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第19話

同日 18時28分 日本 東京都 福生市 横田基地 ICTO格納庫前


昼間、あれだけ天気が良かったにも関わらず、天気がどんどん悪くなり、雨が降ってきた。護たちを乗せたMH-60Mは巡航速度で飛行し、横田基地でICTOが専用に使用している滑走路脇のヘリパッドに着陸し、格納庫の前までタキシングした。MH-60Mが停止し、ローターがまだ停止していない中降りた護たちに人影が近づいてきた。


「お疲れさん!首尾はどうだ!?」


「よかったとは言えないな!例の映像の連中ほどの手練れじゃない!」


「それより何故ここにいるウルズ5!?」


近づいてた人物は中国はゴビ砂漠での作戦に参加しているはずのウルズ5、山田(やまだ)俊一(しゅんいち)だった。彼はマルチカムBlackの戦闘服を身に纏い、ベースボールキャップを被り、ESS CROSSBOWをかけていた。


「ゴビ砂漠での作戦が終わった後前方(F)作戦(O)基地(B)として使わせて貰っていた空港からC-17で直接飛んできた!パース1とウルズ1は事後処理があるからと残ったが、それ以外のメンバーは大体がこっちに来てる!」


原型機のUH-60MのT700-GE-701Dから完全なデジタルエンジン制御となり、T700-701Cよりも出力が最大で30%向上したT706-GE-700へ変更されたMH-60Mのローターの回転により発生するダウンウォッシュが吹き付ける中、山田は護とアダムスに怒鳴るように告げた。


「パース2からそのまま第1状況説明室(ブリーフィングルーム)に来てくれと伝言だ!」


護たちはヘルメットとガスマスクを脱ぎ、各々の役割の装備とプレートキャリアを降ろし、メインアームとサイドアームの薬室をクリアし、ファーストラインと呼ばれる必要最低限の装備を身に着けたまま第1状況説明室ブリーフィングルームに入った。そこには第2特殊作戦グループの山岳隊、舟艇隊、潜水隊から各6名、情報隊、電子隊から各2名の隊員とウルズナンバーを持つ8名の隊員がいた。雨に流され、薄まっていたが午前中に作戦に参加した彼らと横浜に出動した隊員たちからは硝煙のにおいが、後者の隊員たちの中でも希のように応急手当を行った者からは血のにおいがしていた。


 第1状況説明室ブリーフィングルームでお互いに話していた隊員たちは伝言を伝えに行ったウルズ5を先頭に護たちが入ってきたのに気がつくと、彼らを労った。


「お疲れ様。そっちも大変だったみたいだな」


「その様子だとディックの方も大変だったみたいですね?」


「攻撃開始前に目標に近づいて特殊(S)偵察(R)を行ったら、そこに人民解放軍の将校が居たんだ。動き方から直ぐに偽者ではない事は分かったからパース1に連絡を入れたら予想通り“生け捕り”にしてくれと言われた。確保したのはいいが前方F作戦O基地Bに戻ったら情報部の人間が来ていた。俺たちはそこで撤退したが、機内で現地に残ってる2人から聞いた話では彼は情報部を通じて彼は中国側に引き渡されたそうだ」


「え!?あの情報部が簡単に身柄を引き渡すなんて珍しいですね」


「勿論、()()()()()()だろうけどな。向こうさんは俺たちが事前通告を行わずに中国国内で作戦を行った事に腹を立ててるらしい。自国内にテロリストの養成キャンプが存在しているのにほったらかしにしてた上に、現役の将校がそのキャンプに居たのにだぞ・・・」


護がアンダーソンに対して苦笑を返したところで第1状況説明室ブリーフィングルームにパース2ことアブラハム・アッパズが入室してきた。最初に気がついた護は立ち上がりながら号令をかけようとした所でアッパズに手で制された。


「そのままでいい。皆疲れているところ悪いが、もう一仕事してもらう」


少しやわらかくなっていた場がピリっと引き締まった。アッパズはそんな室内を見回してから話し始めた。


「45分程前、日本国総理大臣官邸に連絡が入った。”東京湾アクアラインの海ほたるPAを占拠した。その証拠をこれから見せる”と、そして30分前に海ほたるから約3海里離れた所を航行していた貨物船が攻撃を受けた。周囲に居た船舶からはミサイルのようなものが飛んできたという証言が挙がっている。他にも・・・」


