あ、忘れてた
そうゆうわけで、いざ実食!
この時をこの世界で暮らしてから、どれだけ願ったことやら。4年はキツイ。本当に辛い。
アップルパイを一口食べると、中のジェム状にした果実が溢れてきて甘味が広がる。それと同時にパイ生地はサクっとしており、香りが広がる。
横目で家族を見てみると全員が、驚きの表情をしながら黙々と食べている。というより父よ、その歳とその顔でデザートを食べるのはいささかギャップがありませぬか?
一番早く食べ終わったのは兄のトビアだった。勢いよく食べてたしすぐになくなったのだろう。するとこっちを見てきた。なにか嫌な予感がする。
「・・・あげませんよ?」
すっごいしょげた。この世の終わりのような顔をしている。しかし、久しぶりの甘い物だ。渡すわけにはいかない。
「これは・・・なんともうまいな・・・」
「あらあら、そうですね。初めて食べますけど、とってもおいしいわね」
全員に好印象を持ってもらえたようだ。とりあえずよかった、後でローなどに作り方を教えなければならない。嘘がばれる前にね。
「喜んでもらってすごく嬉しいです。頑張って作ったからいっぱい失敗しちゃったけど・・・」
「ううん、こんなサプライズを考えてくれてありがとう。アーセルの思いがしっかり伝わったわ」
本当は自分が我慢出来なかったからだけど、喜んでもらえたようだし誤魔化すことこもできた。・・・けど今思ったら、重力魔法とか応用して遠心分離機みたいにしたら早くなかった?と思ったが糖分が足りてない状況でそんなこと思いつかないし、第一そんな便利な魔法ないかもしれなかった・・・と言い訳しておこう。
side キース
「・・・それで実際どうなのだロー?アーセルにあの料理を教えていたのか?」
すでに父―――キースは娘が嘘を言っていることに気がついていた。しかしサプライズで作ったというのでローの言ったことにのっかることにしたのだ。
「いいえ。アンセルの話ではアーセル様はお一人で厨房で先ほどの物を作っていらしたそうです」
「ふむ・・・やはりおかしくはないか?アーセルはいつ言葉を覚えた?聞けば既に物書きまでできるという・・・。ローはどう思う?」
「私には・・・まるで最初から知っておられるように思いました。なにか復習するように声が聞こえてくると話を聞きました。更に先ほど食べたデザートをシェフに見せたとこ、初めて見る作り方で非常に興味深いと言っておりました。天性の才を持っていたとしてもさすがに・・・」
この世界には確かに天性の才を持った者はいる。『勇者』などはその例だ。その称号は神に祝福されていると言っていい。
「やはり調べる必要がありそうだな。白詠石を用意しておけ」
「すでに手配しております」
「やれやれ・・・いつも世話をかけるな」
「いえいえ、簡単なことでございます」
更新遅くてすみません。
思いついた時に書いているのでこれからもそうなりそうです。
そして、あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします!