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プロローグ

200X年 某月某日 某所


その日は雲一つない天気であった。ある建物から1つの柩が6人の手により抱えられ出てきた。


 その後ろにはICTOの真紅のベレーを被り、制服を着ている女性とその女性と手を繋ぎ黒い喪服を着た10歳くらいの男の子が続き、さらに後ろにはICTOの関係者や数種類の制服、喪服を着た各国の警察、軍隊、特殊部隊、情報機関、政府関係者が続いた。


 集団が柩を埋める場所まで歩いていき柩を置くと、弔電が読み上げられた。その中には合衆国大統領、日本国総理大臣を始めとする各国首脳の名前もあった。


 牧師が祈りを言い始め、弔銃が開始された。柩を包んでいたICTOの旗を6人が取り、折り畳んでいき三角形にした。


 弔銃が終了し、柩を運んだ六人とその後ろにいた一人が順番にSRTのピンバッチを柩に埋め込み、挙手の礼をし、参列者の列に加わった。


前に准将の階級章を着けICTO制服を着た人が立った。


「彼は最期まで諦めず、戦い、最期は敵の凶弾から仲間を守った。私は彼を誇りに思う。そして彼のような人材を失った事を残念に思う。彼が関わって来た作戦は決して歴史には記されない。だが、彼がいかに勇敢で、優秀な戦士だったかを我々は忘れない」


彼の枕元においてあった三角形にした准将が旗を取ると、ICTO司令官に手渡し、司令官は女性の前で必死に涙を我慢している男の子の前にしゃがみ、彼に手渡した。


「君のお父さんは最期まで仲間を、君を、お母さんを守ったんだ。君も誰かを守れるような大人になってほしい」


そして、再び准将の階級章を着けた人が言った。


「最期まで仲間を守り、戦い続けた加藤影鷹准将に対し、敬礼」


ザッ


周りの人々は武官が挙手の礼を、文官や政府関係者は右手を胸に当てる、若しくは45度の敬礼した。


この時オレは父と同じ道を行く事を決意した。









20XX年3月下旬 4時00分 東南アジア某所


それは森の中にある木造の小屋で行われていた。


「さっさと吐け!」


短髪でODのTシャツを来た40代半ばの男がボロボロになった服を着ている女を殴っている。


「貴様は何処に所属している?CIAか、ASISか。それともNIAか、BINか何処に所属している!」


男に殴られ強い口調で問い質されても女は何も答えない。


「答え無くても構わん。別のやり方で聞くだけだ」


そう言うと男は隣の台の上に載せてあった電動ドリルを持ち、女の右手首をしっかり押さえつけスイッチを入れた。


「いやぁぁぁぁ!」





流石の女も耐え切れ無かったらしく、絶叫を挙げた。男は一度スイッチを切り、


「何処の所属だと聞いている!」


と怒鳴った。


「司令官、所属を聞く前に名前を聞くのが先では?」


と脇でAKMSを持った男が聞いてきた。


「名前など、どうでもよい。何処の機関がどれくらいの人間を我々を調査するのに使っているのか分かればいい」

「それに例え、調査されてもここには攻めては来れない」


司令官は自信に満ちた声でそう断言した。


「でも、あの連中ならやるかもしれない・・・」


そう呟いた男の声を司令官は聞き逃さなかった。


「あの連中?」


「何年か前にいくつかの国の首都でテロがあったでしょう」


「あぁ」


「その事件の時に首謀者を確保した連中の名前、ICTOというらしいです。その連中について最近分かったんですが、それと一緒にいくつかの噂もありまして・・・」


「噂?」


「それが世界で最先端の技術、最新の装備を持っているはずのアメリカですら持っていない技術、装備を持っているとか、各地のテロ組織を潰したり、事件を解決するのを現地政府に代わって行う等していて、“国際紛争の火消し”とか“常設国連軍”とか正義の味方と言われているそうです」


「何が正義の味方だ。馬鹿馬鹿しい」


「ですが同業者等からは恐れられているそうです。その手段が冷徹で徹底していると。「悪魔」とか「亡霊」とか言われーー」


「いい加減にしろ!貴様はここ陥落するとでも思っているのか!ここには100人近くの兵士がいて、四隅には監視塔と対空陣地、機関銃陣地があり、装甲車や攻撃ヘリまであるんだぞ!少数の部隊にやられると思っているのか!?」