パース2からの説明を聞き始め、徐々に表情が険しくなっていく面々の中、基地要員の1人が入室し、アッパズにメモを手渡した。アッパズはそれを見てから言った。


「今、パース1から連絡が来た。午前中にディックたちが行った作戦のキャンプで養成された連中が横浜で護たちが交戦した連中の可能性が高いことが分かった。それともう1つ。攻撃に使用されたミサイルだが、確認が取れた。対戦車ミサイル(ATM)だ。7月の下旬に護たちが拘束したマリウス・リストが販売したものの可能性がある。犯人グループについては今、警察庁が海ほたるPAの防犯カメラとLシステム、オービスの映像を顔認証システムで検索かけている。追加の情報が入り次第伝える。総員、装備A1及び装備CDを用意して待機。セイバーチームはシャワーの使用を許可する。ウルズ2、3、5、7は一緒に来てくれ。ウルズ4、頼んだ」


隊員たちがそれぞれ装備を準備し始める中、護とアンダーソン、山田、吉田の4人はアッパズについて来るように言われ、彼に続いて第1状況説明室ブリーフィングルームを出て行った。



同日 18時49分 日本 東京都 福生市 横田基地 地下 作戦指揮所


入り口で立哨している2人の隊員が5名に敬礼し、それに答礼する。アッパズがカードキーをタッチし、静脈認証をクリアして再び入った作戦指揮所は先ほどよりも喧騒に包まれていた。


警察庁(NPA)から連絡。千葉県警及び神奈川県警が木更津JCTと浮島JCTを封鎖。通行止め完了!」


海上保安庁(JCG)に海上での規制線の形成状況を確認しろ!」


「横浜から戻ったプレデター2は燃料補給中。リーパー9が現場に急行中!」


海上保安庁(JCG)特殊警備隊(SST)が大阪特殊警備基地より横浜防災基地まで移動開始!」


自衛隊(JSDF)が非常呼集及びデフコン3を宣言!」


この時点で警察は東京湾アクアラインに繋がる全ての道を封鎖し、海上保安庁と連携し、東京湾に規制線を築いた。千葉県の富津岬から対岸の神奈川県横浜市金沢区、東京都の若洲海浜公園から千葉県の姉崎火力発電所、東京都の羽田空港から千葉県の浦安市役所。この3つにから内側では民間船舶は一切航行できなかった。更に半径20キロ圏内は民間航空機の侵入も規制した。


 護たちは前段と後段の間に設けられたスペースにある長方形の形をした机の周りに集まった。その机の表面は有機ELディスプレイが設置されていて、そこには海ほたるPAを中心にした地図が表示されていた。


「情報部の光学偵察衛星が撮影した赤外線画像がそろそろ送られてくるはずだ。だが、この天気じゃ光学式でどこまで「パース2、届きました。今そちらに送ります」あぁ、頼む」


幸か不幸か、情報部が所有する光学偵察衛星の1基が日本上空を15分程前に通過した。高度150km程の低軌道に降りて撮影した解像度数cmの赤外線画像が送信されてきて既に表示されていた地図と同縮尺で代わりに表示された。


「何とか分かるな。えっとーー」


「定石どおりだ。屋上には狙撃手・・・これとこれはおそらく重機関銃と自動擲弾発射器ーー」


「このケースにはおそらく携帯式防空ミサイルシステム、MANPADSが入っているとーー」


「それでこいつが問題のスパイクの発射器だ。これだけの物をどこからーー」


「確認できる数は屋外だけで20人は居るぞ。屋内に何人居ることやら」


「パース2。我々で作戦(オペレーション)を行うなら、今ここにいる戦闘要員(オペレーター)だけでは数が足りませんね」


「流石に日本が我々に全てを押し付け・・・いや、現場にはいなくてもどこかしらにはいるかもしれないな。我々に対するアクアラインの件も出動があると考えよう。少なからず、人員と武器に関しては我々も追っていたから関係が無い訳ではない」


