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悪意の審議


    登場人物


      紅蓮

      隼人

      渋沢

      聖

      叶南

      嘉希

















 誰もが自分の運命を決定する権利を持っている。

        ボブ・マーリー


















 第一条【悪意の審議】














 此処は、とある世界。ある時代のある場所で起こった出来事。

今日もまた、罪を償うべき罪人へ、『神』ではなく、『人』からの鉄槌が下される。

 人間の皮を被った悪魔が、地上で罪を犯す。

その罪を裁くのが、此処、『無天神裁判所』である。ここで最高裁判官を担っているのは、『紅蓮』という裁判長。赤茶色で長めの髪を、後ろで一つに縛っていて、目は若干死んでいるようにも見える。

 紅蓮が法廷を後にして、一番落ち着く部屋へと向かう。

 裁判所の一角、誰も行かないような薄暗い廊下を抜けると、そこには真新しい部屋がある。

裁判所自体は古くから建っているが、三年に一度、大掛かりな修復が行われるため、それほど古びた様子は無い。

「おい紅蓮、渋沢知らねえか?」

 紅蓮に声をかけてきた一人の男。

 黒髪の頭にターバンを巻き、右目には眼帯をしていてピアスもしている。シックな黒のシャツを着ていて、なにやらとても不機嫌そうな顔をしている。

 「部屋にいないのか」

 「いねえんだよ。ったく。俺に仕事押しつけやがって」

 ブツブツと文句を言っていたその隻眼の男と共に、隅の方にある部屋へと入って行った。

 「おかえりー紅蓮!それに隼人も!」

 そこには、黄土色で、ワックスか何かで立たせたような髪型をしていて、ヘアピンをつけた男がいた。

 「てめぇ渋沢!何処に隠れてやがった!」

 渋沢を見つけるなり、物凄い形相で追い掛けていった隼人を見ると、渋沢は顔を引き攣らせながら部屋中を走り回る。

 「・・・あまり暴れるな。部屋がちらかる」

 「てんめー!俺が仕事してやってるってのに、なんで昼寝なんかしてたんだよ!しかも俺のお気に入りの抱き枕使いやがって!」

 「ごめんってば!でも俺だって疲れてたんだよ!ちょっとくらい寝てもいいでしょ!?」

 「マジ許さねー。ちょっとここに正座になれ」

 「え?ここって、どこ?」

 「ここだ」

 「俺の見間違いじゃなければ、そこはコンロの上だよ?無理だよね?てか嫌だし」

 うがー、とまた隼人が渋沢を追いかけると、渋沢は今度、ゆっくりとコーヒーを淹れて飲もうとしていた紅蓮の後ろに隠れた。

 二人が部屋で追いかけっこをしている間に、コーヒー豆を挽いていたようだ。

 「紅蓮の後ろに隠れんじゃねーよ」

 「隼人も心が狭いよ!別にいいじゃん!隼人なんていつもは仕事もしないでのんびりしてるんだから!たまには俺の仕事手伝ったって、罰は当たらないよ!」

 「・・・・・・」

 コーヒーの入ったカップを手にするが、後ろでは渋沢が紅蓮の服を掴みながら、隼人から逃れようと小刻みに動くため、こぼれそうになる。

 カップをテーブルに置き、ふう、とため息をついて二人を説教しようとしたとき、部屋をノックする音が聞こえた。

 もう今日の仕事はないはずだが、なんだろうと思い、紅蓮は立ちあがる。

 名残惜しそうに紅蓮の背中を見ている渋沢だったが、気付いた時には、背後を隼人に取られてしまい、卍ガタメをされるのだった。