と司令官は言って部下に、タウルスPT92ーベレッタM92をブラジルのタウルス社がライセンス生産したものーを突き付けた。


「申し訳ありません。どうかお許しを」


「まぁいい。以後発言には注意しろ。我々の目的が達成されるまで倒れる訳にはいかんのだ」


と言って司令官は拳銃をホルスターに戻した。


「はい。勿論です」


「さっき言っていた正義の味方が実際に居て、本当にここが攻められるのなら攻めてみろってんだ!」


ドン!!


そうやって机を叩き、音を立てたその時


ドッカァーン!!!


爆発音が外から聞こえた。


「何だ!」


「解りません!」


と男が言ったところで別の男が入って来た。


「司令官、装甲車とヘリが破壊されました!」


「何だと!すぐに反撃するんだ!」


「それが何処から撃って来ているかわかりま・・」


ドサッ


「おい!大丈ーー!?」


報告に来た男が倒れ、司令官と話していた男が駆け寄ろうとした時、部屋の隣のドアが蹴り破られ、数人がアサルトライフルーマグプルMASADAーを構えて雪崩込んできた。


ブシュブシュブシュ


と先頭の男がバースト射撃を撃ち込み、駆け寄ろうとした男は倒れた。

撃った男の次に入って来た者は銃口を直ぐさま、唖然としている司令官に向けると、


「武器を捨てろ!」


と叫んだ。


「わかった捨てる。抵抗しないから命だけは!」


「両手を頭の後ろで組んで腹這いになれ!」


あっさりと武器を捨て、指示に従った。


 突入した男達は小屋をクリアリングすると半分が周辺を警戒し、室内で司令官にアサルトライフルを突き付けたまま、先頭で突入した男が迷う事無く女に近づき、


「ニーナ・メイソンさんですか?」


と聞きーその時聞いた男の声は明らかに10代後半の男性の声だったー女性は頷いた。


「いくつか質問に答えて下さい」

「元の出身地とお祖母さんの旧姓は?」


すると女性はその質問に答える為に口を開いた。


「バージニア州マクレーン、旧姓はグラスです」


「パース1、こちらウルズ2、本人と確認。目標(パッケージ)を確保しました」


『ウルズ2、こちらパース1。了解(コピー)。彼女を無事に連れ帰れ。パース1、アウト』


「ウルズ2、了解(コピー)アウト」




「よく頑張ってくれました。さぁ家に帰りましょう。ウルズ8、頼む」


「了解、ウルズ2」


ウルズ8と呼ばれた他の者より小柄な身体から聞こえた声はウルズ2と同年齢ぐらいの女性の声だった。


「あの、そこの携帯に情報が入っています」


「解りました。回収します。あぁ動かないで下さい!今、応急処置しますから!」


ウルズ8は幾らか声を強めて言った。ウルズ8が手際良く処置を行ってる脇でウルズ2が携帯を回収し無線に向かって尋ねた。


「オールハンド、こちらハンター1-1。状況報告せよ。オーバー」


『こちらハンター2-1、全ての建物の制圧を確認。オーバー』


『こちらハンター3-1、投降した連中を集めています。オーバー』


『こちらハンター4-1、重要施設から関係書類を回収し爆薬設置中。オーバー』


「ハンター1-1、了解(コピー)。ウルズ6、ウルズ9、そっちで何か動きはあったか?」


ウルズ6はこの時800m離れた丘の上でR11RSASSを使い狙撃支援を、観測手も勤めるウルズ9は隣で基地を攻撃する前に飛ばしておいたRQー11“レイヴン”から送られてくる映像に目を通していた。


『こちらウルズ9、とくにこれといった動きはありま・・す!。 方位2ー1ー0、そちらから距離3000、ピックアップトラックが3台、その後方1000にピックアップトラック3台、中型トラック2台!いずれも武装した人間を乗せています。現在の速度だと後5分もしない内に到着します。クソッ!映像が途切れた・・・UAVが落とされました』


「これじゃあRV1は諦めるしか無いな」

「ハンター1-1からオールハンド、回収地点をRV1からRV2へ変更する。オーバー」


『ハンター2-1、了解(コピー)