アッパズ達が話していると個々の端末に向かっていた支援要員が言った。


「神奈川県知事より治安出動の要請!」


「防衛大臣が関東近郊の自衛隊に対し、治安出動待機命令を発令しました!」


その隊員に周囲の視線が集まる中でアッパズは聞き返した。


「もう一度、防衛省に対し確認取れ。災害派遣での出動待機ではなく治安出動待機命令なのか!?と」


(神奈川は横浜の件がある。既に県の公安委員会と協議には入っていたはずだが、問題は千葉県側と政府側だろう)


「ウルズ5、7。もしこの件をSFGpとSBUが対応に当たる事になった場合そちらとの調整は君たちに頼む」


「「了解!」」


「・・・機関銃とグレネードランチャー、ATMとMANPADSの存在が確認できている。普通ならこれは法執行機関の対応できるものでは無いと判断して軍に対応させるものだが、どうすると思う?」


「日本政府は一刻も早くこの件を片付けたいはずです。東京湾はご存知の通り世界でも有数の海上交通過密海域です。湾内の港湾で取り扱う貨物は全国の港湾で取り扱うコンテナ貨物の約4割を占め、原油は約3割、液化天然ガスLNGは約5割を占めてします。それら貨物を輸出入するための船舶の出入りが不可能になっているこの状況が長く続けば日本経済に深刻な影響を及ぼす為です」


「これが平日なら民間企業の株は飛ぶように売り注文が殺到しているでしょう。国内の景気がまだまだ安定していない中でこの打撃は相当のものだったはずです。出来る事なら取引開始前までには解決したいと」


「つまり、治安出動はありえると?」


「既に神奈川県からは要請が出ていますし、今の総理は6月の際には決断されました。今回も自衛隊へ連絡がいく可能性は高いと私は考えます。ただ、今回の場合も一部からは猛反対されるとも思います」


(それにしても早すぎる気がするが・・・)


アッパズに対して共に自衛隊出身である山田と吉田は自らの考えを話していると、護が特別警備隊(SBU)出身である吉田を呼んだ。


「カズ、ちょっと」


「どうした?」


「この写真のこの部分」


「北西側のテトラポッド群のところか・・・これは」


「どう思う?」


「この画像じゃ俺も断定は出来ない。中佐、情報部の画像分析官にこの画像を細かく調べてもらって下さい」


「何があった?」


「北西側のテトラポッド群のところに妙なものが。もし私と護の予想が当たっているなら、法執行機関に解決は難しいと思います」


「分かった。至急要請する」


アッパズは後段のスペースへ移動し、電話を掛け始めた。2人に対し、山田が質問した。


「妙なものって?」


「海ほたるPAにいるグループは相当訓練された連中だ。フロッグマンがいるかもしれない」


「この天候の海中で活動出来るのか?」


「SBUがシーステイト4の波高があっても活動出来るんだ。不可能じゃない」


「海自が出張ってくる事になるな」


「あぁ。それに水中を監視できる資器材を海保は持ってない。なら持っているところが出るしかない」


「はてさて、日本政府はどんな判断を下すでしょうね」


3人は目の前の大型スクリーンの一角、東京の永田町が表示されている所を見た。



同日 22時13分 日本 東京都 某所 ICTO情報部 東京支局


『では先ほど、行われた記者会見の様子をもう一度振り返りましょう』


護たちが話していた頃から4時間あまりが経過していた。あの後、日本政府はそれまで行っていた報道規制を解除すると共に戦後初の治安出動を決定。これを発表した。


 今、東京の某所にある情報部の東京支局トップである市川(いちかわ)義信(よしのぶ)は自身に与えられた支局長室の壁に埋め込まれている60インチのモニターに映し出されている特番を見ていた。その番組の中では丁度、町の人々のインタビューの様子が映し出されていた。


「何年経過しようとも変わらないなこの国は・・・それは果たして良い事かそれとも・・・」


約7年前、世界各地で行われた同時多発テロは国際テロが起きてもおかしくない時代に突入しているにも関わらず、関心が薄い日本でも発生した。心のどこかで“日本で起きる事は無いだろう”と思ってしまっていたのだと思う。東京がターゲットにされたこのテロではアンホ爆薬による爆破とテロ実行犯たちによる襲撃からなる。装備、錬度共に先進国の軍隊と変わらなかった彼らは都内の観光名所として知られているいくつかの場所でテロを起こした。


