プロローグ
あらすじにて書きましたが、こちらの作品は加筆修正並びに添削修正がされた、別サイトで投稿されていたものです。
はじめまして!作者の天代狐珀と申します!
あらすじはかなり重たい感じがしますが、まぁ良しとします(笑)
どうぞよろしくお願いします!(゜_゜>)ピシッ!
自分探し。
最初の目的。
それはいつしか趣味へ成り変わる。
彼もその一人である。
さまざまな国へ大陸へ。
旅人とはそんなものである。
今日も彼は、世界のどこかへ無計画に進み続ける。
時にその旅はさまざまな理由をもってして終わりを告げる。
終わり方は人それぞれ……
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この世には、旅人と呼称される者がいる。
旅人は、職の当てがなく放浪し続ける。というのが一般常識である。
いま、馬車に乗り込んだ少年も旅人である。
「どちらまででしょうか?」
馬車を止め、馭者席から降りたベテランのオーラを漂わせる馭者が尋ねる。
「ラクララスまでで」
そう旅人の少年が答えると、馭者は身に着けていた小さなバッグを手に取り、料金表と地図を取り出す。
「ラクララスは馬車の通過が認められていないので、郊外のラクラの町で降ろさせてもらいますが、よろしいでしょうか?」
「わかりました。料金の方はどうなりますか?」
そう、少年が尋ねると馭者は少年へ料金表を見せる。
「ここからですと、金貨一枚ですね」
「わかりました。では前払いですよね?」
「おや。やはり旅人でもそれくらいの知識はおありで」
旅人への考え方が垣間見つつ、馭者は紙と羽ペンを取り出すと少年へ差し出す。
少年は金貨一枚を馭者へ手渡し、紙とペンを受け取る。
記入し終えた少年は紙とペンを馭者へ戻す。
「レクシアさん。わかりました。今回、馭者を担当するフレイ・コルナレイです」
コルナレイは客車の扉を開き、レクシアを中へ入れると、馭者席へ戻り手綱を握り、馬を走らせた。
「旅人の方よ。少し聞きたいことがあるのだが、いいかね?」
走り始めてから一時間ちょっとだろうか。コルナレイがレクシアへ尋ねる。
「旅をする理由とはなんなのかね?世間的には流れ者として歓迎されていないというのに」
その問いかけにレクシアはただ一言。
「趣味です」
と静かに笑いながら答えた。
「趣味ですか。楽しんでおられますか?」
「ええ。楽しくないなら、次の町へは繰り出しませんよ」
馭者は「いい旅を」と残し、その後しゃべることはなかった。
それから馬車は長いこと走り続け、朝方に乗ったはずが日はもう沈みかけていた。
「お待たせしました。目的地のラクララス国郊外のラクラの町です」
扉が開かれ、馭者が少年へ伝える。
「それと。業務上禁止ですが、銀貨四百枚。お返しいたします」
コルナレイは銀貨の詰まった布袋をレクシアへ手渡す。
「いいのですか?」
「ええ。私も長いことやっていますが、このような普通の旅人に会えたのはかなり久しぶりでね。通常料金で送らせてもらうよ」
「ありがとうございます」
「改めていい旅を。ご利用ありがとうございました」
深々と礼をしたコルナレイは馭者席へ戻り、来た道を戻っていった。
レクシアは町の方へ見ると、町の名前が彫られた門をくぐり中へ入っていった。
レクシアはホテルの一室を借り、安いながらも柔らかさのあるベッドに横たわり休んでいた。
ベッドの上で起き上がり、バッグを手にし、シーツの上へ中身を出していく。
中身を確認しつつ、きれいに並べ、何も問題ないことを確認するとバッグへ荷物を戻し、床へおろし、また横たわった。
目を閉じ「ふぅー」と一息つくと疲れが体の中を走った。
疲れを全身で感じたまま、レクシアは深い眠りへついた。
窓から差し込む日差しは明るく、外からは客を呼び込む声や人々の話し声が小さく聞こえた。
レクシアは体を起こすと、昨日のうちに吊るしていた服を手に取り、着替える。
鏡の前で、軽く服装などを確認すると、バッグを手にしホテルの廊下へと出る。
階段を下り、ロビーへ向かう。
