自分の欲望に忠実に♪
私は主の言葉を待った。この人はまたとんでもないことをして、驚かしてくれるのではないかという期待をしながら。
我が主の思っている事が知りたい。そんな思いで静かに次の言葉を待つ。
儂はこれからの指針と目標を聞きたかった。久しぶりに会えた親友がしたいことならば全力で応援しようと思いながら。
全員が静かに言葉が放たれるのを待っておる。そう思いながら横の玉藻を見る。この子も主によってまた新たな成長を促されることを楽しみに思いながら。
なんだかご主人様が言おうとしているので、一言も聞き逃さないように耳を澄ます。
「全てを知りたい」
それは4歳の子供が放つにしては随分と傲慢な物言いだった。ただそこには納得させるだけの重さがある。
「前世では科学を極めたと言っても過言がないくらい時代を押し上げた。今度は魔法を極めて見たい。他にもやりたいことはいっぱいある。いっぱい、いっぱい。こんな一度の人生じゃやりきれないぐらいの夢がある。楽しいことも、辛いことも、悲しいことも、全て知りたい。いっそ世界征服なんていいかもしれない」
「主が望むならば世界の全てを手に入れましょう」
即座にミカエルがその望みを叶えようか?と尋ねる。だが違う。違うのだ。
「私は自分で何事もしたい。無理なんて事は絶対に無い。全て、自分でやりたい」
「親友は傲慢じゃのぅ。全て自分の物にしたいと言いおった」
くっくっくと笑いながらフェイロンが言う。
「その傲慢を現実にしてこそ、私にはその価値があると思う」
「ククク。また新しい知識を得られるとなるとこのルシファー、ゾクゾクしてきました!」
「となるとまずは、そこの者からきいてみるかのぅ」
そういいながら全員が後ろを向く。そこには木々を倒しながら来るものが。
その体は堅牢な赤き鱗で覆われ、燃えるような紅い瞳をもったドラゴンがいた。
『貴様ら・・・我がテリトリー内で、騒ぎおって。一人、二人見せしめが必要なようだ!』
「友よここは儂に任せよ。竜が相手ならば儂が一番聞くのに適任じゃ」
「うん。できればいろんな話が聞きたいから友好的にね?」
それをにやりと笑って返しながらそのドラゴンへ近づいてゆく。
『まずは貴様が食われたいか。よかろう一飲みでーーー』
スゥゥゥゥ・・・!
「ガァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
直後フェイロンは叫んだ。いや咆哮〈・・〉した。その声は生きる者全てに原初の恐怖を与えるもの。それがたとえ幾百年過ごしてきた者ですら、その声に恐怖の念を抱く。しかしーーー
「ほう。儂の咆哮を聞き失神しんとは。親友よこやつ中々骨のある竜じゃぞ」
笑いながら此方を向く。ってか
「いきなりビックリするでしょうがー!鼓膜が破れるかと思ったよ!?」
『この威圧感・・・!そこの二人は化け物か!?ならばそこの小娘だけでも!』
そう言いながら(?)フェイロンを無視してこっちに突っ込んでくる。うわー全長20m位はあるんじゃないかな。
「「最大防御」『五重結界』」
だが焦らず無魔法の五重結界を張る。結界の一枚目であちらは止まったみたいだけど。
『な・・・!?この我を止めるだと!?ばかな!ありえん!』
「まぁ止まっちゃったものは仕方ないけど、ちょっと大人しくしてくれる?」
結界は発動させたまま、頭の中で別の詠唱を思い浮かべる。
「「そなたの姿を変えよう。大きな体は小さな体に。男は女に女は男に。その姿は如何様にでも変われるのだから」『メタモルフォーゼ』」
次の瞬間目の前がカッ!と光ったと思うと、そこには先ほどのような巨体ではなく小型犬ぐらいの竜が飛んでいた。
『なに!?第八階位の無魔法だと!?それに多重詠唱までこなすとは・・・。どうやら我も此処までのようだな』
なんか勝手に納得してるけど、いいか。それに本番はこれからだし。
「いやいや、殺したりしないから。聞きたいことがあるだけだし」
「はっはっは!親友に任せたら一瞬で片が付いてしもうたか。そこな竜よ安心せよ、別に取って食おうってわけではないからのぅ」
フェイロンも別に怒っているわけではないしね。
「主よこの畜生を即刻殺しましょう。主の肌に少しでも傷などがあったりしたら、このミカエル暴走していたかもしれません。主に攻撃を行うなど・・・」
・・・訂正。なんだかすごく怒っている人が一人いました。けどさっきもある意味暴走状態だったような・・・?
「落ち着けそこのバカ」
意外とルシファーは冷静に対処してる。この思慮深さをそこの暴走してる人に少し分け与えてあげて欲しい。
「このトカゲの知識を絞り出してから殺せ。それならいいだろう?」
・・・誰だ?この自己中心的なのを「思慮深い」とか言った奴?