 一方、ノックが聞こえてきて、ドアを開けた紅蓮だったが、そこには誰もいなかった。

 「?」

 なんだろうと思いながらも、仕事でなかったことにホッとし、またソファに座る。

 「よーし。これくらいで許してやる」

 渋沢を解放した隼人は、冷蔵庫に向かってその中からプリンを取り出した。

 とはいっても、バケツに自分で作った、特大のものだが。

 「いててて・・・勘弁してよぉ・・・」

 ノックアウトされた渋沢は、ふと、目の前に誰かがいることに気付いた。

 「誰?」

 その言葉に気付き、紅蓮と隼人もそちらに目をやると、そこには今まではいなかったはずの男が一人いた。

 真っ黒な服は上半身も下半身も覆っていて、口元まで隠れている。

 灰色の髪は左目を隠しており、首が隠れるくらいの長さがあり、目は青い。

 「おい、お前どっから・・・」

 次の瞬間、男の背後から幾つもの黒い影が現れたかと思うと、それらが渋沢の身体の中へと入って行った。

 「!?」

 「やっべ」

 何か見えたような隼人だったが、黒い影が消えると、今度は男も姿を消してしまい、渋沢の様子がおかしくなった。

 「隼人、どういうことだ」

 隼人の目には、悪魔が映る。

 「あの男が悪魔を出して、それを渋沢に憑依させやがった!」

 「そんなことが出来るのか?」

 「知るかよ!悪魔が自分の意志で憑依することはあっても、まさか人間が憑依させられるなんて、初めて見たよ!」

 ゆっくりとその場に立つと、渋沢ははあ、はあ、と息を荒げていた。

 「(な、なんだ?)」

 自分の身に何が起こったか分からない渋沢は、ただただ侵されていく身体を、支えることしか出来なかった。

 ドクン、ドクンと心臓が今にも破裂しそうなくらいに波打っている。

 「(意識が・・・持っていかれそう)」

 そんな渋沢を見ている紅蓮と隼人は、渋沢の身体から、黒いものが出ているのが見えていた。

 普段から悪魔が見える隼人ならまだしも、紅蓮にまで見えるということは、きっと相当強い力で憑依させられているのだろう。

 徐々に渋沢の目つきが変わり、一歩一歩こちらに向かってくる。

 「おい、どうすんだよ、これ」

 「俺に聞くのか。お前の方が得意分野だろうが、隼人」

 「マジ?マジで言ってる?それ?俺が面倒なこと嫌いで、もっと言えば人のお守りなんてもっと嫌いなこと知ってて言ってる?」

 三人の中では、渋沢は一番背も低く、力もきっと弱いと思う。

 だが、悪魔が憑依したとなれば話は別だ。

 「う・・・うううう・・・」

 「やっべえな。目がイッちまってるよ」

 「うあああああああ!!!!!」

 すでに自分の思考など持っていなかった渋沢は、紅蓮に向かって行った。

 きっと、紅蓮にも油断があったのかもしれない。

 いつもならば、簡単に払いのけられるはずの渋沢が、今日は全く違っていたのだから。

 「・・・!」

 「紅蓮!」

 紅蓮に突っ込んでいったかと思うと、足を上手く蹴って、そのまま後ろに向かって背中から倒れていった。

 紅蓮に馬乗りになって跨った渋沢を何とかしようと、紅蓮も懸命に抵抗をする。

 「てめ!渋沢!」

 「ああああああああ!!!!」

 隼人も助っ人に入り、渋沢の身体を後ろから羽交い絞めし、渋沢を紅蓮から引き離そうとする。

 「くっそ!」

 だが、ひょいっといつも通りにはいかず、それどころか、渋沢は一度身体を仰け反らせたかと思うと、自分の身体に巻きついている隼人の腕を逆に掴み、勢いよく身体を前に倒して。