チェックアウトなどを済ませ、ホテルの外へ出るとまだ外は朝方の寒さであった。
その寒さは息を吐くと白くなるほどであった。
町を抜け、ラクララス国への道を進んでいく。
進んでいると、森林へ入っていく。道は仮舗装の道から、砂利道へ変わっていた。
何かが通り過ぎるようなぶわっとした風が吹くと周りの木々が一斉にざわざわと揺らいだ。
それからしばらく土と砂利の混じる道を進み、半分を過ぎ、最も暗くじめっとした場所へ入った。
また、風がぶわっと吹いた。しかし、その風はレクシアに嫌な空気を感じさせた。
予想は的中し、木々の後ろから続々と盗賊が現れた。
時はすでに遅く、レクシアは囲まれてしまっていた。
「よおよお。誰の許可とってこんな道とおってんだい?嬢ちゃん」
「「誰の許可とっとんねん!!」」
頭らしき大男が声を上げると周りにいる部下も声を上げた。
威嚇されていながらレクシアは心の中でただ
「いや。男なんですけど!!」
そう叫んでいた。少し大男を見やる。
「なんだ?俺様とやりたいってのか?」
「「おうおうやんのかおらぁ!!」」
レクシアは軽く隠し持つ拳銃に手をかけた。
「けっ!!お前ら!あれを傷つけずにひっ捕らえろ!!」
「「うぉおおおおお!!」」
大男の大声に部下の十数名が一気にレクシアへ近づく。
手にかけていた拳銃を服から取り出すと、迫りくる盗賊の一人へ一発。
そのまま、地を蹴り出し別の盗賊へ膝蹴りを顎に当てたのち、布一枚ほどで迫り来ていた盗賊の一撃をよけ、着地とほぼ同時に、少し空中に浮く盗賊の腹へ左足の蹴り上げ、ノックバッグを与える。
蹴りあげた足を第二波攻撃に移っている盗賊数名に回し蹴りを逆回転で横一列に叩き込む。
そのまま、動けなくなる盗賊数名を横目に、拳銃を迫ってくる盗賊を無視し、大男へ向け額に一発ぶち込む。
大男の額に風穴が空いたことで、迫ってくる最後の一人の盗賊が視線を大男へ移る。
レクシアはそれを見逃さず、的確に左手にある拳銃を回し、グリップの角を側頭部へ入れる。
すると、最後の盗賊は静かに横に倒れた。見事な白目で。
少しの静寂をはさみ、レクシアは盗賊の所持品から金目のものを軽く拝借すると、ラクララスへ向けて再出発した。
森を抜けた時、レクシアは後ろから視線を感じ、銃を抜きながら振り向く。
引き金に指をかけようとしたとき、森の奥の方から何かが迫ってくる異様な気配を感じ取った。
森への道へ銃口を向け、サイトから目を凝らす。
迫る異様な何かは着実に近づいていた。
瞬間、少し奥の方の木に傷が入ったのが見えた。
瞬きを一つする。
そのレイコンマ何秒のうちにレクシアの目の前に砂埃が立つ。
「うっ!!」
砂埃に声を上げる。
「なんぞや。こなたの速度にもついてこれんのかいな」
そこには体の一部が獣のようになっている、伝説上の生物。いや。もはや生きているとは言えない。
『神獣』
レクシアの前には立っていた。
「声も出せんか?そなたよ。とりあえずこなたに銃を突きつけるのをやめてくれぬか?」
苦笑いでレクシアより十数センチ高い神獣は透き通るような声で話す。
「あ、はぁ。あの。なんのようですか?」
「そなたよ。こなたとともに旅をしてもらえぬか?人生の」
銃を下げ、ガンホルダーへ拳銃をしまいつつ、神獣にプロポーズされた。
「あの。よく意味が分からないんですが」
「うん?最近の若いのはこんな簡単な文もわからんのかえ?」
「いや違います。細かく言うと、あなたは僕に何がしたいのですか?」
「人生の旅の付き人。いや。仲間かの?」
違うそうじゃない。と思いつつ困惑するレクシア。
「そうだそうだ、そなたよ?これを受け取ってはくれぬか?」
そういい、神獣の彼女は着ている旅装束のポケットから小さな箱を取り出した。
箱を開け、彼女は中から銀色の鎖がつながり、輪っかになったものを取り出した。
その鎖のつながった装飾品には見たところ銀色に加工された小さな指にぴったりほどのものが輪っかの中に入っていた。
箱をポケットにしまい、神獣の彼女はそっとレクシアの伸びた髪に手を入れ、首に手をまわした。
