その5。
あれから俺は定期的に美雪さんと会っていた。
そして、何回何回も会ううち、
俺はやはり美雪さんに惹かれていた。
やはり彼女は『悪女』じゃない、
ネットで知り合ったミユキさんと同じ、
心はとても綺麗な人。。。
見た目で人は分かった物ではない。
美沙に書かされた大量の謝罪文にも今では感謝しているぐらいだ。
そしてどうしても言いたいことがあって、
俺はその時美沙を呼んでいた。
「んで、どうしたの?隼人」
「ああ、今日は言いたいことがあったんだよ。」
「。。言いたいこと?」
「あのな、俺、
美雪さんと、本格的に付き合いたいって思った。」
「あ。。。」
美沙の顔に一瞬だけ、陰りが見えたが、それはすぐに消えた。
「そっか、でもまだ付き合っても無いのに、なんで今私にそんなこと言うの?」
「えっ?あーー、、と。なんとなく。こう思えたのも、きっと最初にお前があーんな長い謝罪文書かせたおかげかもなって。」
「そっか、そういえば、そう、だね。。ハハ。。」
その時、美沙の言葉はぎこちなかった。
そして、美沙はまわりの空気をすぅっと吸い、大きなため息をついた。
「ねえ、隼人。」
「?」
「ごめんね。」
「は?なんでお前謝って。。」
「本当に、ごめんね。」
美沙の目には涙がこぼれていた。
「ちょっ、お前、何泣いて。。」
「あのね!」
美沙はいきなり大きな声を出す。
「私、今も隼人のこと好きだよ。」
「え。。?」
美沙とは中学時代付き合っていた。
あの時は、少しケンカをしてしまい、その後、友達のままが良いと俺が言って、別れた。
美沙はその状況を分かった態度をしていた。
どころか『分かった』と言っていた。
なのになんで。。
「あのね、あの頃からずっと我慢してたの。でもいいやって思った。隼人が友達がいいって言ったから、私はそうするつもりだった。だからそうしてきた。でもね。隼人が美雪さんと出会って、、最初は応援するつもりだったの。でもやっぱり耐えられなくて。。今、そのことを言った。こんな感情ひた隠しにしてこんな笑顔で接してさ。。これじゃ。」
美沙は苦笑いを作り、こう言った。
「私の方がよっぽど『悪女』だ。」
笑った顔を作った美沙の頬には、涙が流れていた。