 その衝撃で、隼人は紅蓮と紅蓮に乗っかっている渋沢を通り越え、壁に激突してしまった。

 「いって・・・!マジいって!」

 「ううううあああああああ!!!!」

 「・・・ちっ」

 すると、渋沢は紅蓮の首に両手を置いた。

 グッと力を込めたかと思うと、じわじわと体重をかけていき、その手は次第に紅蓮の首を絞めて行く。

 「ぐっ・・・!」

 酸素が入ってこないからか、頭がクラクラとしてくる感覚に襲われる。

 「紅蓮!大丈夫か!?」

 簡単に投げられた隼人だが、このままやられっぱなしではいられない。

 すぐさままた紅蓮を助けようと、首を絞める力を緩めようとしない渋沢のもとに行き、どうにかこうにかして紅蓮から放そうとする。

 腰を持って力一杯引いてみたり、頭突きをしてみたり、腕をどかせようとしてみたり。

 だが、どれもこれもが上手くいかず、このままでは紅蓮が危ない。

 そんなとき、呑気に部屋に入ってきた男がいた。

 「おーい、ちょっと隼人に仕事を・・・って、お前ら何してんだ?」

 「叶南!渋沢が悪魔に憑依された!紅蓮があぶねぇんだ!手伝え!」

 「・・・えー、そうなの?」

 のんびりとした口調のまま、叶南が紅蓮の顔を覗いてみる。

 「あ、本当だ。やばいね、これ」

 「んな呑気なこと言ってる場合じゃねーだろ!なんとかしろ!」

 「まったく。じゃあ、止めるから、怒るなよ?」

 「は?」

 次の瞬間、叶南は躊躇なく、紅蓮の首を絞めている渋沢の腕を片方、蹴った。

 いや、蹴ったという表現では少々生温いかもしれない。

 確かに、隼人の耳には聞こえたのだから。

 ボキ、という、骨が折れた鈍い音が。

 それでもなお、紅蓮から下りようとしない渋沢は、残されたもう片方の腕だけで紅蓮の首を圧迫していた。

 「ここまでする心算はなかったけどな。許せよ、渋沢」

 そう言うと、叶南は今度、渋沢の喉仏を狙って蹴りを入れた。

 「ぐえっ・・!」

 「おいおいおいおいおいおいおい。大丈夫なのか?」

 「まあ、大丈夫だろ?渋沢じゃなかったら、もう片方の腕も折って、ついでに顔面崩壊させてるところだ」

 「・・・配慮してくれてありがたいね」

 紅蓮から離れた渋沢だが、それでもまだ、紅蓮たちに向かって来ようとした渋沢。

 「・・・おい、隼人」

 「なんだ?」

 「怒るなよ」

 「は?」

 叶南は、今までに見たこともないくらいに素早い動きで渋沢に近づく。

 それには渋沢も驚いていたようで、叶南に怯んだようにも見えた。

 そんなのお構いなしに、叶南は渋沢の懐に入ると、拳を入れる。

 叶南の服にしがみ付き、耐えようとしていた渋沢だったが、片方の腕は折られているし、叶南の手が顎に来たことによって、渋沢の身体は簡単に後ろに倒れた。

 そのまま叶南は渋沢の両腕を後ろに持って行き、手錠をかけた。

 どうして手錠なんて持っているのか、それは聞かない方がいいだろう。

 「おい叶南、なんで渋沢に手錠なんて・・」

 「悪魔に憑依された今の状態で、渋沢を野放しにするわけには行かねえだろ?ひとまず牢屋に入れる」

 「牢屋って・・・」

 「それより、紅蓮を医務室に連れて行け」

 「ああ。わかった」

 叶南に言われるままに、隼人は紅蓮を医務室まで連れて行った。

 だが、そのときにはもう意識不明の状態になっていて、しばらくは目を覚まさないだろうといわれた。

 隼人は叶南の部屋まで行くと、丁度部屋の中から数人の男たちが出て行くところだった。

 「・・・・・・」

 「あ、来たんだ。入ってよ」

 「叶南、その俺たち以外の時の口調、止めてくんね?なんか気持ち悪い」

 「で、紅蓮はどうだった?」

 意識不明であることも、しばらく入院することも伝えると、叶南は顎を触って「ふーん」とだけ言った。

 「ま、仕事は入れないように伝えたし、それはいいとして」

 「なあ」

 「ん?」

 「渋沢は、どうなるんだ?悪魔さえ出れば、あいつは解放されるんだろ?」

 叶南は大きな椅子で遊びながら天井を仰いでいた。

 それをただ見ていた隼人に、こう言った。

 「悪魔が出て行く保証はない。だから牢屋にぶち込んだんだ。悪魔さえ出て行けば、勿論釈放されるが、紅蓮に対しての行いに関しては、上の方でどうなるか、だな」

 「さっきの奴らか?」

 「ああ。いけ好かねえ顔してただろ?」

 ニッと笑いながら、叶南は頬杖をついて隼人に笑いかけた。

 そしてまるで雑用のように隼人を扱って、コーヒーを淹れさせると、隼人は乱暴にテーブルにカップを置いた。

 「で?」

 「で?ってなに」

 「渋沢に悪魔を憑依させた奴、見たのか?」

 ああ、と軽く答えると、隼人は叶南の部屋にある、自分たちの部屋にあるそれよりも大きいソファに腰かける。

 足を組んで肘を背もたれに乗せると、見たものを説明した。

 灰色の髪の男で、左目が隠れていたこと。

 全身黒で覆われていて、口元も見えなかったこと。

 これまでに見た悪魔とは違って、まるでその男の言う事を聞くかのようにして、渋沢に憑依したこと。

 とりあえず全部説明を終えると、叶南は山積みになっている資料ではなく、デスクの引き出しの一番下、鍵がついている引き出しを開けた。

 そしてそれを確認すると、ぽいっと放り投げた。

 「?」

 隼人は少し立ちあがってそれを手にし、またソファに腰掛ける。

 「おい、これって・・・」

 「そ。お前等が見た男」

 そこには、確かに隼人が見た男が載っていた。

 名前は嘉希というらしく、年齢不詳と書かれていた。

 「おい、どういうことだ?なんでお前がこいつの資料なんか・・・」

 「それはな、紅蓮が調べてたんだ」

 「紅蓮が?」

 紅蓮からそんな話を聞いたこともなく、隼人は少しだけ戸惑ってしまった。

 同じ部屋で寝泊まりしていたとはいえ、紅蓮のことを何もかも知っているわけではない。

 だからといって、紅蓮がそんなことをコソコソと調べるようにも見えなかったため、隼人は叶南に答えを求めるように見ていた。

 「嘉希は、悪魔使いなんだ」

 「悪魔使い?文献で昔読んだことはあるけど、何百年も前に滅んだはずじゃ・・・」

 「表向きはな。俺達もそう思ってたんだ。けど、ここ数年、人間たちだけでなく、ここの裁判官たちも悪魔に憑依されることが多なってな。最初は単に捕まってない悪魔によるものだと思われていたんだ」