『ハンター3-1、了解(コピー)


『ハンター4-1、了解(コピー)


『ウルズ2、こちらウルズ6。ハンター2、3、4と我々は辿り着けるだろうがハンター1ー突入したウルズ2がリーダーを務めるチームーは間に合わないでしょう。それにこの分じゃ緊急回収地点も無理そうだ・・・』


「まぁそうだが、何とかするさ。」


とは言ってみたものの全くプランが無くどうするか考えていた時、拘束していた司令官が笑い出した。


「ハッハッハ!!」


「何が面白い?」


「何故かって?、もう少しでここに仲間が300人近くが集まってくる。貴様らが今見つけた車両は先遣隊に過ぎん。お前らは一人残らず皆殺し・・!?」


と言った時ウルズ2がサイホルスターからMk-25を取り出し、突き付けた。


「何でさっさとお前を殺さなかったか解るか?」


「いや、解らない」


「お前が何か有益な情報を持って無いかと思って殺さなかったんだが無駄だったようだな」


「待ってくれ!金でも、麻薬でも、女でも、私に出来る限りの事をする!だから命だけは!・・・」


「お前が今朝殺した子供もそう思っただろうな」


パァン!


司令官は、頭に一発9mm×19弾を喰らい絶命した。


と同時にパース1から通信が入った。


『ウルズ2。こちらパース1だ。現在、お前達のいる場所から方位0ー4ー5の方向に進め、その先の川で待機しろ。迎えを送ってやる。オーバー』


「パース1、こちらウルズ2。了解(コピー)。しかし、まさかそこまで歩け、何て言わないでしょうね!?」


『そこから方位0ー9ー0に100メートル程行った所にピックアップトラックが停めてあるそれを使え!』


了解(コピー)!というかレイヴン落とされたのに何故分かるんですか?」


『上から君達をモニターしているからだよ』


「プレデターかリーパーがいるなら、後ろの団体にヘルファイアかペイブウェイ、スコーピオンかJDAMをプレゼントしてやって下さいよ!」


『残念ながらそのどちらでも無い。その少し上から見ている。アウト』


「少し上って事は・・・わざわざグローバルホークを飛ばしたのか」


色々言ってる間に車両の所まで辿り着つき、ハンター1の4人と救出した女性の合計5人を載せ、タイヤを唸らせながら発進した。


しかし、しばらく走行していると敵の車両が現れ、発砲してきた。


「敵だ!撃ってきたぞ!撃ち返せ!」


ブシュシュシュ

バラララララ


ウルズ2のマグプルMASADAとウルズ4ーハンター1-2ーのMk-46Mod.1を敵車両に向け、射撃を開始した。しかし、


カン!カン!


と車体に敵の弾が当たった音がした。


「運転手を狙え!」


ウルズ2が指示を出してウルズ4と共に射撃。


 敵の運転手はその前ハンドルにもたれ掛かり、荷台に数人の敵を載せたまま脇の木にぶつかって止まった。


「よし!この調子だ!」


文字通りこの調子で残りの2両を片付け、空になったマガジンを抜き、弾が入っているマガジンの一つをMASADAに装填し息を吹き返させ一安心したところで右側の道から更に3台のピックアップトラックが姿を表し、発砲してきた。


「これじゃあ切りが無い。誰かロケット持ってる奴は!」


「さっき基地を攻撃した時に全部使いました!というかあなたが使えって言ったんでしょう!ウルズ2!」


「ははは・・あれそうでしたっけ?」


「そうです!」


ウルズ2とウルズ4が言い合い、ウルズ8が一度肩を竦め、再度装填しているウルズ2の替わりに敵に射撃していると、


『ウルズ2、こちらパース1。ハンター2、3、4とウルズ6、9は予定通りRV2でサンベア3が回収した。今度はお前達の番だハンター1。今君達が向かっている回収地点をRV5とする。そちらの回収チームのコールサインはホーネットだ。今通信を繋げる』


『こちらホーネット2-1。お迎えに参上しました。RV5までのETAは3分程です!そちらはETAはどれくらいですか?オーバー』


「ホーネット2-1、こちらウルズ2。迎えに来てくれた事に感謝する!こちらはあと・・・どのくらいだウルズ10?「あと2分位です!」あと2分位で到着する!それと後ろから沢山の見送りが来ているんだが大丈夫か!?」