 この時も自衛隊の治安出動が検討された。しかし、世論と法律の問題から実現しなかった。これにより対応は東京を管轄する警視庁が行う事になり、初動対応に銃器対策部隊の緊急時対応部隊(ERT)の当直隊が出動した。通報の第一報が“銃を乱射している”というものだったが、徐々に状況が明らかになっていくにつれて隊員たちの顔は固くなっていった。実行犯たちはアサルトライフルだけではなく、軽機関銃やスナイパーライフル、対戦車ロケットまで所持していた。


 最終的にテロは制圧出来たがその代償は大きかった。第六機動隊と第八機動隊の銃器対策部隊と第七機動隊の銃器対策レンジャー部隊等の機動隊員17名、制服・私服警察官23名に加え、特殊急襲部隊(SAT)の隊員6名の合計46名が殉職し、多数のPCや現場指揮官車、特型警備車等の車両が破壊された。


 当時、冷戦が終わり、世界中で軍や情報機関等が縮小されていく中、ICTOも第三次世界大戦の発生を阻止する為の極秘作戦や80年代~90年代にかけてヨーロッパを中心に世界各地で発生していたテロリストに対する対テロ作戦も減少し、規模の縮小を余儀なくされていた。この点も原因の1つとなり対応が十分に出来なかった。各国では整備されて始めていた現在のような明確なシステムに日本は全く手をつけていなかったのだ。事件発生時の初動対応が遅れ、更に自らの利権やプライドを守るのに必死な一部の者たちのお陰で、出動許可が中々下りなかった。その為、部隊を率いる立場にあった当時のウルズ2がICTO独自の作戦行動として出動し、現場の警察官らと協力してテロリストを制圧した。


 この行動はのちに問題となり、彼は“責任の全ては自らにある”と査察部に報告し、転属、謹慎等の処分が下った。ところがこの処分はテロ組織を追跡するためにICTOが編成した第1合同任務部隊のトップになった斉藤(さいとう)(あつし)がCTF1に彼を組み込んだ事で無効にされた。


 余談であるが、この時のウルズ2がのちの護たちの上司であるウィリー・アボットその人であり、彼が組み込まれた“Task Force Sword” の指揮を執っていたのが当時、中佐で太平洋戦隊特別対応班(SRT)のトップであった加藤影鷹であった。



閉話休題



日本政府側からICTO介入についての連絡が首相官邸にいる連絡要員からあるはずだと考えていると、支局長室デスクに備え付けられている固定電話が鳴った。


「はい、もしもし?」


『もしもし、株式会社UNOでしょうか?』


ICTO情報部は各支局、支部ごとに民間の企業に偽装している。それは完全にフロントカンパニーの物もあれば、バイク便等の宅配便やIT系企業、中には技術部と連携し、わざとスペックを落とした新技術を民間に公開する為の企業もある。


「はい。UNO東京支社でございます。どちら様でしょうか?」


『株式会社AKASAKAの者です。先日のB(バーガー)の件で緊急にお伝えしたい事がありまして、これからお会いできませんか?』


「分かりました。何時頃がよろしいでしょうか?」


『30分後に・・・で』


「承知しました。ではのちほど」


市川は受話器をそのままに電話を切ると内線で外出する事を伝え、最寄り駅まで歩き、そこから電車と地下鉄を使い相手が指定した会合場所へ移動した。



同日 22時45分 日本 東京都 港区 芝公園


途中、日頃から張り付いている尾行者を撒きながら芝公園に到着した市川は指定されていたベンチの近くで傘を差しながら相手を待っていた。


「お待たせして申し訳ない」


「いや、それほど待ってない」


「こちらへ」


後ろから声をかけた日本人ー正確には日系人ーに案内され、彼らは芝公園の外に止めてある車両に乗り込んだ。


「出してくれ」


後部座席に押し込まれるようにして乗った市川の隣に座っていた男がそう言うと車両は東京タワーを右手に桜田通りを北上し始めた。車両が走り出してから運転席と助手席の2人は勿論、後部座席の2人も一度も口を開かず、窓の外を眺めていた。