 だが、悪魔に直接憑依をされた場合、記憶が多少なりとも残っているものだ。

 それなのに、憑依された人間も裁判官たちも、記憶が全くなかった。

 これは、人為的に憑依されたときに見られる症状であった。

 「そこで、紅蓮は内密に調べることになったんだ」

 悪魔使いは他人だけでなく、自分自身にも憑依させることが出来る。

 そして、吸い込んだ悪魔の生気を自分のものにして、若返っている。

 「悪魔じきじきに憑依されてちゃあ、単なる馬鹿で済むが、故意に憑依させ、判決に支障をきたすと困るからな。上も思い腰をあげてきたところだったんだ」

 「じゃあ、紅蓮はこいつについて調べてて、襲われた?」

 「ま、そう考えるのが妥当だろうな。わざわざ渋沢を操ったのも、殺せないと分かってのことだろうな」

 「渋沢の身体から、悪魔を取り出す方法は?」

 「・・・それ、俺に聞く?それはお前の方が得意だろ?」

 その叶南の言葉に、思わず隼人は眉間にシワを寄せた。

 「得意じゃねえんだよ。決して得意とかじゃねえんだよ。どいつもこいつも、俺が悪魔退治好きみたいに言うけどよ、俺だって好きでやってるわけじゃねえんだからな。そのへんちゃんと理解しておけよ」

 「はいはい。まあ、渋沢は聖に任せてあるけど、心配なら見に行けば?」

 「はあ!?」

 隼人と聖は仲が良いわけではない。

 正確に言うと、聖が一方的に隼人にライバル心を抱いているのだが、隼人はそれが面倒で仕方ない。

 だからといって、渋沢のことを放っておくことも出来ずにいると、叶南はよいこらしょ、と椅子から立ちあがった。

 「俺は紅蓮の見舞いにでも行ってくるよ。嘉希のこと、調べる心算なら協力するから、後でまた此処に来な」




 「はあ・・・。なんでこんなことに」

 隼人は、渋沢が捕まっている牢屋まで来ていた。

 こそっと物陰から覗いてみると、聖はどうやらもう帰ったようで、隼人は安心して渋沢のもとに向かう。

 「あああ!!ううううう!があああ!」

 「・・・・・・あーあ、すげぇな」

 憑依されたままの渋沢は、鎖に手足を縛られていた。

 余程抵抗したのだろうか、鎖と肌の間からは血が滲んでおり、痛々しい印象を受けるが、本人はきっと痛みさえ感じていないのだろう。

 すると、隼人の目に宿る悪魔たちが、愉しそうに笑いだした。

 ―ケケケケケ・・・。こいつぁ、驚いたな。見てみろよ。

 ―ああ、すごいな。

 ―このままだと、いずれは脳も心臓も喰い尽くされるぞ。

 ―それは面白えな。

 「笑い事じゃねぇんだよ。どうすりゃこの悪魔たちを追い出せるんだ?」

 神経を伝ってくる悪魔たちの声に問いかけると、徐々に目が熱くなるのを感じた。

 ―簡単なことさ。なあ?

