していくうちに私と共に死ぬための計画を立てるようになった


そして最後の人生を共にするパートナーとして私達は恋人としてお互いを扱うようになった


 晴翔との時間はとても楽しかった

お互い体を委ねたり一緒にご飯を食べたりデートもした

普通の恋人同士に見えるであろう


だけど私達は一緒に死ぬんだこれから。


 「なぁ…これから俺ら一緒に死ぬんだよな」

 「うん…そうよ」

 「葵はさ怖くないの?死ぬの」


彼の顔がすごく真剣だった

私は不思議と胸が痛くなった

締め付けられるような痛みで目の奥も熱くなった


 「晴翔がいるから怖くなんかないよ」

 「そっか…そうだよな!俺もだ」

 「葵がいるから何も怖くない」


 私はその言葉を聞いた時


そうだよね…私達は幸せな恋人にはなれないんだ

だってこれから死ぬんだもん2人とも

そのために付き合ってるんだから


 なんでかなすごく悲しくて辛いんだ

晴翔と一緒にいる世界をこれからも歩きたい

これを言ったらどう思うかな晴翔は…

嫌いになるかな。絶望する?他にパートナーでも見つけるのかな


  なんか辛いな…


 付き合って二ヶ月ほど経った時電話が鳴った


 「もしもし?」

 「あー葵!ちょっと話したいことがあって」

 「なに?」

 「今まで俺らが死ぬ方法について話してきたけど

  もうそろそろ実行しないか」

 「え…」


 突然すぎることに私も言葉が出なかった


 「い…いつにするの」

 「んー、一ヶ月後?とか?」

 「一ヶ月後…そしたら16日かな」

 「そうだなちょうど一ヶ月後にしよう」


 もっとゆっくり時間をかけると思っていた

 晴翔は本気だったんだ

 本気で私と死ぬつもりなんだ


 「…分かった来月の16日にしようか」


そこで会話は終わり私達は一ヶ月後晴翔の家に集まることになった

お互い心の準備もあるであろう

この期間は色々考える時間にした


 そしてその日がやってきた

 晴翔に会うのは久しぶりだ緊張する


 「よう!葵!」

 「ひ、久しぶりだね」


 なんでそんな元気なんだ

 私達これさ…死ぬんだよ

 死に方だってろくにまとまってないのにさ

 なんでそんなあっけらかんとしているの晴翔…


 「晴翔は相変わらずいつもと変わらないね」

 「え、そうか?」

 「うん…私達これから死ぬのにさ…」


 あれ… 何かがポタポタとしたってくる


 あ…私なんでこんな時に

 覚悟が決まってないのかなまだ

 私の目からは涙が止まらなくなっていた


 「葵…」

 「ご、ごめんね」

 「私ったら決めたことなっ…」


 突然の事によく分からなかった

 晴翔の唇が柔らかく私の唇に触れている


 とても暖かくて甘い…


 「葵…今は死にたくないんだろ」

 「え…」


 晴翔はまたニコッと優しい目で私を見つめる


 「葵が覚悟が決まってないのはずっと分かってた。でも俺はそれで良かった」

 「どいうこと…」


 私は晴翔の言っていることが分からなかった


 「俺は葵と一緒にいるとき本当に楽しかった。今までにないくらい幸せだよ」

 

 晴翔の目は溶けそうなくらい優しい目だった


 「俺は葵と自分達の死ぬことについて話してるとき胸が痛かった…葵も同じように思ってくれていたらいいなってずっと思ってた」

 

 え…なんでそんなこと


 「まだ覚悟のない葵を見て俺は安心してたんだずっと。だけどこのまま時間が経つに連れて葵の気持ちが変わっていくのが怖かった…」

 

 晴翔…私も同じだよ

 なんも色もない私の世界にポッと明るい色を付けてくれたんだよ晴翔が


  そして晴翔は私を引き寄せ優しく抱きしめた


 「なあ葵…俺らはいつでも死ねるんだよ」

 「…うん」

 「だけど今は死ぬときじゃない。俺は葵がいる限り死にたくないんだ」

 「私も…晴翔と一緒に生きたい」


 私達はお互いに見つめ合った

 晴翔の目がキラキラしていた

 その目がすごく綺麗でまるで宝石のようなんだ


 【いつでも死ねる】なんだか変な言葉だけど

いつでも死ねるならもうちょっと生きてみよう


  私の世界が明るい色で染まりますように。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 最後まで読んでいただきありがとうございました。書き方がまだまだで変なところもありますが、評価していただけたら嬉しいです。

これからも宜しくお願い致します!

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