「この車、盗聴の危険は?」


「毎日、最低2回以上掃除を行っている。つい先ほども行ってきた」


「で、用件は?こんな時に緊急と言った上に呼ばれて来てみれば会談場所は外ナンバー付車両の中。おまけに周りには大名行列のようにお仲間を連ねて。AKASAKAさんは相当暇みたいですね?」


市川の皮肉とそれに混ぜた軽い抗議に対し、相手は彼を見て頭を下げてきた。


「急に呼び出して申し訳ない」


市川も思わず相手の顔を見た。


「お宅がそんな事を言うなんて相当余裕がないのか?」


「うちがそちらを探っているようにそっちもうちの事を探っているなら大体分かっているんじゃないか?」


「いや、これといって。今回の件にそちらの関係者が関わっている事くらいしか知らないな」


「・・・腹の探りあいはやめよう。既に我々には手が負えなくなってきている」


車両は左手に警視庁本庁舎を、正面に皇居を望みながら左折した。その青地に白抜きの外交官ナンバーを取り付けた外交官車両はスモークガラスの為、車内を盗撮する事は出来ず、周りには4台の車両が入れ替わりながら追従していた。


CIA(エージェンシー)の対日工作活動を統括する立場にあるあんたが連絡してきた時点で大事だと覚悟してはいたがどうした?」


「先月のベラルーシの件は勿論把握しているな?今、海ほたるを占拠している犯人グループの中に研究所を襲撃した一部の人間がいる」


「それは既に別ルートで把握している。そういえば先週ぐらいからモスクワ支局とFSB(ルビャンカ)の活動が活発だったとの報告もあった」


「こちらが把握しているその人物の情報だ」


そう言ってファイルを手渡してきた。それを見た市川は再び驚いた。2つの意味で。


「ジャクソン・フォード、元準軍事工作担当官(パラミリ)か。その前はSEALsのTeam3ね・・・人事記録はクラス3以上の秘密情報取扱資格セキュリティ・クリアランスが必要なはずだ。いいのか?」


「彼以外にもこちらのリストに引っかかった者が居た。彼らのデータも提供する」


「なるほど。そのデータを渡すから我々ICTOに制圧してくれ、という事だな?」


「察しが良くて助かる」


「だが、まだ隠しているカードがあるはずだ」


「・・・核拡散部(ANPS)が掴んだ情報だ。彼らは日本に入国する前に武器商人からあるものを購入した」


「マリウス・リストから?」


「いや、元革命防衛隊のイラン人だ。8ヶ月前と半年前、それと4ヶ月前に中東や東アジアで発生したいくつかのテロと6月に発生した北朝鮮の件で使用された空対空ミサイルの最新型の売買にも関わっている。そちらと我々が追っている者の中でも優先度が急上昇した奴だ。そこから彼らが買った物は・・・小型化された核爆弾だ」


市川はため息をついてから話しかけた。


「そんな物を買い付けるなんて・・・威力は?」


「プルトニウムを使用したインプロージョン方式。核出力は15t~10kt」


「この国のカウンターパートには伝えたのか?」


「勿論。それに加え我々はいくつかの政府機関と実働部隊として核緊急支援隊、在日米軍、在日CIAの人員を提供すると伝えた。既に第1陣はC-17に必要な資機材と人員を搭載して空中給油を受けながらこちらに向かっている」


「それに加え、沖縄のトリイからCIFを投入するんだろう。ここに合流する前に横田から連絡があった・・・自国の人間、しかも元準軍事工作担当官(パラミリ)が他国で核テロを起こす。合衆国(アンクルサム)としては絶対に避けたいよな」


「その為にいくつか根回しも既に行った。しかも、どうやらターゲットは海ほたるだけではない可能性もある」


「その情報は?」


「情報源は言えないが確度の高い情報だ。ICTOとも連携を強化したい」


「・・・戦後初となる治安出動が国会が閉会中とはいえこれだけ早く命令を発する事になった理由はそれか。分かった。解決に向けて最大限の協力をしよう」


「助かる」


彼らが乗った車両はいつの間にかICTO東京支局のビルの前まで来ていた。市川を降ろし、車両は在日アメリカ大使館がある赤坂方面へ向かって行った。


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