 ―ああ。簡単だ。こいつに入った悪魔が、こいつを喰い尽くす前に、俺達が共食いをすりゃあいい。

 「共食い?」

 ―人間に操られてでしか人間に入り込めないような奴らなんざ、俺達で喰っちまえばいい。

 ―当然、喰ってる間はお前の目から出て行くことになるがな。

 ―なに、俺達がお前の前から逃げることは出来ないんだ。安心しろ。

 「今すぐ出来るのか?」

 ―時間がかかる。

 ―ああ。時間がかかる。

 「・・・なら、今度聖に見張りさせながらにする」

 ―ヒヒヒヒヒヒ・・・。薄情な奴だな。今すぐ助けてやればいいのに。

 ―それにあの男、俺達のこと見えないだろう。

 「いないよりマシだろ。あいつは野生の勘が働くからな」

 まだ牢屋の中で暴れている渋沢を横目で見た後、隼人は叶南の部屋にまた向かう。




 その頃、紅蓮の病室に来ていた叶南。

 首には包帯が巻かれており、そこからはみ出た痣は、なんとも生々しい。

 「あーあ。成程ね」

 意識が戻ってもおかしくはないのだが、なかなか戻らないのは、悪魔が邪魔をしているからのようだ。

 きっと今頃、脳内で悪魔とのやりとりが成されているのだろう。

 悪魔といっても残骸のようなものだから、そう長くは留まれない。

 ピッ、ピッ、と規則的な音が流れてくる部屋を出ると、叶南は廊下を歩きだした。

 「あれ、もう戻って来てたのか」

 「おう」

 部屋に戻ると、さっさと帰ってきていた隼人が、自分の部屋かのように寛いでいて、叶南が隠していた煎餅を貪っていた。

 そして叶南のデスクにあった資料を眺めては、ぽいぽいと自分の横に置いていた。

 初めて叶南に会ったときは、もうちょっとだけ可愛げがあったな、なんて思いながらも、叶南は自分の椅子に座る。

 「渋沢はどうだった?悪魔を追い払う方法、見つけたか?」

 「ああ。今度聖にでも頼む心算」

 「お、珍しい。お前が聖に頼み事なんてな。死んでも嫌だとか、言って無かったか?」

 「忘れた。適材適所ってあるだろ。それだよ。で、なんだこれ」

 「何って?」

 「きったねー字」

 叶南はぢ事は出来るのだが、どうも字を書くのが苦手らしい。

 それならば、パソコンなりそれ以外の機材を使えば良いのでは、と思うかもしれないが、叶南は機械が得意ではない。

 これまでの記録や書類も、全て手書きでやってきたのだ。

 それは紅蓮も同じことで、紅蓮の部屋にもパソコンなどの機械類は置いていない。

 「どれどれ・・・。読めるだろ、これくらい。ああ、そうか。俺の字が汚いとか言って、実は漢字が読めなかったのか!」

 「いやいや、漢字も間違ってるし、綴りも間違ってるからさ。辞書引けよ」

 「えー、隼人ってなんでそういうところ細かいわけ?それでよく紅蓮たちは嫌がらないよねー。隼人が頭良くて機転が効くのも分かってるけどさ、もうちょっとなんていうか、覚えようと思っても、覚えられない人の気持ちを分かった方が良いと思うよ」

 「ああ?ようはお前は歳ってことだろ?それに、別に俺は覚えようと思って覚えてるわけじゃねえんだよ。渋沢にも何度も言ったが、自然と覚えてるんだから仕方ねぇだろ?ったく本当に上層部の連中は俺の魅力に嫉妬して、そういう厭味を言うんだよな」

 「いや、誰もお前の魅力のことなんて話してねぇんだけど」

 いつもの調子で会話をしていた二人だが、疲れたのか、急に言い争いを止めてしまった。

 互いに椅子とソファに腰掛けると、同時にため息を吐いた。

 「で、これからどうすんだ?」

 「どうすんだって?」

 「紅蓮も渋沢もいないんじゃ、俺には何の情報も入ってこねぇだろ?となると、必然的に叶南から貰う事になる」

 「そうなの?」

 「その嘉希って奴に関して、もうちょっと詳しいことが知りたい。それから、そいつが関わってきた事件とか裁判についてもな。その辺、集められんだろ?」

 「まったく。人使いが荒いね。誰かさんにそっくりだ。まあいい。何か分かったら直接行くか、輪廻郵便で送るから」

 「さーんきゅ」

 そのまましばらく、隼人は叶南の部屋で寛いでいた。

 そもそも隼人は裁判官でもなければ、関係者というには程遠い。

 ならばなぜ追い出されないのかと言うと、悪魔を飼っている千石家の末裔だからだ。

 それだけではなく、最高裁判長の紅蓮たちの手伝いをしていたり、叶南の計らいもあって、ここにいられるのだ。

 何よりも、隼人を敵に回せば、悪魔に呪いをかけられる、そんな噂が立っているからかもしれない。

 「隼人、お前いつまでいんの?」

 「だってやることねぇし」

 「やることねえなら、俺の仕事手伝ってくれや。ほれ」

 ぽいっと投げられた資料は、隼人の足下に落ちた。

 それを気だるそうに拾うと、隼人はペラペラと捲りながら、何やら印を残していく。

 どうやら、字が間違っているところや、文面がおかしいところにチェックを入れているらしい。

 「あ」

 山積みになっていた仕事を半分ほど隼人がし終えた頃、叶南が何かを発見した。

 何だろうと思って叶南の方を見ていると、隼人を見てニヤリと笑った。

 こういう笑みを見せるとき、絶対に良いことは言わない叶南。

 今日は何を言われるのかと思っていると、思った通りのことを言われた。

 「隼人、嘉希の資料見つけたぞ」

 「さんきゅ・・・」

 手を伸ばした隼人だが、叶南は資料を持っていた手をひょいっと自分の方に戻し、ニヤニヤとする。

 「これが欲しけりゃ、俺の目の前にある仕事、全部終わらせろ」

 「それが人に物を頼む態度か」

 「そう硬いこと言うなよ」

 「ちっ」

 軽く舌打ちをしたのを了解ととらえ、叶南は隼人のもとに、それもテンポよく資料を運んで行った。

 今の叶南に効果音をつけるとするならば、ルンルン、あたりだろうか。

 ぐちゃぐちゃになっていたデスクの上は綺麗になり、仕事まで終わるとあって、叶南はとても機嫌が良かった。

 一方で、隼人は徹夜を強いられ、砂糖多めのカフェオレを飲みながら、一人黙々と仕事をするのだった。

 「おい、おい」

 「んー?」

 仕事が終わり、叶南に報告しようとしていた隼人だが、すでに叶南は気持ちよさそうにスヤスヤと寝ていた。

 デスクの上が片付いたからなのか、ベッドで寝ればいいのに、わざわざ椅子に座ったまま、伏した状態だった。

 だがその姿を見て、わー、可愛い寝顔、なんて思うはずもなく、隼人は寝ていないことへの苛立ちからか、それとも叶南個人に対する苛立ちからか、椅子をゲシゲシと蹴飛ばした。