『ご心配無くウルズ2。その見送りはすぐに追い返します。だから安心して川に飛び込んで来て下さい!アウト』


了解(コピー)!お手並み拝見といこう。ウルズ2アウト」


交信が終わり、丁度MASADAに弾を装填するウルズ8の替わってウルズ4が制圧射撃を始めた時、


「うおっ!!」

「クソッ!撃たれた!」


ウルズ4がMk-46をそのままに後ろへのけ反った。


 ウルズ2は一度構えたMASADAをスリングで脇へやり、ウルズ4のMk-46で制圧射撃を開始し、ウルズ8がウルズ4に応急処置した。


「ウルズ10、RV5はまだか!?」


「あと30秒程で到着します!」


とウルズ2は聞き、Mk-46を撃ち続けながら声を張り上げた。


「あと30秒だ!川に飛び込んだらすぐに車から離れろ!ウルズ8はパッケージを頼む。ウルズ4はオレが連れていく」


「そんな事しなくても大丈夫です!自分で動きます!」


「車両から離れる時だけだ。そのあとは自分で浮いててくれ!」


とウルズ2が返したあと、


「突っ込むぞ!」


ザッパーン!!


「すぐに離れろ!」


車体が水没する前に5人全員が車両から離れた。しかし川の縁には敵の車両が止まり今にも発砲しそうだった。


「ホーネット2-1、RV5に到着した!そっちはどこだ!?」


『ウルズ2、こちらホーネット2-1。そちらから見て9時の方向から接近中! 頭を低くして下さい!オールウェポンズフリー、オープンファイア!』


通信が入り、そちらを見ると2艇のSOC-Rがこちらに向けて最大戦速で向かってきた。そして“オープンファイア”の号令で敵とウルズ2達の間に壁が出来た。銃弾の雨によって作られた壁がーー


ヴォーーーーン!

ババババババババ!

ダダダダダダダダ!


まず先頭のホーネット1が、次にホーネット2が搭載しているM134ミニガン、M2HB、連装のM240Lが火を吹き、先頭のピックアップトラックとその影にいた人間を貫通し、蜂の巣にした。その後ホーネット3が1次的に盾になり、ホーネット2がウルズ2達を回収。回収後、2艇が駄目押しとばかりに敵を攻撃し、元来た川の下流へ戻った。






「ありがとう、ホーネット2-1。ナイスタイミングだったが、あと少しでこっちが蜂の巣だったぞ」


「文句ならギリギリまで我々を待機させてたパース1に言ってください。それに結果、ギリギリセーフでした」


「まぁいい。確かに結果的には問題無かったしな。このあとは?」


「あぁ、もう回収地点ですので・・『ホーネット2-1、こちらブラウンベア1。そちらを視認した。そちらからは確認出来るか?オーバー』ちょっと失礼」


「ブラウンベア1、こちらホーネット2-1。そちらを視認した。オーバー」


『了解。これよりワイヤーを下ろす。固定してくれ』


回収地点から少し下流に向かい開けた場所に出ると、MHー53Nが2機東の空より現れそれぞれのSOC-Rの上空でホバリング、ワイヤーを固定しそのまま昇ってきた太陽に向かって機首を傾けた。


 ハンター1とニーナ・メイソン、ホーネット2の面々は機体中部より下ろされた縄ばしごでブラウンベア1の機内に移動した。


「パース1、こちらブラウンベア1。現在ホーネット2、ハンター1及びパッケージを確保した。任務完了、RTB」


ホーネット2の面々は機内で早速談笑したり、仮眠したりしている。ウルズ8はニーナ・メイソンとウルズ4の傷口を消毒、包帯を代えたりしている。


 途中、ブラウンベア1、2が飛ぶすぐ側を現地軍の攻撃ヘリと兵士を搭載した輸送ヘリがテロリストの基地の方向に向かっていった。彼らにはまだ残敵掃討等の後始末をするための仕事が残っている。


「そうだ、帰ったら報告書を書かないとなぁ・・・」


と呟いてウルズ2は自らも意識を手放した。


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