第2話 「砂糖がない・・・だと。死のう」
この世界には、砂糖がないらしい。基本的にスイーツは果実自体の甘さで補っているらしく、これまで一度もケーキらしき物を見ていない。
このことを知った時、ちょっとばかり転生して後悔した。大好物が食べられないというのが、どれだけストレスになるか身を持って知った。正直すごく辛い。
なので最初は砂糖を作るとこから始めようと思う。なのでまずコッチの母親に許可を取らないと。
このウレイスト家は、4人家族で構成されている。父・母・兄・そして私である。他にも使用人さんはいるけど、全員で6人しかいない。
父は昔とある戦争で、功績を残したらしく王様と面識が深い。昔使っていた剣も書斎に飾ってある。王様が森に視察に来たときは護衛を父だけに任せるなど信頼も厚い。普段は物静かで優しい父ではあるが、訓練時には怖いぐらいの形相になる。
母は昔は王宮仕えの魔法使いだったが、戦争で傷ついた父が運ばれた時に一目惚れ。戦争が終わった後、あの手この手で陥落させたらしい。聞いていた時、父がすごく顔を赤くしていた。夫婦仲はとても良い。ちなみに目の前で見せてもらったが、支援魔法が得意らしい。
兄は私よりも4歳年上で、将来は父のようになり跡を継ぎたいと言っていた。現在は父に稽古を付けてもらっている。目標はローを倒すことらしい。
ちなみに我が家の執事ロー・・・本名ローエン・ハイムと言い、美味しい紅茶の入れ方から、小型魔獣の倒し方まで知っている完璧執事だ。・・・兄の目標はいまだ遠そうである。
「あれ?書斎にいない・・・ま、いっか」
母親がいなかったので、気にせずに厨房が使える。
「まずは基本的なことからかな?煮込んで、濃縮してっと」
まずは庭の畑から取れたスピックと呼ばれる野菜を、沸騰した鍋に入れて煮る。
「なんで形はブロッコリーなのに味はリンゴ・・・果物の形をしたのはわりと普通の味なのに」
そして溶けるまで煮ていき、熱を冷ます。
「このままでも香りはいいけど・・・砂糖と言うにはまだかな?もうちょっと甘くしないと」
そして出来た緑色の液体をろ紙・・・がないのでザルで沈殿物と分けていく。そうして分けた液体を今度は少しずつ蒸発させる。するとザラザラとした砂糖が出来た。
少し舐めてみると、ほのかにリンゴの香りがする砂糖になっていた。久しぶりの糖分に涙が出そうになる。
「よし!これでアップルパイを作ろう!たしかアズルがまだ残ってたはず・・・」
アズルも庭の畑から取れた果物だ。梨のような食感をした無味無臭の果物なのだが、面白い性質をしていて、割る直前に果物や野菜の汁をふりかけると、その味や匂いを真似するという。
「さて!始めますか!」
そうしてお菓子作りが始まった。
すいません今回本当なら4倍くらいの量だったんですが、データが消し飛んだので短めです。あと投稿する直前に消えたので死にたくなりました。