 「ったく。相変わらず喧嘩っ早い奴だ」

 「人に仕事を押し付けといて、口の端から涎垂らしてる奴に言われてかねぇよ」

 「おっと失礼」

 じゅるる、と音を出しながら涎を拭う叶南は、隼人が終わらせた資料を見て、うんうんと偉そうに頷いた。

 「おつかれさん。じゃあ、帰っていいぞ」

 「じゃなくて、資料よこせ」

 「資料?ああ、これね」

 本当に忘れていたのか、それとも惚けようとしていたのか。

 叶南は、嘉希に関する事件などの資料をまとめたものを、隼人に手渡した。

 それを受け取ると、隼人は大きな欠伸をしながら、叶南の部屋を出て行った。

 「・・・やれやれ」




 がちゃ・・・

 いつもなら、ここで渋沢あたりが、五月蠅いくらいにお出迎えしたり、紅蓮がソファに座ってコーヒーを飲んでいるのだが、今日は誰もいない。

 いつもなら狭く感じる部屋が、今日はなんだか広く感じる。

 一旦資料をテーブルの上に無造作に置くと、隼人は冷蔵庫へと向かった。

 冷蔵庫に入っていたコーラを取り出すと、その横の棚にストックしてあるお菓子を何袋か持ってテーブルに戻る。

 「さてと」

 コーラを一口飲んだところで、叶南に貸してもらった資料に目を通す。

 嘉希は悪魔使いの家系の血筋を引いており、現在確認されている悪魔使いは、嘉希のみ。

 とはいっても、悪魔使いは数百年前に滅んだとされていたが、数年前、悪魔使いはまだ生きているのではという推測が飛び交った。

 それはなぜかというと、叶南が言っていたように、悪魔に憑依された人間の多さや、隼人たちがいる天界においても、何人もの裁判官たちが悪魔に憑依されていたからだ。

 単に十字架を持っていなくて憑依されたと思われていたが、それは違った。

 みな十字架をつけてはいたし、悪魔に対する知識も持っている者たちだった。

 捕まっていた悪魔が逃げ出したとも考えたが、逃げ出した記録もなく、数も間違っていなかった。

 とある悪魔に憑依された者を縛り、悪魔に聞いたみたところ、この世にはまだ自分達を操る存在がいるのだと言った。

 それはつまり悪魔使いのことであって、ここでようやく、悪魔使いは滅んではいなかったことが判明したのだ。

 ただし、それを公にしてしまうと色々と面倒だということで、上層部しか知らされていない機密事項となっていたようだ。

 「嘉希一度だけ捕まったことがある・・・?」

 捕まったのならば、どうして今野放しにされているのか。

 そこに疑問を持った隼人だが、その答えは今のところ見つからない。

 「上層部の奴らが、一斉に悪魔に憑依された?んな馬鹿な」

 隼人ほどとはいかなくても、そこは上層部。

 悪魔にそう簡単には憑依されないように訓練もしているはずだ。

 資料をじーっと見ていると、目がチカチカしてきて、頭もぼーっとしてきた。

 そういえば、寝てなかったんだと思い出すと、隼人は資料をテーブルに放って、バンダナを目元に落とすとソファに横になった。

 眠りについた隼人は、昔の夢を見ていた。

 自分が忌み嫌われていた頃の夢。

 母親だけが自分のことを愛してくれて、他の連中はただ自分のことだけを考えていた。

 千石家として産まれた隼人は、なぜか赤い目を持っていなかった。

 産まれてすぐに移植された赤い目は、悪魔が見えた。

 神経というのか、臓器というのか、脳に直接というのは少し違うような。

 とにかく、毎日吐き気に襲われていた。

 慣れてきた頃になると、千石家の末裔として、赤い目を存分に発揮してくれと、期待されるようになった。

 決して、隼人を認める為の期待ではないが。