レクシアの首後ろで何かをつけるような音がした。
すっと手を引き、神獣の彼女はレクシアへ微笑むと、自身の胸へ手を入れ、レクシアに付けられた装飾品と同じものを取り出す。
「どうや。そなたよ。こなたの自信作のネックレスと呼ばれる婚約者同士が身に着けるものを通した装飾品ぞ」
あまり状況が理解できないレクシアは、ただ黙って彼女の微笑む少し赤くなった顔を見るしかなった。
「なんぞや?文句でもあるのか?」
ずいっと顔をレクシアへ近づける彼女にハッとする。
「え。いや。とてもきれいなのですが、まず聞いていいですか?誰ですか?」
ひゅうっと風が吹く。
「手順間違えてしもうた。こなたの名前はシア。風を司る神獣の端くれぞ。神獣だからとゆーてそなたらとなんも変わりはせんぞ」
「あの、その耳と尻尾はどうにかならないのですか?」
「こなたにも得意不得意あるってもんよ」
「無理なんですね」
無表情に淡々とレクシアはシアと名乗る神獣へ受け答えする。
「こなたのことを嫌いになってしもうたか?」
涙ぐみながらレクシアの両手を手に取る。
「別にそういうわけではないのですが、まず。僕としてはなんも思わないのですが、結婚ってどういうことですか?」
「そのまんまの意味ぞ?そなたとこなたは夫婦であるぞ?」
首から下がるネックレスに付いた指輪を手に取りながら頭を整理する。
「その指輪。実はの?鉱石を司る神獣から緋色小金と呼ばれる金属を加工して作ってあるぞえ」
ドヤ顔をしながら胸を張る。シアの胸は思った以上に主張が激しく、大きかった。
そんなことにそこまで興味がないレクシアは、シアが妻だということにはなんも否定の意はなく。
とりあえず元々の目的であった旅を再開することを優先し、シアの服に付いた砂などをほろってあげた。
「!?なんぞや急に!」
「?シアさん。あなたは僕の妻ですよ?これくらい普通じゃないですか」
「そ、そなた。なかなか包容性が強いのお」
そのままレクシアはもともと自分のかぶっていた帽子をとり、シアへ被せる。
「しっぽは服の中にしまっておいて」
「もう…そなたは。ほんまに」
「なんですか?」
右手で帽子をひっぱり顔を隠すシアに可愛さを感じながらレクシアは左手を手に取り、旅の道へシアを連れて戻った。
「そなたよ?そなたは何歳ぞ?」
「十五ですけど?シアさんは神獣ですし三桁とかですか?」
「じゅ、十五!?こ、こなたはこんな小さな子を夫にとってしもうたんかえ?ま、それもええかの」
「緩いですね」
「神獣やからのお。あ、こなたは三世紀と二十五年ほどかの?」
「世紀…ですか。まあボクは歳は考えませんのでいいんですけど。シアさん。好きです。末永くよろしくお願いします」
出会ってから二時間ほど。言い方を変えると婚約して二時間である。
それからラクララスへ向け草原を歩いていた。
「え、ええ。ほや。こ、こ、こなたもそ、そなたのこと好きでゃ…」
ものすごく赤面したシアを見るとレクシアは微笑み、静かに面白がりながら恥ずかしさに揺れた。
「そ、そなたよ?少しいいかぞえ?」
「はい?」
「獣の姿になれば、ラクララスくらいなら十五分そこらで着くんやけど」
「シア。疲れた」
シアは胸からネックレスにつながった指輪を手にすると軽くぎゅっと握りしめる。
煙があたりへ立つと、そこには白銀の毛並みが目立つ大狼がいた。
レクシアは飛び乗るとシアの体にしっかりと抱きつく。
ぐんっと力が伝わったかと思うと辺りの景色が残像のように過ぎて行った。
シアが地を蹴るとレクシアの伸びた髪がたなびく。
シアの毛は柔らかく、布団のような柔らかさがあった。そしてシアからは暖かな体温が感じられた。
それは優しく、レクシアはいつしか寝てしまっていた。
第一幕の舞台はラクララス国。
同じ陸つながりの国であっても法律は全くの別物!
この国はどんな法律があり、規則があるのでしょうか!?
※ストーリー構成が他作品と酷似している可能性がございます。ですが、作者個人のオリジナルストーリーですので、一部の酷似は大目に見てくださると。