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第一話 プロローグ

「…は?」


周りの目、記憶上父と母が驚いて此方を向くくらいに俺はすっとんきょんな声を上げていた。しかし、それはしょうがないと思う。


俺、土方一(ひじかたはじめ)は高校二年生であったはずだ。だが、俺の今の容姿には腕は子供のように太くて細く、着ている服は中世ヨーロッパの貴族が着るような豪華な服装であった。そして何より周りの物が大きすぎた。身長170以上あったはずなのに周りの物はデカすぎた。


そして何より俺の記憶には明らかにこの世界、言うなれば異世界で過ごした記憶があった。どうやら記憶がかなり良かったらしく乳母と思われる人の母乳を飲むところや両親とともに食事をとるところ、様々な学問を学ぶところなどが記憶として思い出せた。


結論、俺はいつの間にかこの異世界に転生して過ごしていて今記憶が戻ったようだ。それも突然に。そりゃ、びっくりするだろう。例えるなら眠っていたのに起きたら子供で異世界にいた、と言う感じだ。しかし、俺はいつ死んだんだ?最後の記憶には休日の夜にゲームをしていたくらいしか思い出せないぞ。


「アベルよ。どうしたのだ?」


おっと、考えすぎていたようで父が俺を心配そうに見てくる。ここでいきなり変な行動はとれないな。記憶の通り行動しよう。


「いえ、何でもございません。いきなり変な声を上げてすいませんでした」


う~ん、自分で言っておいてかなり違和感があるな。これはいずれ直しておかないと両親がいらぬ内心配をしてしまうな。早く慣れないとな。


「そうか…、何かあったら私に言うのだぞ?」


どうやら父は何か不安でもあるのではないかと言っているが五歳の子供に何言っているんだろうな。前世合わせれば23だが。そう考えるといつの間にか俺は成人していたのか。成人したときには父と母が倒れるまで酒を飲ませると言っていたのが何故か懐かしく思えるぜ。


「それでは父様これで失礼します」


記憶には丁度父と母とお話を終えて自室に戻ろうとしていた時だったみたいだからな、その通りに行動しようと思う。しかし、記憶の中や今目に映る物を見る限り俺の両親はかなり裕福な家庭のようだ。最低でも貴族、最高王族だな。決して王直結の家計ではないだろう。それにしては両親が外に出ているし、次期国王の俺への警備が甘すぎる。そんなことをしなくても平和なのかそれとも地位が低いからそういう心配がないのか。どちらにせよ現状で知れる手がかりが少なすぎる。これからは知識を蓄えなければいけないな。


家の中はかなり広いが記憶のおかげで迷わずに自室につくことが出来た。取り合えず前世から見てもかなり上質でふかふかなベッドにダイブする。ベッドは俺の半分包み込み軽く俺をはじき返す。フム、いい弾力性を持っているな。やっていて全く飽きない。こういうところはこの体に引っ張られているようだな。


一通りベッドトランポリンを楽しんだ後ベッドの中に入り込み今後の事を考える。現状からこの世界の知識がない。だからさっきは異世界と言ったがそれすら怪しい。タイムスリップ的な何かとも考えられるからな。やっぱり父の書斎にでも行ってみるか?記憶には本がいっぱいあっても本人が興味がなかったから一回っきりになってしまっていたようだが。


…本当に今できる事は無いな。それも仕方ないっちゃ仕方がないが。今は大人しく記憶のある通りに過ごすのが一番いいかもな。そう言うわけだし寝るか。



















「父様、今日はありがとうございました」


俺が記憶を取り戻してからひと月が経った。その間俺は変わった様子を見せずに過ごしてきた。しいて言うなら好奇心が沸いている程度だ。それが最も怪しまれずに知ることが出来るからな。そんなわけで現在俺は父の書斎にてこの世界について書かれた本を読んでいた。大人向けと言うこともありかなり難しかったが大人の精神を持つ俺にとっては問題なく読むことが出来た。


まず、俺が住む大陸は四つの国に分かれており大陸の東側、ほぼ半分を収める帝国。その帝国と長年争い続ける王国、帝国と王国に挟まれつつも中立を保つ共和国。そして王国の北に位置する公国に分かれている。


挿絵(By みてみん)


わが父、オレール・バルバストルが収める領地は帝国と国境を接しておりほぼ大陸の中央に位置している。その為バルバストル家は辺境伯の地位と多大な領土を収めてきた。父もこの時代(・・・・)の人よりもやり手であるがその分保守的な考えの人だ。


そして何より驚いたのが奴隷の地位の低さだ。


奴隷は使い捨ての道具のように扱われ奴隷になったからには二度と解放される事は無くたいていの場合はその前に死ぬようだ。まったく、生産性がない。奴隷を扱うなら使い捨てをするのは間違っている。決して裏切らない奴隷なら様々な事に使えるというのに。俺が辺境伯領を継いだら奴隷制度の改革を行うか。


俺はこの世界でやりたいことが見つかった。前世から俺は勧善懲悪ものに疑問を抱いていた。何故悪が必ず滅びるのであろうか?善が必ず人を幸福にするわけではない。だからこそ俺はこの辺境伯領で悪徳領主を目指す。そして証明する。悪でも行い一つで繁栄できることを。


そう言うわけだが今は大人しくしているしかない。たかが五歳児に出来る事なんて限られているからな。この世界の成人、十五歳になるまでは準備だけ行うか。さて、まずは何をしようかな?


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