 法律のことを学んで、学校での授業はとにかくつまらなくて、先生たちの教え方が下手くそで、本を読んだ方が早いと分かった。

 成績も常にトップで、誰も敵ではなかった。

 そんななか、変な連中に声をかけられるようになった。

 他愛もないが、つまらなくなくなった。

 千石家も何も関係ない、そんな繋がりを持てることが、何よりも嬉しいことだったのかもしれない。

 「お前、千石家の生き残りか?」

 「ああ?」

 いつだったか、隼人のことを聞いた、ガラが悪い連中ではなく、どちらかというと優等生と言われる男たちがいた。

 常に隼人が成績トップなのが気に入らないのか、裏庭のベンチに寝転がり、のんびりしていた隼人を取り囲んだ。

 「(めんどくせぇなぁ)」

 こうして絡まれることはなくはなかったし、隼人は適当にあしらおうとしていた。

 だが、その男たちは一斉に隼人に手を伸ばしてきて、口や鼻を塞いだり、手足を拘束してきたのだ。

 嫌がらせどころの話ではなく、隼人はなんとか抵抗を試みる。

 優等生だらけで、個々の力はないにしても、数人で一気に、しかも寝ている状態で身体を押さえつけられると、こうも身体が動かないのかと分かった。

 「生意気なんだよ!千石家ってだけで、どうせ先生たちに賄賂でも渡して一番になってるんだろ!」

 「こんなチャラチャラした奴が、俺達よりも優秀なはずない!」

 「お前さえいなければ、俺達が上位を独占出来るんだ!」

 ギロッと睨んでみると、それだけで男たちは怯む癖に、なかなか力を緩めようとしない。

 「・・・!」

 口と鼻元には、水で濡らしたハンカチを押し付けられたため、指の隙間から空気を吸い込むことも出来なくなった。

 ああ、これやばいな、と思っていたとき。

 「あーあー。優等生軍団のいじめか。なんとも陰険なもんだな」

 「誰だ・・!?」

 そこにいたのは、裏庭で隼人と同じようにサボろうとしていたのか、それともたまたま通りかかったのか、はたまたいじめを発見して駆けつけてきてくれたのか。

 「げっ・・・。叶南裁判長・・・」

 「いや、この前支部長に転任したって聞いたぞ」

 そんな男たちの言葉が聞こえると、男たちはパッと手を放した。

 上半身を起こして、口に当たっているハンカチを勢いよく地面に落とすと、隼人はニコニコしているその叶南という男を見る。

 「君たち、そんなことしてるのがバレたら、きっと退学だろうね?」

 「い、いえ、これは・・・」

 「ちょ、ちょっと遊んでたっていうか・・。コミュニケーションをとってたんです!」

 「そうなんだ?」

 明らかにおかしい男たちの言い分に、叶南は首を少し傾げて尋ねる。

 男たちはブンブンと頭を上下に動かして、自分達のしていたことを咎められないようにと、誤魔化そうとしていた。

 だが、叶南から返ってきた言葉は、きっと男たちが想像していたものとは違った。

 「見苦しいね」

 「へ・・・?」

 変わらず笑顔のままの叶南なのだが、どうも目の奥が笑っていない。

 目は笑っていない、というのは、まさしくこういうことを言うのだろう。

 「君たちの処分は俺が決めることじゃないけど、このことはしっかりと報告させてもらうよ」

 「そ、そんな・・・!」

 「確かに才能に関してはどうしようもないけど、自分達の努力不足を他人のせいにするのは問題外だよね。そもそも、弁護士や検事、裁判長になろうとしている奴が、こんな分別もつかない行動なんてとっていいのかな?君たちは向いてなかったんだよ。わかったらとっとと部屋の片づけでもしておくといい」

 まだ何か言い返そうとしていた男たちだが、叶南の気迫に押され、グッと言葉を飲みこんでしまった。

 そして黙ってその場から立ち去って行く。

 残された隼人は、初めてみるだろうその男のことを観察していた。

 隼人の視線に気づくと、叶南は隼人を見てニコッと笑う。

 「君が噂の隼人くんだね」

 「・・・はあ」

 「きっとこの先、まだ君とは長い付き合いになりそうだから、呼び捨てにしてもいいかな?ていうか、俺の方が歳も地位も上だから、構わないよね?」

 「・・・・・・はあ」

 なんだこいつ。それが正直な第一印象だった。

 学校に通っている間は、それ以外叶南と接触することはなかったが、後に聞いた。

 叶南とは、学校設立時からいる重鎮の一人で、生徒にも先生にも、というか、全ての人に対して厳しいと。

 先生をやっていた時期があったわけではないのだが、監督官としていたようだ。

 叶南を恨んだ人によって、不正の濡れ衣を着せられたことがあるらしいが、自分で犯人を見つけ、証拠も見つけ、公にしたとか。

 普段は、他人を叱る時は一対一なのだが、どうもこの時は珍しくイライラしていたようで、自分の無実を証明するためにも、公表することを選んだようだ。

 隼人の面倒を一番良くみてくれていた、年寄りの先生がいた。

 その人は隼人が卒業するときに亡くなってしまったが。

 その人が言うには、叶南は信用できるとか。

 「あの変な奴だろ?」

 「あやつの正義の天秤は、常に平衡を保っておる。何があっても揺るがぬ。良いか、隼人。お前も傾くことのない天秤を、胸の内に持つのじゃぞ」

 「・・・何それ、哲学か?」

 「ホッホッホ。まあ、そんなところじゃ」

 あれから長い年月が経ったものだ。

 走馬灯のように流れる自分の過去に、隼人はフッと小さく笑った。




 「ん・・・」

 なんだか、頭が痛い気がする。

 誰かに蹴られているような、そうじゃないような。

 ハリセンか何かで叩かれているような、そうじゃないような。

 いや、これは確実に何かが故意的に頭に当たっている。

 「あ、起きたー」

 「起きたー、じゃねえだろ。何しやがんだてめぇ・・・」

 バンダナを頭の定位置に戻すとき見えたのは、先程まで夢に出てきていた人物だった。

 時計を見ると、まだ三時間ほどしか寝ていなかったことに気付く。

 隼人は上半身を起こしてくるッと周り、ソファに座り直すと、すっかり炭酸が抜けてしまったであろうコーラを飲む。

 「お前の仕事のせいでこっちは寝不足なんだぞ」

 「折角嘉希の調査の手助けをしてあげようと、ここまで必死になって走ってきたのにー。酷いー」

 首をコキコキ鳴らしながら、軽く叶南を睨んでみるが、全くといって良いほどに効果がない。

 「聖、今日と明日ならあいてるってよ」

 これで、渋沢に取り憑いている悪魔たちを、なんとか身体から追い出すことが出来る。

 「てか、聖必要?隼人一人で出来ねぇの?」

 叶南は、紅蓮たちといると気を抜くのか、こうして素の口調に戻るときがある。

 「渋沢の身体の中にいる悪魔の数を考えると、最低でも半日はかかる。俺の中の悪魔が渋沢の悪魔を喰ったとして、そのまま俺の中に戻るとなると、俺は今以上に悪魔を飼うことになる。しかも、契約されてない悪魔までな。そうなると色々めんどい」

 「ああ、それでな。喰った悪魔は聖に連れていってもらうってことか」

 「そーそー。それに、たまには聖も登場させてやんねぇと、可哀そうだろ?拗ねるかもしんねぇし」

 最後は冗談だが、聖は適任だった。

 聖は学生時代、トップの隼人から放されてはいたが、二番の成績だった。

 だからなのか、隼人には頭があがらないところもあり、もともと面倒見も良いのだ。

 隼人の方も、これ以上身体に悪魔を取り入れることはなんとしても避けたかった。

 身体の方だけでなく、精神的にも持っていかれる可能性が高くなるからだ。

 それになんといっても、飼うだけで身も心もボロボロになり、全てが削られていく感覚に陥るのだ。

 「聖がいない間の門番いるのか?」

 「ああ。こっちで準備したからな」

 ああ、そうだ、と何か思い出したように、叶南は手に持っていた袋テーブルに乗せた。

 覗いてみると、その中には菓子パンや弁当、カップケーキや寿司が入っていた。

 「お!どうしたんだよ、これ」

 一瞬にして目を輝かせた隼人は、袋を開けて次々にテーブルの上に並べ、食べ始めた。

 甘エビの寿司が好きな隼人は、一番先にそれを口にするが、ワサビの存在を忘れていて、食べた途端、ツーンと辛さが鼻を伝う。

 鼻の上の方を摘まんで、咀嚼も一旦止め、辛さに耐えるかのようにテーブルをバンバンと叩いていると、叶南に牛乳を渡された。

 なんで牛乳?とも思ったが、熱いお茶をさしだされるよりマシだと思い、口に含んだ。

 「俺の昼飯なんだけど」

 カップケーキを一つとって口にした叶南の言葉に、隼人は聞いているのかいないのか、適当に相槌を打った。

 カップケーキを手に持ったまま、隼人ががっついている寿司にもう片方の手を伸ばし、トロをゲットした。

 しばらく、二人は黙々と食べていた。

 途中で叶南がテレビをつけたが、大して面白いものがなく、何かの番組をBGM代わりに流してただけ。

 「そういやさ」

 「ん?」

 口に沢山ものを詰め込みながらも、隼人が叶南に話しかける。

 片方の手で食べ物を掴み口に運びながらも、もう片方の手で器用にテーブルの上にあったはずの資料を探す。

 そしてそれを叶南の顔面に突き刺すようにして見せる。

 「これについて、話を聞きたいんだけど?当時嘉希の裁判の裁判長を務めた、叶南裁判長さん?」

 「・・・・・・」

 カップケーキを三個平らげたところで、叶南はようやく口を開いた。

 「話せば、長くなる」



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